
BUZZは、小出博志氏(Vo、G)と東郷昌和氏(Vo、Key)の2人からなる、1970年代に活躍したグループ。
男性2人組みグループだと、このブログでも紹介したNOBODYや、風が好きなのだが、このBUZZも結構良いのだ。
BUZZは、70年代という時代もあり、フォークとニューミュージックのどちらにも足を置いてるような印象で、そうだなぁ同じ男性2人組みグループで言えばブレッド&バターとふきのとうを足して2で割ったような感じかな?と。
実際、東郷氏はブレバタとのユニットでも活動しているし、学生時代から、高橋信之・幸宏兄弟と友達で、ユーミンやはっぴいえんどの面々とはかなり古い時代から交流があったようだ。
で、BUZZの代表曲と言えば、70年代に一世を風靡した「日産スカイライン」のCMソングである「ケンとメリー~愛と風のように~」だろう!
実は、BUZZの2人はいわゆるスタジオ・セッション・ミュージシャンとして多くの楽曲のコーラスやCM曲を歌っていた人たちで、この「ケンとメリー~愛と風のように~」が話題騒然となって世に出るにあたり正式グループ結成となり「BUZZ」としてのデビューとなった。
前述のNOBODYが楽曲提供+自分たちの活動という玄人系のグループだったが、こちらのBUZZは様々な楽曲の歌唱+自分たちの活動というスタンスだった。
2人の突き抜けるようなそれでいて暖かみのあるハーモニー、コーラスは聴いていてとても心地よい。
実際、ユーミンをはじめ、松田聖子のデビューから一連のヒット曲群、田原俊彦の「ハッとしてグッド」、近藤真彦「愚か者」、等々は彼らがバックコーラスを務めている。
私は、彼らの4枚目のアルバム『君を迎えに来たよ』というアルバムを持っていて、いやぁホントよく聴いていました。

このアルバムには、おそらく「ケンとメリー~愛と風のように~」に次ぐスマッシュ・ヒットの「はつかり5号」という、「あずさ2号」の兄貴的ポジションの曲(?)が収録されていた。
個人的には、伊勢正三提供詞の「記念日」や、恋人から死期を告白される絶望を歌った「わかれ~詠決~」と、ここからシングル化された曲も好きでした。
とは言え実は私、このアルバムと「ケンとメリー~愛と風のように~」とあと何曲かは知っているくらいで、BUZZの全曲を知っているわけではなかった。
しかしながら、先日ふとしたきっかけで彼らの歌声を耳にして、ネットで調べたら数日後に東京でライヴがあると知り駆けつけた次第。
(なので直前にYouTubeで彼らの曲を色々聴いたりして…。苦笑)
会場は原宿にあるライヴハウスの「ラ・ドンナ」。
いわゆる、ブルーノートやビルボードのようなお洒落で割高なレストラン系。
(ビール1杯1,000円やコーヒー1杯900円は、ぼり過ぎ!)
場内は、40代~60代の客層で意外や男性客の方が気持ち多い感じ。
開演時間となり、メンバーが登場。
BUZZの2名にサポート・ギタリストが1人のたった3人のステージながらも音に薄さを全く感じさせない演奏。
最初に2曲、私は馴染みの無い曲だがMCで「レクイエム・シティ」と「TOKYOサンバ」と言った気がする。
続いては「センチメンタル・ブルー」。
MCで、この曲は当時絶頂期の筒美京平がBUZZのために書き下ろした曲だと、BUZZのメンバーは勿論、作者の筒美京平御大も周囲の音楽関係者に話していたことからミュージシャンの間でも話題になり「この曲が当たって、お前たちも変わってくんだろうなぁ」などと言われ「いや、そんな俺たち変わんないよ」と言ったやりとりをしていたが、変わることが全く無いままに過ぎた(=この曲は売れなかった)と。(笑)
MCは東郷氏の担当で、軽妙な喋りも武器ですね。
(また、この日は何度も「BUZZファンは暖かく、視線は熱く、とても嬉しい。でも、みんな友達を連れて来ない。」と…。<笑> 確かに私も1人で行きました。<苦笑>)
対する小出氏は完全な口ベタ。
この日も一言挨拶をして、しばらくシーンとした空気になるや、東郷氏から「え?もう喋んないの?」と突っ込みが。
東郷氏は、「歌いたいし、喋りたいし、いつか僕だけのステージでいいので、お客さんも何人かいてくれるだけでいいので、思う存分喋って3時間くらいのライブがしたい!」との事。(笑)
演奏は続いてアルバム『WE LOVE POPS』の中のナンバーをメドレーにして披露。
そして、毎回ライブではお客さんに楽しんでもらうためにいつもライブごとに趣向を凝らしたものをやろうと決めているそうで、今回はそれぞれがメインを取る曲をお互い変えて歌ってみよう(つまり、小出氏がリードの曲を東郷氏が、東郷氏がリードの曲を小出氏が歌う)と前置きして歌った2曲が、なんと聴き込んだアルバム『君を迎えに来たよ』から前述の「記念日」を東郷氏のヴォーカルで、そして陽気な「チャラチャラ」という曲を小出氏が歌った。
いやー、共によく聴いた曲、それを音源では聴けないヴォーカルを代えたバージョンで聴けて完全に気分は高揚。(笑)
何十年も聴いてなかったのに、空で歌えたほど。
やはり「記念日」は名曲だ。
詞がジンと来る。(よければこちらで詞をどうぞ。)
その後、なんとサポート・ミュージシャンの平野融氏のリード・ヴォーカルでコニー・フランシスの「Pretty Little Baby(可愛いベイビー)」を披露。
そして前半1部の最後に歌ったのが名曲「ケンとメリー~愛と風のように~」!!
いやいや、完全にこの1部だけで持っていかれました。
休憩をはさみ、2部開始。
2部も最初から2曲馴染みの無い曲だったが、後のMCで「一の橋から」、「ガラス窓」と言っていた。
続く曲も馴染みの無い曲だが、「ケンとメリー~」や「朝」にも通じるような雰囲気の曲。
「インタビュー」という曲だった。
この曲を歌ったあと、この曲の作者である高橋信之氏が客席にいると紹介。
客席内の中央テーブル2卓を陣取っていたほぼ年配男性ばかりのグループは、高橋氏の関係者たちだったようだ。
最初の方で記したように、BUZZはそもそも既曲を歌うことが原点の2人なので、歌うことで表現者としての側面と、自分たちで作詞作曲をするソングライターの側面の2つがあると言い、次はカバー曲を2曲披露。
まずはCMで石川さゆり~ハナレグミの歌声でお馴染みの「ウィスキーはお好きでしょ」。
こういう雰囲気の中で合います。
ウィスキーに続いて、80年代初頭にビールのCMで知られた松田聖子の「スゥイート・メモリーズ」。
ん~、目の前にあるプレミアム・モルツがすすむ、すすむ。(笑)
東郷氏が、小出氏のハイトーンのヴォーカルは女性ヴォーカルの曲にとても合うと絶賛。
全くおっしゃる通りですね。
女性ものの歌を自然にいいなぁと聴かせられる男性シンガーって今はそういないような気もする。
続いて、東郷氏は「僕は女心が判らず、男性の歌しか歌えない」と前置きして歌ったのが「あなたが消えそう」。
この日は2月に入ったもののかなり暖かい日でしたが、当初の予想ではもう寒くなってるだろうからと冬の歌で童歌のような「のい」と、秋の歌ながら肌寒さを感じさせる『君を迎えに来たよ』収録曲「紅葉だより」と続く。
そして、ついに本編最後の曲「君を迎えに来たよ」でクロージング。
場内すぐさまアンコールの手拍子。
アンコール2曲を歌い、下がるもまたアンコールの手拍子!
2ndアンコールは予定外だったと語り、やはり私の好きな『君を迎えに来たよ』のオープニング・チューン「想い出の中へ」を演奏。
メンバーが掃ける途中で3度アンコールの手拍子が起こると、小出氏が客席に向かって胸の前で両手を交差しバツ印を作るも、場内は一切アンコールが途絶えない。
3度めのアンコールにも応えてくれました。
これは、もう本当にこの日予定した曲の楽譜もメンバー分なく、サポートの平野氏が小出氏にぴったりくっついて一緒にひとつの楽譜を見ながら演奏していました。
まだ小学生の時分にBUZZの歌声を聞いて以来、初めてライヴ体験。
「はつかり5号」と「わかれ~詠決~」が聴けなかったのは残念でしたが、楽しい時間でした。
また行ってみたいかな。
今度は誰か、BUZZを知っている人でも探して。(笑)
最後に、あの名曲を懐かしいCM映像とともにどうぞ!