今年に入って、お気に入りのテレビ番組が1つ増えた。
よくぞこんな企画を実現したな!
出演する側もよく出たな!
そんな風に思わずにいられない。
それが「御法度落語 おなじはなし寄席!」という番組!
これは、事も有ろうに同じ演題を2人の落語家に順番に行なってもらい聴き比べるというもの。
通常、寄席ではその日の根多帳(各演目帳)が有り、前に出た演題はやらないというのが礼儀。(当たり前だけどね。)
だが、この番組は同じネタを聴き比べて楽しもうと言う、噺家にとっては最も嫌な企画。
しかしながら、登場する噺家さんは1人は江戸落語から、もう1人は上方落語からと決めており、いわゆる江戸~関東圏の落語、また噺家の味と大阪~関西圏の落語と噺家の味を堪能出来る。
同じ話ながらも題名が違ったり、話の内容がちょっと違ってたり、最後のオチ(サゲ)も違うこともある。
また同じ内容ながらも、江戸と大坂の庶民の生活と言うか描かれ方なども違ったりすると、なかなかどうしておんなじ話でも聴き比べが楽しくなってくるのだ。
さらには、落語家それぞれの個性も加わると、より話の感触が変わってくる感じもして愉快。
毎回先方に演じる江戸落語家の淡々とした風の中にクスっと笑わせる手法や、後方に行なう上方落語家の負けてなるものかと言う気持ちも入り、さあ笑かすぞ!という勢いが見え隠れしたり、そんなところも面白いんだなぁ。
前回の放送では落語の有名作の中の有名作である「まんじゅうこわい」を取り上げた!
まあ、この噺は落語の基本的作品ではあるが、上方では間に2つほどの別話も交えたりするそうでフル尺だと45分以上の作品になると言う。
さらには、寄席に来たおばちゃんの客が必ず先にオチを言って困る演目とも…。(笑)
江戸では15分ほどにまとめ、やはり基礎的な位置にある作品となっている。
この回に登場したのは古今亭文菊と月亭遊方のお二方。
それぞれの「まんじゅう」を食う時の再現模様が違うのも見どころだった。
やはり、江戸側の古今亭文菊の食べ方に比べると上方の月亭遊方の食べ方の豪快と言うか舌を鳴らす音をふんだんに入れより庶民的な感じを打ち出しアピールが大きい。
終演後に2名を交えてのトーク時に、司会の千原ジュニアが遊方の食べ方に「正直、関西人として恥ずかしかったわ!」と突っ込む場面も。(苦笑)
とにかく、この型破りな禁断の番組「御法度落語 おなじはなし寄席!」は、毎週チェックしたいと思ってます。
放送は毎週土曜17時よりBS朝日にて。
次回演題は「反対俥(上方では「いらち俥」)を、江戸方:林家彦いち、上方:桂かい枝の両名を迎えての放送となります。