先日、また音楽ドキュメンタリー映画を観た。
「シド・バレット 独りぼっちの狂気」だ。
ここんとこ映画は、何か音楽ドキュメンタリーものばかり観てる…CCR、リトル・リチャード、モンタレー・ポップ、加藤和彦…。
今回は、伝説のバンド「ピンク・フロイド」の生みの親である〝シド・バレット”。
ピンク・フロイドはシドとロジャー・ウォーターズ、リチャード・ライト、ニック・メイスン4名が学生時に結成したバンド。
1960年代半ばから、サイケ~プログレの路線、その世界観はこのシドによって決定づけられたと言えるだろう。
しかしながら、メジャーデビューの年に精神疾患を患い翌年には脱退せざるを得なかった。
そして2006年に60歳で他界した。
シド不在後、ピンク・フロイドは世界的成功と偉業の快進撃を続けるが、ピンク・フロイドのファンはシド・バレットの存在を忘れるどころか、「シドこそ真のピンク・フロイド」と称賛し続けた。
改めて、そのシド・バレットはどんな人物だったか、かつての知人らにインタビューし検証する内容。
監督でインタビュアーはストーム・ソーガソンで、この方はあのピンク・フロイドの名盤「狂気」などのジャケット・デザインを手がけた「ヒプノシス」の中心人物。
しかしながら、彼もこの映画の製作途中で他界…映像作家のロディ・ボガワが後を継ぎ完成した映画。
ピンク・フロイドのメンバーはもちろん、シドの妹、友人、さらには歴代の彼女たちまで登場し、一人物、一人の男としてのシドの側面がどんどん語られていく。
それらの話を聞いてると、改めてシドの才能とチャーミングさが伺える。
LSDなど、当時の欧米ミュージシャンがおおよそ使っていたドラッグのせいではあるが、狂人というレッテルを貼られたのは可哀そうな気がした。
やはり、繊細でその時々に生まれる欲望をどう実現するのがベストなのか?という部分が下手な人だった面もあると思う。
さらに、成功を収めた直後のアルバム「炎~あなたがここにいてほしい」制作時に突然スタジオに現れたシドは、以前とは全く違う風貌で最初は誰も彼とは気づかなかったし、会話もほとんど無かったようだ。
この事もシドの異変を膨らます大きな要因となったのではないか。
自分も、ピンク・フロイド以外にもシドのソロ・アルバムを2作持っているので、彼の思い描く世界を今一度、音楽を通して向かい合ってみたいと思った。
映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」は現在公開中。