実に7年ぶりの日本公演!
ブレイクした後はアルバム発表ごとに来日する親日家だった。
(義母は日本人だったはず)
しかし、途中から捕鯨反対運動を表明し、自信のホームページで反日家を表明してから、日本に来なくなった。
私も捕鯨は止めればいいのにと思うが、スティングなんか日本大嫌いなのにちゃんとツアーをやったら日本を外さないあたりプロというかしたたかだったりすのだが…。(苦笑)
そんな事情もある中、久々に日本に来ました。
ブライアン・アダムスはちょっと過小評価されてる気がする。
いい曲を書くし、小気味良いR&Rはドライブ感溢れているし、いいシンガーだ。
しかし、映画「ロビンフッド」のテーマ曲の“アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー”のヒット以降、映画とのタイアップのバラード作品が多く、映画テーマ曲ミュージシャンと揶揄されたりもした。
しかし、元々ブライアンは作家契約をレコード会社と交わしていて、彼の提供曲、またカバー曲は実に多くのミュージシャンが取り上げている。
古くは、同郷カナダのB.T.O、プリズム、ラヴァーボーイをはじめKISS、ボニー・タイラー、ロッド・スチュワート、ジョー・コッカー、ティナ・ターナー、ブランディ、セリーヌ・ディオン、イル・ディーヴォ、etc…、あらゆるジャンルで取り上げているほどだ。
彼の作品のクォリティーの高さが伺い知れる。
さてさてライブについて。
今回は、先述の“アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー”が収録されたアルバム『ウェイキング・アップ・ザ・ネイバーズ』のリリースから20年というツアーのようだ。
このアルバムは彼の作品の中で最も売れたものなのだろう。
日本武道館の場内が暗転すると、ステージ上の特大スクリーンに『ウェイキング・アップ・ザ・ネイバーズ』のジャケットで彼が手にしている、あの拡声器が大映しになりスクリーン上でクルクル回りだす。
するとブライアンとそのバンドメンバーがステージ上に登場!
1曲目は『ウェイキング~』から“ハウス・アレスト”だ。
小気味良いビートと親しみやすいメロディーで1曲目から多くの観客が一緒に歌う。
ブライアンの声は、いつもの人を惹きつけるしゃがれ声、変わっていない。
作家活動からその音楽キャリアをスタートさせたが、彼の声、ボーカル力も忘れては行けない。
ライブでは、その魅力をはっきりと認識できる。
そして2曲目は、実は『ウェイキング~』以上にブライアンの代表作と言えるかもしれない80年代の名作『レックレス』から“サムバディ”。
でも90年代途中からライブでのビートが遅くなり、なんかもっさいんだよなぁ…。
そして日本未公開映画『SPIRIT』のテーマ曲“ヒア・アイ・アム”。
と、ここで、後ろのスクスリーンにブライアンの顔を口のあたりから下から上へ向けてのアップの画像が…。
ヒドイ…。
でもよく見ると、歌っているのにマイクが映っていない。
なんと、マイク自体にミクロスコープを取り付けているらしい。
ま、昔からジョーク好きなキャラクターだから、こんなのもあり?(笑)
MCでは、「今日は特別な日、なぜなら武道館でのコンサートが21回目になります!21回もだよ!!」といった感じで7年のブランクを感じさせない観客との距離感となる。
この人の特長の一つに親近感がある。
やんちゃでジョーク好き。
『サザエさん』のカツオくんのようなタイプだ。
しかし、武道館で21回かー。
私が初めて見たブライアンのライブは日本青年館だった。
注)武道館ではなく、青年館です。
当時は、リーバイスのスリム・ジーンズに白い半袖Tシャツ、その上に袖なしの黒皮製ライダース・ジャケットを着て、くしゃくしゃの髪でよく見かける北米のティーンエイジャーのような風貌だった。
しかし52歳になった今日の彼は、黒い長袖Tシャツとジーンズではあるが、ブランドもののような上質な生地なのが判る。
髪は短髪を7:3分けにし、なおかつそれをオールバックにして、清潔感が漂う。

上掲が今回のツアー・パンフレット。
ちなみに下が、1983年の初来日ツアーパンフレット。

パンフの中のポートレイトも違います。

ダンディです。
なんか気難しいオヤジっぽくも見える。(苦笑)
でも1983年のポートレートは…。

気の良さそうなアンちゃんですね。(笑)
ステージでキーボードを担当しているゲイリー・ブレイトの方が、なんかブライアン・アダムスよりブライアン・アダムスっぽい顔だ。(苦笑x2)
ライヴの方は、その後も『ウェイキング~』の収録曲を中心に、他の新旧それぞれのアルバムに収めた曲も交えて進んで行く。
またブライアン以上に、盟友でギタリストのキース・スコットがかなり張り切った動きをしている。
若い頃、こんなに動く人だったっけ?
そしてもう一人の盟友、ドラマーのミッキー・カリーをフィーチャーする時が来た。
それは…、なんとドラムセットの前に、バケツや、フライパン、金属製のサラダボウル、などキッチンや家庭で使われる雑貨が並べられ、それをドラム代わりに叩き出すではないか!
ギターのキースも一緒になってバケツを叩く。
そしてブライアンはアコースティック・ギターで“イフ・ユー・ワナ・リーヴ・ミー”と“タッチ・ザ・ハンド”をメドレーで歌う。
この雑貨ドラムスが、結構いい味を出してました。
アイデアだなぁ!やはりジョーク好きでいたずらっ子的なセンスは健在な人だ。
そして演奏が終わると、ミッキーがスティックを客席に投げた。
ここで完全に忘れていた記憶が急に思い出された…昔、この武道館でブライアンのライヴで、ミッキー・カリーが投げたドラム・スティックが私のところに飛んできてキャッチした事を!
あのスティック、どこにあるんだろう…?
※追記)後日出て来たので、こちらに記してみました。
後半は、ここ何年もお約束の“ホエン・ユー・アー・ゴーン”というデュエット曲の相手女性を客席内から探してステージ上で一緒に歌う、例のコーナーも。
(この曲は元スパイス・ガールズのメラニーCとのデュエット曲。)
で今回指名されたのは、ピアニストだという女性で、自分で挙手したもののステージ上でめちゃめちゃ緊張してパニックっていた。
しかし歌い出すと、徐々にしっかりしてハイトーンのパートも見事にこなしていた。(拍手!)
そして、後半も終わりの方で、ブライアンがボードを掲げている女性を見つけ、そのボードを読む。
“ワン・ナイト・ラヴ・アフェア”のリクエストだった。
実は他の曲をやる予定でいたが、それを取り止めリクエストに急遽答える!
本人はともかく、サポートメンバーが良くすぐに対応できたのはさすがプロというものを見せ付けられた気がした。
この曲が終わると「ボーイズ」と呼ばれたサポートメンバーは全員ステージを降り、ブライアンだけがステージ上に残る。
アコースティック・ギターを手にして、“ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール”と言うアイリッシュ・シンガーのローナン・キーティング(exボーイゾーン)に提供したしたナンバーを弾き語りで披露。
そして、その後にブライアンの出世作品となった“フロム・ザ・ハート”も弾き語りで歌うや、場内はもう大合唱!
最後は、映画『三銃士』のテーマ曲の“オール・フォー・ラブ”。
「これは、スティングとロッド・スチュワートとボクとで歌った歌だけど、今日はボクと君たちで歌おう」といったMCで演奏を始めた。
全26曲。
アンコールは無し。
場内のファンはほとんど満足だったようだ。
ブライアン・アダムスはファンに恵まれていると思う。
こと、ここ日本では。
これからも、鯨の問題はそれとしてしっかりやりながら、音楽もビジネスも日本でもしっかりやって欲しいと願う。
最後に、この日のセットリストです。
【BRYAN ADAMS 2012.2.15@日本武道館】
1. House Arrest/ハウス・アレスト<4>
2. Somebody/サムバディ<2>
3. Here I Am/ヒア・アイ・アム<10>
4. All I Want Is You/オール・アイ・ウォント・イズ・ユー<4>
5. Can't Stop This Thing We Started/愛は止められない<4>
6. Thought I'd Died And Gone To Heaven/ゴーン・トゥ・へヴン<4>
7. I'm Ready/アイム・レディー<8>
8. Hearts On Fire/ハーツ・オン・ファイア<3>
9. Do I Have To Say The Words?/ドゥ・アイ・ハフ・トゥ・セイ・ザ・ワーズ<4>
10. 18 Till I Die/18・ティル・アイ・ダイ<7>
11. Back to You/バック・トゥ・ユー<8>
12. Summer Of ’69/想い出のサマー<2>
13. If You Wanna Leave Me (Can I Come Too?)/イフ・ユー・ワナ・リーブ・ミー
~Touch The Hand/タッチ・ザ・ハンド<4>
14. (Everything I Do) I Do It For You/アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー<4>
15. Cut's Like A Knife/カッツ・ライク・ア・ナイフ<1>
16. It's Only Love/イッツ・オンリー・ラヴ<2>
17. Please Forgive Me/プリーズ・フォーギブ・ミー<5>
18. When You're Gone/ホエン・ユア・ゴーン<9>
19. Heaven/へヴン<2>
20. The Only Thing That Looks On Me Is You/君しか見えない<7>
21. Cloud Number Nine/クラウド・ナンバー・9<9>
22. Run To You/ラン・トゥ・ユー<2>
23. One Night Love Affair/ワン・ナイト・ラヴ・アフェア<2>
24. The Way You Make Me Feel/ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール<11>
25. Straight From The Heart/フロム・ザ・ハート<1>
26. All For Love/オール・フォー・ラヴ<6>
~no encore~
※<数字>収録アルバム・タイトル
<1> CUTS LIKE A KNIFE/カッツ・ライク・ア・ナイフ(1983)
<2> RECKLESS/レックレス(1984)
<3> INTO THE FIRE/イントゥ・ザ・ファイア(1987)
<4> WAKING UP THE NEIGHBOURS/ウェイキング・アップ・ザ・ネイバーズ(1991)
<5> SO FAR SO GOOD/ソー・ファー・ソー・グッド(1993)
<6> THREE MASKETEERS/三銃士 オリジナル・サウンドトラック(1994)
<7> 18 TILL I DIE/18・ティル・アイ・ダイ(1996)
<8> MTV UNPLUGGED/MTVアンプラグド(1997)
<9> ON A DAY LIKE TODAY/デイ・ライク・トゥデイ(1998)
<10> SPIRIT:STALLION OF CIMARRON/スピリット~オリジナル・サウンドトラック(2002)
<11> BARE BONES(2010)※日本未発売