1973年3月1日、英国でとんでもないロック・アルバムが発売となった。
それこそがピンク・フロイドの8枚目のアルバム『狂気(英題:The Dark Side Of The Moon)』である。
恐らくロック史上これまで、いや!今後も含め最もCOOLなジャケットの名作!
この、プリズム光線だけで、アーティスト名もアルバム名も無い潔くもアート性が高いビジュアル。
いやカッコいい!!このデザインは有名なヒプノシスの代表作ともなった。
また、Billboard 200に15年間(741週連続)にわたってランクインし続けたというお化けアルバム!
さらにカタログチャートでは30年以上!(1,630週以上)に渡ってランクインするというロングセラーでギネス記録まで打ち立てた歴史的なアルバム!!
シングル・カットとなった「マネー」のヒットで彼らにとって初の全米No.1アルバムにもなった。
この「マネー」って久々に聴いて解ったんだけど、7拍子なのね!?
ブルージーなロックな印象があったんだけど、いやいや新たな驚き!!
個人的にこのアルバムを知ったのはリアルタイムではなく、多分中学1年生の時。
その頃、ようやく“ステレオ”という概念を知った。
テープレコーダーやレコードプレーヤーには1つのスピーカーしか付いてなかったが、“ステレオ”という装置にはスピーカーが左右に2つあるのは、左右違う音が出ることで臨場感が高まるということに気付いた。(笑)
そこで、お金を貯めて安いプレーヤー、手作りキットのアンプ&スピーカーを組み立てて(実際には手先の器用な同級生が殆ど仕上げてくれたのだが)、ステレオで音楽を楽しむようになった。
こうなると、よりステレオの左右から出る音の違いを如実に楽しみたくなってきて、当時購読していた雑誌『FMレコパル』のオーディオ記事で、ステレオ感を楽しむ作品を3作ほどピックアップしていた中にこの『狂気』があった。
(他のアルバムは確か、クラシックとジャズじゃなかったっけかな?)
何故、この『狂気』にしたかと言えば、やはりこのジャケットのカッコ良さは間違いなくあった。
で、実際に買ってかけた時は、そりゃ驚いた!
これまでに聴いてきた曲が10曲とか入っているアルバムとはあきらかに違った。
だって、音が最初出ないでしょ?!(苦笑)
いわゆるフェード・インで冒頭30秒くらいは何だかよくわかんねぇ音がちっちゃく鳴ってるようで…。(笑)
しかも歌=楽曲ではなく、効果音のオンパレード!
そんな始まりのアルバムを13歳にして初めて聴いたわけです。
そんな実験的なもん、本来なら受け入れようもないタイプなのだが、やはりステレオの左右の音の違いが楽しめたのと、せっかく買ったのだから我慢して(?)何度か聴いてるとアルバムの中盤の“タイム”のベルの大音響から始まる辺りから、続く“虚空のスキャット”のソウルフルなコーラス、前述の“マネー”のレジ音とポップなロック感、“アス・アンド・ゼム”の浮遊感の流れが不思議と自分でも好きになってきた。
そこからは、この『狂気』、そしてピンク・フロイド、さらに彼らの音楽ジャンルの“プログレッシブ・ロック”に嵌って行ったのだった。
それに“コンセプト・アルバム”というものの存在にも。
一時期はコンセプト・アルバムと言うものを調べていたこともあったっけ。
この名作が世に出てもう45年が過ぎたのか…。
そりゃ、ピンク・フロイドのメンバーももう殆どいなくなっちゃうよね…。
ああ、彼らのライヴを一度も経験していなかったのが大きな後悔である。。。
歴史的名作『狂気』をどうぞ!