ここ数日、坂口良子(女優)、リック・フレアーの息子リード・フレアー(プロレスラー)が急逝して驚いたが、個人的にはこのフィル・ラモーンの死が一番衝撃だった。
70年代に多くの名作を世に送ってから、ずっと音楽界の第一人者だった。
私がまだ中学生~高校生と、洋楽を聴き出した頃に彼の手がけた作品を聴いていた。
彼の作品で日本でも有名なのはビリー・ジョエルがスターの地位を手にしたと言われる『ニューヨーク52番街』(1978年)だろう。

このアルバムは世界で初めてCD商品となった記念的作品。
「オネスティー」は日本でもすごくヒットした。
でも個人的にはポール・サイモンの『時の流れに』(1975年)を良く聴いた。

アルバム・タイトル曲「時の流れに(Still Crazy After All These Years)」はカッコ良かった。
フィル・ラモーンは、ロック/ポップスにジャズの渋さと洗練さを加味しながらもメロディーが生きるアレンジで、その後に日本で一大ブームになる「A.O.R」と言われるジャンルの礎を築いた一人と言えるだろう。
元々ジャズの作品で脚光を浴びたらしい。
ジャズ・サックスのスタン・ゲッツとボサノヴァ歌手ジョアン・ジルベルトの共演作『ゲッツ/ジルベルト』(1964年)のエンジニアとしてグラミーを受賞した。
それ以来、実に14度もグラミー受賞をしており、近年では昨年のトニー・ベネット『デュエットⅡ』でも受賞した。
他にも多くのビッグ・スターとの仕事も多く、フランク・シナトラ、バーブラ・ストライサンド、ボブ・ディラン、レイ・チャールズ、シカゴ、クインシー・ジョーンズ、バート・バカラック、松田聖子なんてところまで、その仕事ぶりの幅が広いプロデューサーだった。
心よりご冥福をお祈り致します。