你好、瘋子! | あさひのブログ
「三国機密」ヒロインを演じるワン・チェン(万茜)主演のコメディ。

「你好、瘋子!」(2016年 監督/饒暁志 主演/万茜)
107分

※日本語版はありません。

瘋子は日本語のキ〇ガイに相当する言葉だけど、中国では別に放送禁止用語でもなくてドラマでも頻繁に使われてる。

――安希は目を覚ますと薄暗い牢屋のような場所にいた。そこへふらふらと白衣の中年男性がやってきた。気が付くとすぐ隣にはスーツ姿の男が。外で悲鳴が上がったかと思うと頭を怪我した老人が首を負傷している男と喧嘩している。奥からは安希と同じくらいの歳の若い女と、二階から足を負傷した若い男性も降りて来た。
7人はお互いに面識なく、なぜこんな場所に連れてこられたのかわからない。ともかく情報を交換しようとまずは自己紹介する。足を負傷した若い男は記者の李正、頭を怪我した老人は小学校教員の簫乃恩、スーツの男性は弁護士の馬睿、白衣の中年男性は獣医の韓沐山、若い女はその美貌を売りにして契約をとる保険会社OLの莉莉、首に頚椎固定装具をつけた男はタクシー運転手の楊猛と名乗った。だが安希は自分が何をしていた者か思い出せない…。
皆は次にここへ連れてこられる直前の事を思い出してみる。李正はとある発掘現場の取材で立ち入り禁止の場所へ強行しスクープを手に入れようとしたがその時大爆発が起きて吹き飛ばされた。簫先生は騒ぐ子供たちに静かにするようにと怒って黒板を叩きつけたが衝撃で黒板が倒れて来て後頭部を強打し失神した。馬弁護士はいつものように被疑者の無罪を勝ち取り法廷を後にしたが喘息の発作が起きて吸入薬が間に合わずその場に倒れた。韓獣医は娘の誕生日プレゼントを持って帰宅しようと職場のエレベーターに乗り込んだがその時急に異音がしたかと思うとエレベーターが落下し始めた。莉莉は取引先の男と寝て契約を勝ち取ったが、その後サウナ室の扉にマットがひっかかって開かなくなり閉じ込められ部屋にこもった一酸化炭素で気を失った。楊猛は運転中スマホを取り落としてしまい拾おうとかがんだ瞬間前の車に追突した。共通するのは皆何かしらの事故にあって負傷したということだ。だが皆手当されてある程度良くなっているようだ。

しかしここはどこなのだろう。皆は今度は閉じ込められている部屋を探索し始めた。牢屋のような部屋を出ると広い吹き抜けの部屋があり、さらに奥には談話室のような部屋があり、囚人服にも見える拘束服が7着用意されていた。大きな鉄製の扉はどうやっても開かず、高い位置に小窓が一つ。家具を動かして上り窓から外を覗くと、なんとここは精神病院だ!
おれたちが精神病者だっていうのか!皆は憤慨する。よく見ると部屋にはいくつかの監視カメラがついている。院長が見張っているに違いない。皆はどうにかしてここから出してもらおうと知恵を絞る。いろいろな方法を試すが外部の反応はない。互いにいらつき喧嘩も始まった――

とここまでが前半。後半のオチは敢えて書かないけど、この映像化にはすごく拍手を送りたい素晴らしい作品だった。
舞台劇にありそうな前半のプロットにコンパクトなコメディを想像してたけど後半はガラリと変わる。[ここからネタバレ-----多重人格障害の安希が病を克服するため戦う様子を描いた、たとえば「24人のビリー・ミリガン」のような物語なのだ。安希は治療のために6人の人格を消さなければならない、その方法は自らの手で殺すしかないのか?というのが物語のクライマックス。6人はここにいてはならない者だが彼女にとっては支えてくれた大切な存在…その葛藤を描く人間ドラマでもある。-----ここまで] 
前半は全てが謎で手掛かりらしいものがいくつも提示されているけどそれもちゃんと最後に意味が分かるようになっていて、もう一度最初から見直してみたいと思わせるミステリ的な仕掛けも。

前半は殆ど発言せず考えの全く読めない安希だけど、その真の姿が明かされてからのワン・チェンのお芝居が凄すぎる!鳥肌立つ!まさに人が変わったかのようにってやつだ。変幻自在の実力派女優。
「九州・海上牧雲記」でも共演していたジョウ・イーウェイ(周一囲)やツァオ・ウェイユィ(曹衛宇)も当然素晴らしいお芝居。

登場人物はたったの8人。そのお芝居も舞台劇のようにテンポよく笑いも取りハラハラもさせる。うん、すごく舞台劇にしてほしい。演出家の腕が存分に見せられる物語。