矢野顕子さんというと私のイメージは、かっ飛んだ音楽感性の塊という感じながらも、庶民の感性もまた共存するという絶妙なバランスを保っている人である。
だって、「ごはんができたよ」なんてタイトルなのにあんな演奏の音楽だったり、昭和初期の「丘を越えて」なんて曲も全く違う感性でカバーするし。
なので、一度ライブを観てはみたかったが、結果「俺にはよく判んないなぁ」という感想を抱きそうな気もして、これまでは躊躇気味でもあった。
本日のライブは「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」というアルバムを出し、そのライブであった。
実は、清志郎も一度くらい観てみたかったけど躊躇気味だった。
そうこうしてる間に他界してしまった。
正直、RCサクセションの有名曲とタイマーズのヒット曲くらいしか清志郎の曲を知らない。
ソロの曲なんて全く知らない。
にも関わらず行って来ました。(笑)
会場は日比谷公会堂。


このホール自体に来たのも、もう何十年ぶりだろう。
数多くの音楽ホールができたので、この箱でコンサートがあるというのが不思議なくらい。
何故、ここを東京公演の場所に選んだのか訊ねたいくらい。
で、ライブはステージに吊られたスクリーンにキヨシローと矢野顕子の共演ライブの映像からスタート。
そしてその映像の途中から、ピンクのドレスを身に纏った矢野顕子が登場!
ステージ中央に置かれたグランドピアノに座り、キヨシローの作品を歌い紡ぐ。
残念ながらどの曲もほとんど知らない。
しかも原曲の面影を留めないほど独自のアレンジを施す人なので、知ってる曲をやっても判らない。(苦笑)
その証拠に「デイ・ドリーム・ビリーバー」もサビに来るまで判らなかった。
基本的には彼女の弾き語りのライブだが、クライマックスはゲストに招いた「MATOKKU」というユニットとの競演。
このユニットが非常に奇天烈な編成で、ピアノにテルミンとオンド・マルトノという見たこともない楽器。
アナログ的なシンセサイザーとでも言うべきか。
しかも彼らの清志郎の曲のアレンジが矢野顕子以上に前衛なアレンジ。
よく演奏と矢野顕子のヴォーカルが成り立つなと思うほど。
でも、こんな変わった人たちを探してきて、清志郎のカバーを一緒にやろうという発想が、やっぱり矢野顕子たるゆえんでしょう。
音楽面ではかっ飛んでるが、MCや自作曲の歌詞ではやはり庶民性が垣間見れる、当初思った絶妙なバランスはやはりそのままであった。