連合軍の一つ燕国の軍営へ行き燕の王子・姫平と交渉成立させた張儀。だが反対する燕将士に襲われ、姫狐に助けられるも自分の血を見て失神してしまう。そして秦の函谷関に運ばれた。
* * * * *

天佑:相国さん、相国さん。
張儀:!!ゆうれいだーっ!!
天佑:相国さん、僕はあんたのために温かいお粥を作ってるのに、幽霊だなんて言わなくっても。あんたもまだ黄泉の国へは行ってないんだから、どこから幽霊が来るっていうの。
張儀:お前随分とよく舌が回るようになったじゃないか。言え、なんでここにいる。
天佑:命令ですよ。本当は陣を組んで敵をやっつけ戦火に臨みたいのに、軍の司馬(守備隊長)が僕が宿屋出身だって聞いたらしくて、かまどの火に臨むことになっちゃった。この宿は酒店からは離れてるようだけど(※)。まあこんなところさ相国さん。
張儀:じゃあ安心だな。そうだ、あそこにお前の奥さんから預かったお前の食い物がある、持っていけ。
天佑:相国さん、怪我の具合は?
張儀:大丈夫だ。表面の傷に過ぎない。
天佑:じゃあいいね。(粥の碗を)自分で持って。僕は奥さんからの包みを持って行くよ。
(天佑がさっさと行ってしまったので別の侍衛が粥をたべさせようとする)
張儀:食べたくない、置いといてくれ。
(そこへ姫狐公主がやってくる。公主は張儀に食べさせようと粥の碗を手に取る)
侍衛:相国さまは食べたくないそうです。
張儀:誰がそんなこと言った、私はすごーく腹が減っているぞ!
出て行け、出てけ出てけ!みーんな出てけ!!イライラする奴らめ。
姫狐:まだ治ってないのにそんなに怒ったら傷口が開くわ。
張儀:姫さまのおっしゃる通りです。
(姫狐公主は自ら匙をとって張儀に粥を食べさせる)
姫狐:飲み込みにくいの?
張儀:よく噛んでゆっくり飲み込むのが、養生の道なのです。
※「お酒は出ないけどね」というニュアンス

(その頃、イン・ジー将軍の軍幕では…)
将士:将軍に報告いたします。
イン:入ってこい。相国はどうだ?
将士:それがしがさっき戻って来た軍医から聞いた話では、大丈夫だと。傷口が塞がるのを待ってシェンヤンに帰って静養すればいいとの事です。
イン:お前は相国に会えなかったのか。
将士:それがしが行った時は相国は昏睡されていて、後で相国が目覚められたと聞いた時には、あの姫狐お嬢さんがすでに行っておられて、相国は侍衛をみんな帳の外へ追い出してしまったので、それがし敢えて入ろうとはしませんでした。
イン:私はここで相国の兵を退ける作戦がどうなったか待ってるのに、あの人はまた、行軍の帳を婚姻の帳にでも変えるつもりか?行くぞ!
将士:将軍、行くんですか?
イン:見舞いだ。


(その頃、張儀と姫狐公主は…)
張儀:あなたが(姫平)太子の玉佩を出すとは思いませんでした、いざという時のためのものですか。(※ここの台詞はちょっとよくわからない)
姫狐:婚約した時の物を、彼はまだ覚えてたのね。
張儀:婚約の物?あなたと平太子は…。
姫狐:こんなところで邂逅するとは、夢にも思わなかったわ。
張儀:姫さまが燕国の許嫁…どうしてまた落草(※1)、いや、婚儀から逃げたんです?
姫狐:あの時私は花嫁衣裳を着て、燕国へ向かう嫁入りの車に乗ったわ。まさか魏韓の国境をめぐる争いで戦が起きるとは思わなかった。護衛は散り散りになってみんな逃げてしまった。私は流れ矢に当たって傷を負って。幸いにもウェイ・ランが私を救い出してくれてそれで命をとりとめたの。
張儀:じゃあ傷が癒えた後、どうして故郷へ戻らなかったんですか。
姫狐:江湖の剣侠っていうのも楽しかったし、山塞に長くいると故郷への思いも薄れていったわ。
張儀:…姫さまは燕国の許嫁なのか。しかも平太子の。
姫狐:どうしたの?
張儀:平太子と二人の時何を話したのか教えてくれませんか。
姫狐:よその人には言えないわ。
張儀:…そうだった。私はよそ者だ。
姫狐:宰相さんどうしたの?
張儀:…そんなに見つめないでください。つらい。
姫狐:どうしてつらいの。
張儀:わからない。…これから姫さまはどうするつもりなんですか。
姫狐:張儀、私があなたについてきたのは秦国のためではないわ。秦国と私は関係ない。あなたのためよ。
(張儀はむせ返る)
姫狐:大丈夫?
張儀:…私は覚えてます、姫さまが言った事、張儀と生死を共にすると。(※2)
姫狐:相国とね。
張儀:何の違いがあろう。
姫狐:ないわ。
張儀:どうしてそんなことを…。
姫狐:目が見えなくなったのよきっと。
張儀:…こんな話、とても信じられない、酒、酒を…。
姫狐:ちょっと、気を付けて。
(そこへイン・ジー将軍がやってきた)
イン:ハッハッハ…相国どのいけませんよ、重症の身で。体が良くなったらお飲みなさい。
張儀:…せっかく素敵な人と話してたのに、知恵袋(※イン・ジー将軍のあだ名)のせいでぶち壊しだ。
イン:相国どの怒らないでくれ、急ぎなんだ。姫さまお許しください。わたくし相国どのと二、三話したらすぐ行きますから。ハッハッハ…。
姫狐:…将軍の話はちっとも笑えないわ。
(姫狐公主は出て行く。その後を名残惜しそうに見ている張儀。)
イン:相国どの。…相国どの?こっちを、こっちを向いて。
張儀:名残惜しい…。
イン:函谷関はどうなるんだ。
張儀:わかってるよ…。
イン:相国どのは命の危険を冒してまで軍営を探りにいった、結果はどうだったんだ?
張儀:明日の子の刻に秦軍が夜襲して、燕陣営は燃えて燕軍は負けるよ。
イン:…相国どのの手法はやはり尋常じゃない。たった一度の話で一国を退けるとは。
相国どの、姫さまにまた来ていただくようお願いしてこようか?
張儀:名残惜しい…。
※1 盗賊に身を落とすこと
※2 燕陣営で兵に取り囲まれた時に姫狐が言った
* * * * *
→インデックス