功を建て相国(宰相)となった張儀は護衛兵を引き連れて萱蘇客棧へやってきた。驚いて出迎えた蘇萱らの前で張儀は護衛を下がらせる。
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蘇萱:わたくし相国さまにご挨拶申し上げます。
張儀:安っぽい挨拶だな、やり直せ。(※ここの台詞はよくわからないがとにかく偉そうな言い回しのようだ)
蘇萱:ハァ!?
天佑:おかみさん、だめだって。
蘇萱:あっちいってなさい!
天佑:この人今は相国なんだから。
蘇萱:関係ないわ。張儀、よくお聞き。あんたは陛下に仕える相国でも、あたしにとっては偉くもなんともないわ。相国府はあんたの言いなりかもしれないけど、この萱蘇客棧はあたしの縄張り、あたしの思い通りよ。
張儀:おれはまだ何も言ってないじゃないか。
蘇萱:一旦成り上がったら話の筋も通さない。あんたが言わなくても何しに来たかわかってるわ。
張儀:じゃあ何だと思ってるんだ。
蘇萱:出世したから、ウチで屈辱的な扱いを受けたって仕返しに来たんでしょ。
張儀:そういうことか、おねえさんがそんな噛みつくのなら、おれは偉そうにするのはやめよう。
蘇萱:口で言っても本心はどうかしら。まああたしはちゃんと準備してたのよ、待ってなさい!
(蘇萱は店の奥へ。)
張儀:彼女は何するつもりだ?
(天佑は苦笑いを浮かべるのみ。蘇萱は一巻の竹簡を持って戻って来た。)
蘇萱:相国さま、これが何か見てくださいな。
張儀:ああ、私が酔って心のままに書き綴った文章かな。わざわざ取っておいてくれたのかね。
蘇萱:ツケ!
張儀:ツケ?
蘇萱:これがあんたがウチにツケた分の明細よ。
張儀:陛下が立て替えてくれたんじゃなかったのか?なんでまだ残ってんだー?!
蘇萱:安心なさい、あたしはあんたからも貰おうってんじゃないわ。でもね、もし相国さんがウチで虎の威を借る狐のような真似をするってんなら、あたしはこの明細をシェンヤン城の人たちに見せて回って知らしめてやるわ。相国さまはかつて失意の底にいたけどその志は失わなかった、陛下の恩寵を受ける前には、酒で悔しさを紛らわせ、はらはらと涙をこぼしてたって。
天佑:相国さま、僕は前に乱暴働きましたが、どうか許してください。
蘇萱:立ちなさい!いくじなし!
張儀:おれが今日来たのは、おねえさんにハンカチを返そうと思って。
蘇萱:うわぁ…サイテー。
張儀:洗ってあるよ!
蘇萱:あんた新しいの買ってくるとか考えられないわけ!?
天佑:おかみさん、それだと返すんじゃなく贈ることになっちゃうよ。
蘇萱:なんでだめなのよ。
天佑:贈ることはできないでしょ、だってこの人…。
蘇萱:…ああそうね。こんなお偉いさんになったら。
張儀:じゃあ新しいの買ってくるよ。
蘇萱:ハァ!?…ふん!!

(張儀はまたいつもの上房に陣取る。)
蘇萱:はいこの一壺は、今は相国なんだから、ほどほどにするのよ。
張儀:おまえはお袋みたいだなぁ。相国府でも見張られてて(※)ここでも見張られるのか。
蘇萱:いけない?
張儀:今はだめだな。いつかおれの嫁さんになった日には構わんが。
蘇萱:あんたねぇ!!
張儀:相国を殴るのか?おまえ秦の法律が怖くないのか?ん?
※張儀の母は現在相国府に滞在している。
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