アドルフ・ヴェルフリ展 | あさひのブログ
兵庫県立美術館のアドルフ・ヴェルフリ展へ行ってきました。

この作家については全く知らないので解説に依ると、スイスの精神病院に収容されてたある患者が興味深い絵を描くことに注目した担当医が新聞用紙と鉛筆を与えたところ壮大な物語を描き出した…というような経緯らしくて、本人が芸術を目指したというよりは偶然の賜物なところがあるみたい。

作風は確かに個性的。端的に言ってしまうと曼荼羅模様みたい。画面を枠で区切り象形文字のように繰り返し現れるモチーフ、記号、数字。神経質そうな細かい直線とびっしりかきこまれた文字(英語ではないので理解できず)、単純そうでいてなめらかなグラデーションを施していたり色の組み合わせのこだわりが。規則性を持つのに対称性は揺らいでいて不安定。

物事を見たままではなく何かに変換して間接的に表現するのが芸術だと思うけど、そういう意味でこれは芸術ではなく、彼の心というか周りに見えてるもの、空気とか世の中そのもののような気が。模様の賑やかさや強くデフォルメされた人や動物のモチーフは陽の方向に捉えられないこともないけど、私には全般的に重苦しくて直接的であまりいい気分にはならなかったかな…。
特に序盤中盤で多く出て来るモチーフとして、牧師を表しているかのような頭に十字架を負った目の落ちくぼんだ男、楽譜、筆記体で書かれた文字の波。この三点は教会を象徴してるんじゃないかと思います。おそらく幼い頃に連れていかれた教会でのミサ。よくわからないけど音楽がながれておじさんがよくわからないことをぺちゃくちゃ喋っててみんな十字架が助けてくれると祈ってる…その風景が何か世界のすべて、世界そのものとして刷り込まれたんじゃないかなと。そして人々を救う教会であるのに画面全体に漂う不安感…完全に清らかな人間などいないし彼自身どこかで後ろめたいことがあり、そのことで終始十字架に責め立てられてる、終始誰かが自分を責めているという妄想を描いてるように見えて仕方ない。

正直好きにはなれない画風だけど、普通の発想ではない、枠にとらわれない発想という意味で面白いと思いました。文字がけっこう重要な位置を占めるのだけど読めない(言語的な意味で)のがやっぱりイタイなぁ。意味不明の文字列なのか、それとも単語の羅列なのか文章なのか、それだけでも解説してくれてると助かるんだけど…?


アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国
1/11(水)-2/26(日) 兵庫県立美術館

兵庫県立美術館
阪神岩屋駅から海へ向かって、けっこう歩きます。