「空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎」(2017年 原題「妖猫伝/Legend of the Demon Cat」 監督/陳凱歌 主演/染谷将太、黄軒)
132分

※劇場公開中
原作は「陰陽師」シリーズなどで知られる日本の人気作家・夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」。
――唐代。倭国からやってきた仏僧・空海は皇帝の病を祈祷で治してほしいと宮殿へ連れてこられたが、皇帝は目の前でもがき苦しみ息絶えた。皇帝は風邪をこじらせて亡くなったとされたが、空海は臨終の際に猫の影が部屋中を舞っていたことに気づいていた。皇帝の死に不審を抱いた宮廷書記官の白楽天が空海に相談すると、空海は皇帝の死は猫の呪いの可能性があると言うのだった――
[-------ここからネタバレ
やがて白楽天は空海と意気投合し呪いについて調べていく。巷では目の前で植えた種をみるみるうちに成長させてスイカを成らせる見世物が話題だった。スイカは本物そっくりだが、見世物の主はこれはすべて種と仕掛けのある幻術(マジック)だと言う。
白楽天が空海を連れてやってきた妓楼で、遊んでいた近衛兵の陳雲樵が怪しい黒猫に襲われた。妖猫が陳を狙っているとにらんだ白楽天と空海は彼の家へ。そこには妖猫に憑依された陳の妻・春琴がいた。春琴の体を乗っ取った妖猫は李白の詩を口ずさみ、そして自分がかつて皇帝に飼われていた猫だが生き埋めにされたのだと告げる。
白楽天は楊貴妃の美しさを詠った李白の大ファンで、皇帝と楊貴妃の悲恋を題材に詩を完成させようとしているくらいだった。妖猫はそんな彼の興味を引き自らの恨みを晴らさせようとしている可能性がある、と空海は読む。
空海は50年前に日本にやって来た阿倍仲麻呂の日記を入手。そこには皇帝が楊貴妃のために催した壮大な宴の様子が記されていた。幻術使いの黄鶴が率いる一団がこの世のものとは思えない素晴らしいショーを披露し、李白もせがまれて一首詠んだ。
その後、安禄山によるクーデターが勃発。安禄山は楊貴妃の処刑を要求する。しかし皇帝は楊貴妃を引き渡すに忍びなく、黄鶴に幻術でなんとかならないかと頼み込む。黄鶴は楊貴妃に仮死の術を施して死んだふりをさせて埋葬し、後で掘り起こして蘇生させればよいと提案した。
仮死状態になった楊貴妃は石の棺に納められ埋葬された。皇帝は彼女が寂しかろうと可愛がっていた黒猫を中に置いてきた。
だが、仮死の術は二日で解けて目覚めてしまうということを皇帝は知らされていなかった。それを知っていた黄鶴の弟子の白竜と丹竜は急いで墓に駆けつけたが、既に彼女は目覚めていて重い石棺の蓋を開けられずもがき苦しんで死んでいた。密かに楊貴妃に思いを寄せていた白竜は彼女の遺体を自分の隠れ家へと移した。奇跡で楊貴妃が生き返るかもと願うがやがて彼女の遺体に毒虫がとりつく。白竜は毒虫を自らの体に取り込んで彼女の遺体を救い、自らは死んでその魂が皇帝の黒猫へと乗り移った。
そして妖猫となった白竜は楊貴妃を苦しめた関係者を次々と呪い殺していったのだ。
空海と白楽天はかつて宴が催された場所へ行ってみる。そこでは妖猫が待ち構えていた。だがもう一人、スイカの見世物をしていた幻術師がいた。実は彼は白竜の兄弟子・丹竜だったのだ。丹竜は楊貴妃が全てを知っていて皇帝のために自ら命を捨てたのだと、彼女は復讐など望んでいないと告げる。白竜の魂は解き放たれ、あとには黒猫が息絶えているのだった。
事件は解決し、空海は本来の目的である大青龍寺へ。以前は門前払いされたが今回はなぜか歓迎される。中で待っていた高僧は、なんとあの丹竜であった。(終)------ここまで]
どーでもいーけど長ッッ!(´□`。)
とりあえずチェン・カイコーの名は忘れてほしい。これは"陳凱歌監督作品"ではなく"カドカワ映画"ですッ!!映像美に主眼を置いたエンタメ映画。
だけどCGが若干チャチくって…肝心の猫の動きが不自然だし端々でチャチさが目に付いて白ける(エンタメだから笑い飛ばせばいいのだけど)。とりあえずテレビっぽい、イマドキの日本映画っぽい仕上がり。全2時間だけど後半1時間は主人公ら出てこなくなるし話は間延びするしで、長いわ…。
夢枕獏と言えば"怪奇&耽美"。この映画は全年齢向けエンタメ作品とあって耽美(エロ)の部分に弱さを感じるけど、怪奇の部分はなかなかイイ感じに実写化されてるんじゃないかと思う。どちらかというと日本風の湿気を帯びたおどろおどろしいホラー表現が海外ではウケそう。
サブタイトルですでにネタバレしてるけど空海と白楽天が一昔前の絶世の美女・楊貴妃の死に隠された謎を追っていくという物語、だけど楊貴妃があんまし美しくないというのはどうなんだろう…なぜここでモデル系美女を起用しない??見た目がパッとしなくて衣装と化粧で誤魔化してるけど、所作に品がなくてやっぱり美しくないッ。
そして夢枕獏作品に必ずといっていいほど出て来る超常的美少年はてっきり白楽天(演:ホァン・シュアン/黄軒)かと思ったら、顔の濃いい染谷将太が扮する空海だった。最初はちょっとそれ無理すぎない?って思ったけど意外や意外、品があって、見た目はともかくちゃんと超常的美少年の雰囲気を漂わせてる。空海が静かに推理を巡らすホームズで、ちょっと軽くて若者らしい白楽天がその相方ワトソン君として行動するという体裁。でもミステリではなくあくまでエンタメホラー。染谷将太とホァン・シュアンのファンにはとてもおすすめできます。えっ阿部寛ファンは?いや彼は後半出て来るけど何一つ活躍しませんて。ただ突っ立ってるだけの役。なんでこんな役に彼を起用したんだか…。
エンターテイメント映画としてはまあいいんじゃないと思うけど、とかく長い!後半1時間以上の壮大なネタばらしは正直誰も期待してないって感じ。せっかく前半でキャラが立ってきた主人公らが後半全く活躍しないというのは構成としてダメでしょ。ネタばらし部分を30分くらいにコンパクトにまとめるべきだった。
Pangzi
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