暑い…!
東京は先週末から急激に夏日に。
昨日は、暑さ凌ぎも兼ね、通常では無闇に行けないところへ行ってみた。
まず目指すは「環状7号線道路」。
環状7号線、通称「環七」と言ってもいささか広うござんすが、今回は杉並区は堀の内。
環七は幾つかの河川と交差しているが、善福寺川との交差部に「善福寺川取水施設」というのがある。
今回はここから、環七の地下にある雨水貯節用の巨大トンネルの潜入見学が出来るというので行ってみた。
まず受付で入館手続きを済ますと、資料やらお土産やらの入った袋を渡され、大きめな会議室へ通される。
1回の見学で50名ほど参加かな?
こちらでまずこの施設のあらましやらシステムやら過去のこの川で起きた水害の映像・画像も含めて説明があったが、もう慣れているのかとてもコンパクトにまとめてあり、短時間で概要が判った、素晴らしい。
この施設は、平成9年より運用開始し、翌平成10年に完成。
最大54万トンの水を溜めておくことできるそうな。
54万トンは、よく学校にある25メートルプール1800個分に相当。
年々、台風(今も向かってますが)やゲリラ豪雨が激しくなるなか、1度だけ54万トン貯留したことがあったそうだ。
それが一昨年の2013年(平成25)の台風18号の時だったとのこと。
説明が終わると2グループに分かれ、次の見学場所へ移動。
私のいたグループはまずはコントロールセンターへ。
こちらは、施設をコンピューターで管理するパネルと、各河川のポイントに置かれたカメラの映像を確認できるモニターがある。
意外や簡素な室内と言うか、ムダが一切無いような多少あっさりし過ぎな感もする部屋でした。
続いて、この施設の働きを模型化したものが置いてある部屋へ移動。
上掲画像左端(オレンジ色のミニチュアトラックがあるところ)が“環七”でその地下奥深いところにあるチューブ部が、地下トンネルである。
そして右側にある太い縦のチューブが河川に増えた雨水を地下へ送り込む流入孔で、その下で地面と平行にあるチューブが流入孔から環七地下貯節池トンネルへと送り込むための連絡菅渠となる。
実際にこの模型へ水を流して、どう流れていくかを見せてくれた。
本日は、この縦にある雨水流入孔最下部へ降り、環七地下貯節池トンネルに続く、連絡菅渠を歩き、環七地下貯節池トンネルとの合流点まで行く。
あと、この部屋には掘削に使用した“シールドマシン”の模型もあった。
それでは待望の地下へいざ出発!
ビル14~15階分の高さを階段でずんずん降りていく。
5~6階分降りたあたりから湿気を感じ、若干カビ臭も漂ってくる。
さらに降りると、階段が染み出してきたのか水で結構濡れている…だいじょぶか?(笑)
そして遂に最深部に到達すると、そこはポンプ室。
そうだ、書き忘れていたが、貯めた雨水は2日かけてまた元の川に戻す。
その際、当然ながらポンプが必要になるのだが、そのポンプがこれらである。
前述のように最大54万トンを元の川へと排出できるのだ。
そしてここが地上より43メートル地下になる。
当然、涼しい。
16~7℃です!
この日は、東京は30℃以上あったでしょうから、一気に13~4℃低いところに来ると、一部には「寒~い」と言う人々も。
さあ、それでは地下トンネルの方へ進みましょう。
ポンプ室から、あたかも潜水艦に入るようような取っ手の扉を開け狭い通路を潜ります。
ちょっとピンぼけになったので、潜った後に振り返るとこんな感じ。
なんか映画『エイリアン』のセットに来たような気さえする。(笑)
で、この狭路を抜けると、そこには先ほど模型で見た地上から縦に降りてきた雨水流入孔が天井に見える。
そして“環七貯節池トンネル”へ延びる連絡菅渠を進む。
しばらくすると、一部絵が描かれていた。
おそらく建設時に近辺の小学校の児童にタイルへ描いてもらったのだろう。
地下の暗い通路だと、この絵でほっこりするでしょう。
そしてそして、環七地下トンネルとの合流点へ!
来た連絡孔を振り向くと、こんな感じ。
残念ながら、環七地下部はこの合流ポイントだけしか居られないが、環七同様に南北に延びる地下トンネルを、暗い中で悪戦苦闘して撮影を試みる。
地下トンネル南側を臨む。
判りづらいと思うが、南側には勾配があり下っていく傾斜が続く。
対する北側を臨むと、
こんな感じで、その天井をもうフラッシュ焚いて撮らせてもらった。
この43メートル上に環状7号線があり、その地表を多数の車が行き来しているのだと思うと感慨深くなる。
ここで、係員から「一度ライトを消して真っ暗にしてみますね。」と声がかかり消灯!
ほら、真っ暗!って、こんなところでシャッター押して何の意味があるんだ?俺!(苦笑)
そろそろ引き返す時間に。
帰りは、一番後ろを歩き、フラッシュを焚きながら撮影もしてみた。
トンネル内でやたら見かける白い曲線とカタカナ…一体何?
これらはトンネル内壁の欠損状態がどんなに小さくても発見した場合にその印をつけていくんだそうだ。
ちなみに、各カタカナの意味は、
ヒ…ひび割れ
ハ…剥がれ
ウ…浮き
ロ…漏水
である。
かなり沢山見受けられるが、この位では全く問題は無いそうだ。
それでも気になるヒビには、下掲画像のように「ひび割れメーター」を設置し赤丸で囲い、チェックを怠らない。
地上へは、エレベーターを使用して上がっていきました。
地上に出ると、モワッとする暑さ!
アンケートを書き終えると、よく冷えた「東京水」をいただけた。
ええ、ただの水道の水がペットボトルに入っています。(笑)
それだけ、東京の水道水はクォリティが高いということです。
(以前「ブラタモリ」でタモリも飲んでいたっけ)
また水圧実験として、ドアの向こうに水が30センチ、50センチ溜まっていた時のドアを開ける体験コーナーがあった。
チャレンジしてみた!
30センチは実質25センチくらいだったのもあって、体重をかけて押せば何とか開く。
だが、50センチは無理。
隙間が開くので、水をこちら側へ流しつつ、しばらく堪えていれば何とかなるかと思うも根負け。
実際だと、隙間から入り込む水の勢いで足も踏ん張れないだろうし、豪雨でドアの向こうに尋常でな雨水が降り続けてる状態でもあれば、根競べしても絶対に無理だわ、こりゃ。
このスペースでは、子供見学者用にスーパーボールすくいもやっていたり、
ポンプ車の展示もあった。
これにて見学は終了。
せっかくなので説明されていた善福寺川の取水部分を見ながら散歩。
基本的には増量したら自動的に水が取水センターへ流れ落ちるようになっている。
しかしながら、危険水域を示す線は描かれている。
逆三角形の下にある太い線がそれ。
帰り道、普段なら全く目に留まることもないだろう「冠水表示板」が環七にあることを見つけた私は、なぜか1人ほくそえむのだった。(笑)