ひとつは『ヒンデンブルグ』―あの巨大飛行船ヒンデンブルグ号墜落事故を題材にした作品。
こちらはニュース・フィルムに残るあのヒンデンブルグ号が火だるまになる場面も忠実に描いていて興味があった。
しかし、悩んだ挙句にもう一方の作品に行くことにした。
それは『ゼロ・ダーク・サーティ』の試写会。
アカデミー賞に5部門でノミネート中の話題作。
内容は、あの9.11アメリカ同時多発テロの首謀者であるウサマ・ビンラディンが、2011年5月2日にアメリカにより発見~殺害された経緯の事実を基にした作品。
そして、ビンラディンを追い詰めた張本人がまだ20歳代の女性だった。
その若き女性の執念が描かれている。

この映画は、監督キャスリン・ビグロー、脚本マーク・ボールという2009年アカデミー賞6部門受賞映画『ハートロッカー』のコンビである。
この『ハートロッカー』もとても興味があって観たかったのだが、未だ観ておらず…。
そして、主役である若き女性CIA分析官“マヤ”をジェシカ・チャスティンが熱演。
この女優さんはまだ多くの作品には出てないが、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』が代表作であり、アニメ映画『マダガスカル3』にも声優で出演している、とのこと。
一言で言うと“見応え”のある作品だった。
やはりシリアスな実話が基であり、まだついこの間の事と記憶しているビンラディン発見・殺害のこと、そして2時間40分にも渡る長尺作品、なのでそれは見応えはある。
また冒頭でいきなり捕虜拷問シーンからスタートするので、もう最初からお気楽な映画ではないと思うだろう。
試写でこの捕虜への情報を聞き出すためのいわゆる「飴と鞭」のやりとりが何度か続くが、もうこのシーンの途中で前の方の席の女性2人組が早々に退出していた。(苦笑)
ま、そんなある種ヘビーな空気感からスタートして2時間半以上の作品ですから、人によっては心して観た方がいいのかも知れません。
実話が基なので、どこまで忠実な写実で、どこからが演出で作られた部分なのかを、観ながらこちらがついつい考えてしまうところがあり、これもまた見応えの原因になっているだろう。
加えて余談だが、劇場で見ると周囲に座る人によっても観易かったか、観難かったかも分かれる。
昨日は後者…。
前席のおじさん(と言っても私の方が実際は年上かも知れないが…)が大人なのに首が座っていない人で、映画の間中ずっと首を左右にゆら~り、ゆら~り揺すりながら観ているのだ。。。
この方の本数が少なくなっている頭髪が絶妙に字幕を遮ってくれる。(!)
なので、こちらは座高を伸ばし見なければならず、私の後ろ以降の方も皆さん観難かったろうと思う。
そんな事も、見応えある一因になったかも?
ただ、相手との攻防での「ハラハラ、ドキドキ」感や、テロ爆破の破壊シーンの迫力、若き女性官マヤが上司やCIA長官にまで「このポンコツども」と言わんばかりに食ってかかるあたりの「スカッ」とした胸のすく場面もあり、映画として楽しめるようには出来ています。
その辺りはさすがアカデミー賞受賞経験チームの作品でもあった。
最後クライマックスである、ビンラディンであろうと思われる人物の居場所に特殊部隊が乗り込むあたりで、一緒に行った友人が「忠臣蔵の討ち入りみたい」と呟いたが、まさにそんな感じ!(笑)
個人的にはビンラディン射殺シーンで終らずに、その後の数分で出来る限りの資料を特殊部隊たちが持ち帰る慌しさまで描いたあたりにリアルな緊迫感を感じた。
ちなみに「ゼロ・ダーク・サーティ」とは、ビンラディン殺害の作戦決行時間である深夜0時30分を指す軍事用語だそうです。
冒頭にも書いたようにアカデミー賞5部門にノミネートもされている話題作。
2月15日より全国ロードショー。