本日、ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィス(tp)の名作「ビッチェズ・ブリュー」の幻の4chミックス世界初復活試聴会へ行ってきた。
なんじゃ?“幻の4chミックス世界初復活試聴会”って?!(笑)
これに関して説明すると、、、
まず「ビッチェズ・ブリュー」という作品は1970年に発表された。
当時、ステレオ(=2ch)は普及していたが、さらに2チャンネル多い4chステレオも開発されていた。
そして発表翌年の1971年にこの4chミックスのレコードが発売された。
しかし、その後は現在でも同様に音楽は2チャンネルで聴く方法が圧倒的に多く、いつしかこの4チャンネル音源商品は時の流れの中に埋もれていった。
それを今年再び4チャンネルミックスの音源を、日本でのみCD化して発売となった。
つまり、「幻と呼ばれた4チャンネルステレオ用ミックス音源を日本が世界で初めてCDで復活させて、その音源の試聴会」をしたのである。(これでも、よう判らんか…。)
そんなわけで都内某所の会場に到着。
ビルの入口の壁にLPレコードサイズのジャケットがただ貼り付けられているだけ。(笑)
建物の入口を入るとすぐに受付が大々的にあるので、迷うことなどはなかった。
受付を済ませ、試聴会場となる50人ほど収容の小さな映画館のような部屋に案内された。
この「ビッチェズ・ブリュー」はマイルス・デイヴィスの最高作と呼ぶ人が多い。
非常に簡単に(乱暴に?)言えば、’50~60年代のモダンジャズの時代の終焉を告げた、エレクトリック・ジャズの大作、という感じ。
電機楽器やエフェクトを多用し、セッションもそれまでのせいぜい5人くらいのメンバー編成を12人くらいの編成でレコーディング。
とにかく、全てにおいて全く新しいアプローチを見せたジャズの歴史的作品となったわけです。
商業的にもリアルタイムで成功し、マイルス初のゴールド・ディスクを受賞し、ビルボード総合チャートで35位まで上昇した。
でも個人的には最初聴いた時は何が何だかてんで解らずに「はぁ…??」って感じでした。(苦笑)
ただやはり名作は自分に理解できなくても「なんか凄ぇかも?」と言う感じを残すんですね。
ピンク・フロイドやキング・クリムゾンなどのプログレを聴いた時もそうだった。(ま、向こうの方がロックな分だけ、てんでポップでしたけど)
3年くらい前だったか、近所の図書館でこのアルバムを借りて聴いた時も、ついつい“エレクトリカルな音”(キーボードやエレキギター、そしてディレイなどのエフェクト演出など)とそれに絡むマイルスのトランペットがどう出るのか?って辺りに自ずと意識が行ってしまい、むしろ大所帯な音が時にさらに“よく解らん的要素”を助長しているようにも思えたりした。
そんな作品を4chで聴くとどうなるのか?
ちなみに、試聴会ではアルバムで言うところの1枚目分、つまり1曲目の“ファラオ・ダンス”と2曲目にあたるタイトル名の“ビッチェズ・ブリュー”の2曲を試聴。
聴いたその感想は、、、
いや面白い!
まず“ファラオ・ダンス”では電気的な部分よりも、鳴り物の音がクリアでストレートに入ってくる。
ツインドラムの役割分担やパーカションの音もよく判る。
これは個人的には意外な驚き!
とにかくすっきりと聴けるのだ。
久々にディスク音楽を聴いていてワクワクしている自分に気付く。
そして2曲目“ビッチェズ・ブリュー」へ。
なんと49年前の今日、このセッションはレコーディングされていたんですねー!
そしてこれは圧巻だった。
電子エフェクトが、これまでは前面せいぜい右と左のスピーカーに分かれたのが、前後に分かれ、マイルスの独特の高音の単音は生音が左前から流れるとエフェクトしたディレイ音が右後方から跳ね返ってくる。
もちろんそれ以外の“よく解らん的要素”を助長していたように思えた大所帯の音が360度取り囲み、自分の周りでプレイしてくれているような錯覚さえする。
前述のように49年前の今日やった事を聴いてると思うと、タイムトリップしているようにも思えてきて、もう試聴会じゃなくて体感会ですね、これは。(笑)
面白かったー!
あっと言う間に終了し身支度していると、後ろから私の名を呼ぶ人が…。
なんと、かつて同じ会社で仕事した人物も当選して来ていた!
場外ロビーには、かの湯川れい子女史がスタッフと談笑している光景を発見。(こういうのきちんとチェックされてるんですね)
帰り道に元同僚と当時の仕事話や音楽話をして帰宅。
なんか、そういのも嬉しいねぇ。
今では4chステレオのある家庭なんて無いだろうけど、最先端のサラウンド・オーディオを家に持つ人はいるでしょうね。
それで、この『ビッチェズ・ブリュー SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディション』盤を聴くと楽しいでしょう。
それにしても4chステレオなんて何十年ぶりに聴いたろう?
余談だが、昔“SANSUI”というオーディオ・メーカーが4chステレオを発売して、その販促グッズとして4chステレオ用レコードと言うのをイベント参加者にプレゼントしてくれるというので、どうしても欲しくてその条件のカラオケで歌うというのを同級生と一緒にやり、声がうわずり、音程もリズムも見事に外れまくって、冷や汗だらけで、そのレコードを貰ったことがあったっけ。(苦笑)
ちなみにそのレコード、シンガーソングライターの小椋佳の代表曲(こちら2chの普通のステレオ音源)の曲間を自然の音を4ch用に録音した音源で繋げるノンストップ盤というものでした。
久々の4ch音源と「ビッチェズ・ブリュー」を聴いて、楽しめたのが何より収穫。
また機会があればこういった音源を聴いてみたい。
【追記】
後日、アンケートに書いた感想がホームページに抜粋され紹介されていた。
なんと私のコメントも…!
(一番、頭悪い感じのコメントがわたくしでございます…。恥)