中国現代語に親しむための翻訳練習です。
「图说中国历史・秦」
中国地图出版社 www.sinomaps.com
2014年1月初版 2016年4月第2版
表面。
『逸話』
鴻門宴
劉邦リュウホウが咸陽に入り、関中王を名乗ろうとしたため、項羽コウウはかんかんに怒り、すぐさま新豊の鴻門に軍を敷き劉邦を殺そうとした。うまい巡り合わせがあり劉邦は項羽の叔父項伯コウハクと交わりを結んでおり、この知らせを知ってすぐに鴻門へ行って項羽に謝罪した。項羽は目を殺気立たせ劉邦の三つの罪を挙げた。劉邦がおどおどとした言葉でへりくだった態度をとったため、項羽の怒りは静まり、彼を留めて酒を飲んだ。范増ハンゾウは劉邦の野心が(見た目通りに)小さいわけではないとわかっており、この機会にさっさと根絶しようと二度玉玦(腰の飾りの宝石)を手にして項羽に合図を送った。しかし項羽は安っぽい同情心から手を下すに忍びないと考えた。范増は三度目に、項庄コウソウに命じて剣舞を舞わせ密かに劉邦を殺害しようとした。だが項伯が劉邦を助けるため彼も剣舞をはじめ項庄を阻止した。やがて樊噲ハンカイも劉邦を守るため闖入してきて、最後まで項羽の思い通りにはさせなかった。その後劉邦は便所へ行くと行って(席を外し)、その機に小道を迂回して自分の軍営に戻り、残っていた張良チョウリョウが彼の代わりに(お別れの)挨拶をして帰った。その後は范増の言った通りで、劉邦の野心は勢い盛んにして、項羽を滅ぼした。西楚覇王烏江にて自刎するという歴史上に語られる悲劇である
荊軻ケイカが秦王を刺す
「風はもの淋しく吹き易水(※河川名)は冷たい、壮士(※自分の事を指す)は旅立てば二度と戻っては来ない。」
――荊軻が(暗殺に)向かう前に言ったという歌
秦国が燕国を攻め取ろうとしていたため、燕国の太子丹たいしタンは非常に焦り、すぐに剣客の荊軻に秦王嬴政しんおうエイセイを刺殺するよう頼んだ。荊軻は秦舞陽シンブヨウを連れて、燕国の支配する土地の地図と秦国の裏切り者の樊於期将軍ハンオキしょうぐんの首と、毒薬に浸した一本の匕首を持って出発した。嬴政は彼の持ってきた贈り物をとても喜んですぐに面会した。だが秦舞陽はその(謁見の間の)雰囲気に両足ががたがた震えてきて、荊軻だけ一人で(秦王に)地図を差し出しに殿上に上がって行った。地図を全部広げていくと、中から匕首が出て来た。荊軻は秦王の袖を左手でつかんで右手で素早く匕首を繰り出し嬴政を刺した。嬴政はとっさに身をかわし袖を引きちぎって逃げ屏風の影に隠れたが荊軻はすぐに追いかけて来た。二人は大殿上の柱の間を逃げ回り追いかけ回し、誰もがこの状況がどうなるかわからなかった。大殿上の文官は皆驚きの余り動けなかったし、離れた所にいた武士らは殿上に上がることは許されなかった。この時、近くにいた侍医の夏無且カムショがタイミングを見計らって薬入れの缶を荊軻に投げつけた。この隙に嬴政は(持っていた)宝剣を抜き、荊軻の足を刺した。荊軻は歩けなくなったが、すぐに匕首を秦嬴政に向かって投げつけた。だが嬴政はそれをかわし、(匕首は)銅柱に刺さった。嬴政は荊軻を何度も刺し、その後人に命じて外へ連れ出し殺した。荊軻は嬴政を刺殺できず、却って秦王を刺激し燕国へ侵攻させてしまった。
張良が師を得る
博浪沙の秦始皇帝刺殺の失敗後(※)、張良は名を隠し下邳に潜んだ。ある日、彼は一人の老人が橋の上に座っているのを見た。わざと靴を橋の下に落として、張良に言った「小僧、下りてわしの靴を拾ってこい。」張良はちょっと腹が立ったが彼がずっと年上の者だったので、言われた通りにした。だが老人は手を伸ばすことなくこう言った「履かせんか!」張良はぐっとこらえて膝をついて彼に靴を履かせてやった。老人は何も言わず笑って去って行った。張良はまったく驚いてしまって老人の去って行ったあとをぼうっと眺めて立っていた。すると思いがけず老人が戻って来て、こう言った。「小僧にいいことを教えてやろう!五日後の夜明けに、橋の上でわしを待ってろ。」張良はすぐにひざまずいて感謝を述べた。五日後すぐにその場所へ行くと、あの老人は既に来ていて、怒って言った「お前はなぜ老人(目上の人)を待たせるのじゃ?五日後にまた来る。」その次に鶏が鳴く頃に張良は走って行くと、しかし老人はもう着いていた。顔中怒りに満ちて「なんでこんなに遅いのじゃ?また五日後だ。」今度は張良は四日目の夜中から橋の近くにいた。しばらくして老人がやってきて、とても満足そうに、一本の書を彼に与えて言った「お前はこの本をしっかりよみなさい、将来必ず帝王の軍師になれるぞ。」空が明るくなって張良が見ると、それは伝説の軍事について述べてある『太公兵法』だった。
※原文「博浪沙刺殺秦始皇失敗后」これは荊軻による暗殺の事ではなく張良が試みた暗殺を指すが、張良はたしか刺殺ではなく圧殺を試みたはずだが…?
* * * * *
→インデックス