小椋佳 ニューイヤーコンサート2019~50thアニバーサリーを超えて~ @オーチャードホール | 新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

不惑の40代などと言うものの、40代になってから「踏んだり蹴ったり」、「弱り目に祟り目」な日々…。
あれから幾年過ぎ、日々の一喜一憂を好き勝手にほざいてる次第です。

昨年から知人が昔のフォークソングのカバー・ライブを始めた。

色々な曲をやってるが、やっぱり陽水、拓郎あたりは外せない。

そして小椋佳も。

思えば小椋佳というシンガーソングライターはとっても変わったスタンスだった。

現在で言えば、そう“GReeeeN”と同じスタンス。

本業は銀行員なので、その仕事に支障が無い範囲での活動と言うことで、曲作りとレコーディングを行なうのみだった。

ところが、彼が他者に提供した作品がミリオン級ヒットを連発(「シクラメンのかほり」、「俺たちの旅」、等)したこともあり、ついに彼の人生たった1回こっきりのライブを行なうことにした。(チケットは争奪戦で、自分も行ってみたかったが当時小学校か中学校の私には無論入手できるはずもなく…。)

そしてそれをNHKが密着ドキュメント~ライブという形で放送し、高視聴率を納めたものだ。

ところが、世の中絶対というのは無いもので(笑)、その後に彼は銀行を退職し音楽を本業にしてしまった。

なので、公演も始めたしテレビ出演も多くなった。

昨年、テレビで小椋佳が出演し歌っているところを見て、だいぶ歳を召されたなぁと思った。

そうか、あの伝説のライブに行きたかったが当然チケットなど取れるわけもなくテレビを見ていたことを思い出し、そろそろ小椋氏も存分な活動も出来なくなる可能性もあるだろし、そんなわけで一度くらい生で観ておこうと、先週末に行ってみました。

 

会場は渋谷のオーチャードホール。

自分は開演ギリギリに着いたが、もう3階席の一番上まで満杯でした。(ええ、自分がその3階席の一番上にいたもので)

(撮影時は、1部と2部の合間の休憩中です)

 

まずは、サポート陣によるイントロダクションで「しおさいの詩」をアレンジしたインストが奏でられ、やがて小椋氏登場。

ピンクのネクタイとパンツで見た目は若々しい色合いだが、歩いてくる歩幅が小さく猫背になって年齢を最上席からも感じてしまう。

1曲目は、初期のナンバーで「木戸をあけて」。

懐かしい!

ただ、やはり声の出は衰えが出ており、音程が揺れたり、伸ばしきれなかったり、ひっくり返ることも…。

聴いてるこちらが咳払いしたくなる…。

歌い終えてのMCは客席に高齢者が多いと(笑)、しかし当の本人だってと思ったら、「今月で75歳になり、いよいよ後期高齢者になってしまいます。」と。(笑x2)

そうか、75歳になって歌い続けて、このオーチャードホールが完売になるなんて、逆に凄い。

さすがです。

その後、母親をモチーフに作った曲を2曲続け、研ナオコに提供した「泣かせて」などの失恋ソングを3曲歌ったところで「もう充分歌った気がする」と。

ここで、1人ウクライナの女性ミュージシャンを呼び込み、彼女にバトンタッチして提供曲の「命はいつも生きようとしている」を女性コーラス隊とともに披露。

ナターシャ・グジと言う方だが、日本語は完璧でとても伸びやかな美声の持ち主。

その後、小椋氏と交代し3曲ほど披露し、1部の最後には、女性コーラスだけでなく老年層の男声コーラス隊も加わり「次の町へ」と言う曲を歌ったのだが、ここでの小椋の歌唱は力強く、これまでの頼りなさを感じさせる歌唱とは違ったのには驚き!

思えば、サポートメンバーにハモやコーラスなどはさせてなかったな。

自分の声だけでやると言う意思があるのだろう。

 

2部は、東京フィルハーモニー楽団と小椋氏のみでスタート。

2部の1曲目はこれまた初期に井上陽水と共作した「白い一日」で始まった。

その次は「少しは私に愛を下さい」と懐かしいナンバーが続く。

その後に朗読劇が行なわれる。

最近はよくコンサートで自分が作った芝居を声だけで演じるコーナーを入れているとの事。

ここで、1部のサポートメンバーとナターシャが朗読俳優として再登場。

「家族」というシナリオで、ここで小椋はいわゆる“ト書き”である劇の進行役と時折その時々のテーマに合った歌を歌唱する。

劇の間、オーケストラはBGMに徹し、そういう意味では豪華な朗読劇かも。

劇中には私の好きな「揺れるまなざし」や美空ひばりに提供した「愛燦燦」などが歌われた。

劇終了後には、代表曲である「めまい」「俺たちの旅」を歌い、本編最後は自身の死生観を歌にした「山河」で終了。

 

アンコールで再び登場。

MCで、舞台袖からマイクの位置までの距離でもう足がちゃんと動かなくて、みたいな事を言ってましたが確かにそんな出方でした。(苦笑)

小椋氏は2年前に「生前葬コンサート」というのを4日間やって、「ホントはその翌日パッタリ行けば良かったんですけど、生きてまして…」と言うことで昨年のライブは「一周忌ツアー」にしたと。(大笑!)

それで、レコード会社からもう1枚アルバム作りましょうと誘いがあったのだが、もう充分に歌もアルバムも作ったので遠慮しますと固辞し続けたのだが、レコード会社から「小椋さん、誰にも“遺作”と言うのがあるでしょ!」と言われ、首を縦に振ったとのこと。(笑)

で、アンコールはその新作から最も最後に自身の中で最も新しいナンバーとなる「かえりみれば」と言う曲と、あと小曲を歌い、この日の全てのメニューが終了。

 

もう、やはり発声が厳しくなってはいたものの、生で小椋佳の歌を聴けたのは良かったのではないかと。

今後も、末永くお元気で活動していただきたいと心より願っております。