恐るべし高橋洋子~「八重子のハミング」試写会 | 新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

不惑の40代などと言うものの、40代になってから「踏んだり蹴ったり」、「弱り目に祟り目」な日々…。
あれから幾年過ぎ、日々の一喜一憂を好き勝手にほざいてる次第です。

昨日、久々に映画の試写に行った。

個人的に邦画はあまり好きではない。

さらに“涙の~”なんてのはなおさら。

しかしながら、昨日行った試写はまさにそんな映画。

では何故行ったのか??

 

それはひょっとしたら忘却の彼方に追いやられているかも知れない女優が主演だから。

その女優とは…高橋洋子。

デビューはNHKの朝の連続テレビ小説「北の家族」でのヒロイン役。

決してとびきり美人というわけではないが、憧れのお姉さん的、親近感を持つ感じでした。

もっともあの頃のNHKの朝ドラは、大竹しのぶや浅茅陽子、等々、そんな感じの方々が主演デビューしていました。

で、この高橋女史を「傷だらけの天使」(第16話“愛の情熱に別れの接吻を”)にゲスト出演したのを再放送で見て懐かしく思い出していたところでした。

この時の演技もひょんな事から主役の萩原健一に寡黙に一途に思いを寄せる~でもちょっと頭の弱い感もある少女の役を見事にやり切った。

この女優さん、見た目は地味(失礼!)ながらも演技が凄いインパクトを残す、それも決して押し付ける感じではない。

その後も、映画「旅の重さ」、「サンダカン八番娼館 望郷」で評価を上げ、「ひとごろし」では文学座同期の松田優作と共演も果たした。

しかし、1990年代に入ると一切表舞台に出なくなり、事実上の女優引退状態に。

 

そんな矢先に彼女の主演映画「八重子のハミング」という作品の試写があるというので足を運んだ次第。

映画は、実直な教師夫婦の旦那に癌が発覚し、そのショックを引き金に妻の方がアルツハイマーを発症し、その後も癌発症~治療を繰り返す夫と、加速をつけてアルツハイマー病が酷くなる妻の夫婦の強い絆の物語というもの。

彼らを支える家族や友人、同僚、教え子たちがあまりに良い人々ばかりなのが出来すぎな感はあるが、こちらも初老にさしかかる齢だし、親がこんな状態になる可能性だってあることを思えば、多少なりとも無関心には見てはいられないところもある。

そんな映画ですから周囲のお客さんはすすり泣きやハンカチで涙を拭う方々が多発。

かくいう私も途中涙がこぼれはしましたが。(苦笑)

しかし、この映画の凄いところはやはり高橋洋子の演技の凄まじさ!

もちろんアルツハイマーに冒される妻の八重子を演じている。

人が、壊れていく、退化していく、その演技の迫力たるや見入ってしまう。

でも、やはり押し付けがましくないのが、また凄い。

28年ぶりに女優復帰してこんな演技を見せ付けるなんて、いと怖ろしき高橋洋子の女優魂!

途中から涙がストーリーに関してではなく、高橋洋子の演技への感動の涙へと変化していた。

 

この日は、監督、出演者の登壇挨拶が上映後にあり、高橋洋子さんも登場。

この八重子の演技はペットの気持ちや幼子の気持ちになるように努め、常に童謡を頭の中で歌いながら八重子を演じたと語った。

なるほどねー。

それにしても長きに渡るブランクを微塵も感じさせない熱演、いや怪演といえるのではないか。

ちなみにこの作品は、自主的映画(敢えて“自主映画”とは言いたくないとのこと)で、監督やスタッフらが個人献金なども集め作り上げた作品で、この日も監督の佐々部清氏自らがMCを買って出ていた。

そんなわけで宣伝費なども無いので、この試写会に参加した客にも写真を撮らせてネットで拡散して下さいとのこと!

せっかくなので私も…。

左から、佐々部清監督、文音、主役の升毅、高橋洋子、中村優一。

 

映画「八重子のハミング」は5月6日より、東京、横浜にて公開。

高橋ファンには、ベッドシーン、入浴シーン、キスシーン(あれらをそう言うか?!)もあるので、よろしければ是非。