昨日、SIMPLY REDの解散ツアー日本公演に行った。
シンプリー・レッドは、80年代にイギリスからデビューした、いわゆるブルー・アイド・ソウル・バンドで、デビュー時はバンド形態、次第にヴォーカルのミック・ハックネルを中心にしたユニット形式、近年はミック・ハックネル=シンプリー・レッドという形態となっていた。
(カルロス・サンタナがCDリリース、ライヴやる時は、「サンタナ」というバンド名義になるのと同じですな。)
なので、フェアウェル(さよなら)ツアーと言うのも、ちょっとピンと来ないところもあるが、時代の流れでシンプリー・レッド自体存続しても来日公演はほぼ無理だろうと思っていたので、これはやはり観とかないとと思い、迷わずにチケットをゲットした次第。
まだ学生時代に、このシンプリー・レッドとブライアン・アダムスという2組のアーティストには個人的思い出がある。
まだどちらも無名だった頃、音も聴いていないが何かピンと来てレコード(死語ですね)を入手して聴いたところ、どちらも良い!音楽性は違うのだが、共通して言えるのはヴォーカル力の強さと、ポップなメロディーを持ち合わせているところ、サウンド・アプローチがかっこいい、という点。
なので周囲の友人などに「シンプリー・レッド知ってる?いいよー!」、「ブライアン・アダムス聴いてみ!カッコいいから」などと言うも、反応は今イチで…カセットテープ(これも死語)にダビングして渡したりして。(笑)
その後、1年くらいでどちらも一気にビッグネームのミュージシャンとして、周囲の人間もこちらが言わずともシンプリー・レッド、ブライアン・アダムスの名を言うようになった。
当時、私は「オレって見る目あるなー!」などと一人で悦に入ってニヤニヤしていたものだ。
そんな思い入れもあるので、まず一昨日にオフィシャル・サイトで直近の公演のセットリストをチェック。
日本の直前は9/22の香港公演だがセットリストがその時点では載っておらず、その前の公演であるキュラソー島公演(9/4)のセットリストを調べ、その曲順のMD(またも死語)を作成して、昨日は聴きながら出かけた。
会場である東京国際フォーラムホールAに入り、コンサートでは必ずパンフレットを買う習性のある私は物販コーナーへまず行った。
が、Tシャツしか売っていない。
しかも、お洒落なシンプリー・レッドなのに、ダサいデザインのプリントで2種類。
これは諦めて、隣でも何か売ってるので覗くと、今回のFAREWELL TOURの模様を収録した「USB」を売っていた。
なんと、もうレコードだ、カセットだ、MDだ、CDだ、という時代ではなく音源パッケージはUSBで売る時代なんですね。
実はシンプリー・レッドはこの7年くらいは自主制作してインディーでの作品リリースとなっています。
なので「世界中ツアーするんだったら、確かにUSBの方ががさばらずにいいよな」と思いました。
音源もツアーの最初で録ったものを売ってるんだろうだろうと勝手に思っていたら、売り場にあるチラシ・ポスターをよく見ると…
・・・「今晩のショーのライブオーディオ録音をお持ち帰りください」とあるではないか!
え?自分がその日に観たコンサートの音をUSBに録り込んで持って帰れる?!
しかし疑り深い私は、「やる曲は鉄板で決めていてツアーの初日かゲネプロで録ってあるのでは?」とか「公演後、USBにデータを移すのに時間がかかって待つことになるんじゃないか?」、或いは「日本公演はゲストで屋敷豪太が出るのでさすがにバレるんじゃないの?」などの疑念が浮かび、眉唾ものを見るように売り場を見ていた。
(日本公演に関しては、90年代のシンプリー・レッドを支えた「元シンプリー・レッド」であるドラムの屋敷豪太がゲスト出演する事があらかじめ発表されていました。)
さすがに公演前に「ブツ」は渡せないので、公演前に購入した人には引き換えカードを渡していた。
そうこうするうちに開演間近となり席に着く。
今回は16列目で、縦長のフォーラムAで16列目だと比較的前に位置するので良かった。
18時09分。
いよいよショーがスタート!
1曲目から、私が調べたキュラソー島の1曲目だった“Sad Old Red”でない。
この時点で先ほどまで抱いていた疑念が崩れ始めた。(苦笑)
あと気になったのが、カメラマン4~5人が何故かステージ上の端に居て撮影している…。
最初のうちだけだったが、国際フォーラムAは最前列の撮影が出来ないのか??
さて、日本公演のセットリストは以下の通り。
1,Out On The Range(『LIFE』)
2,Your Mirror(『STARS』)
3,So Beautiful(『LIFE』)
4,Thril Me(『STARS』)
5,To Be With You(『A NEW FLAME』)
6,Heaven(『PICTURE BOOK』)
7,For Your Babies(『STARS』)
8,Holding Back The Years(『PICTURE BOOK』)
9,It's Only Love(『A NEW FLAME』)
10,Sunrise(『HOME』)
11,Fake(『HOME』)
12,The Right Thing(『MEN AND WOMEN』)
13,Ain't That A Lot Of Love(『LOVE AND THE RUSSIAN WINTER』)
14,Money's Too Tight To Mention(『PICTURE BOOK』)
15,Something Got Me Started(『STARS』)
16,Fairground(『LIFE』)
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~ENCORE~
E1,Stars(『STARS』)
E2,If You Don't Know Me By Now(『A NEW FLAME』)
やはり、ミック・ハックネルのヴォーカル力と演奏力の高さが違う!
ちなみにメンバー構成は、ヴォーカルのミックの他に、ドラム、ベース、ギター(鈴木賢司)、キーボード、パーカッション&トランペット、サックス&キーボードの計7名。
コーラスがいるかと思ったらいなくて、完全にバンド編成でのパフォーマンス。
その演奏力、とりわけミックのヴォーカル力が発揮されたのは6曲目の“Heaven”。
スローなナンバーだが演奏中に客席から嬌声と拍手が起きたほど。
これに気をよくしてかミックさん、次の“For Your Babies”のサビをいきなり歌うように促す。
当然、殆どのオーディエンスが無反応。
この曲の歌詞まで知ってる人、日本にはそうそういないですって。
それでも「Don't be shy.」などと言って促す、ミックさん…。
続いての曲は、“Holding Back The Years”!
シンプリー・レッドが世に出ていった名曲です。
さすがに会場にいる多くの人がそれを知ってか、イントロで反応。
渋いスロー・ナンバーながらポツポツと立ちだす人が。
これで再びミックさんサビのところでマイクを客席に向ける。
すると、多くの人が歌ってくれました!
私だって歌えますもん(笑)、♪I'll keep holding on~ってね。
その次の“It's Only Love”で、もう総立ち!
ここからは、リズミカルな曲調が続くので、みんな踊るは、手拍子するは、で良い雰囲気で進行していく。
実は私の3列前の通路側2席が空いていてちょっと気にはなったが、終盤で盛り上がっていた頃(“Money's~”のあたり)に、男性客2名がようやくそこに座る。
一人は多分、ギタリストのチャーだと思います。
鈴木賢司・屋敷豪太ラインからの招待かな?
それはともかく、最後は“Fairground”でブラジルな感じでハッピーに終了。
そしてアンコールで、スペシャル・ゲストと言って屋敷豪太を呼び込む。
二人はステージ上で固く抱き合い、英語で会話しだすと、ミックが日本語で何か言いなよと促す。
屋敷氏はミックを指して「彼は世界中で一番の親友です!そして世界で一番のシンガーです!!」と称えた。
屋敷氏がドラムに座り、名曲“Stars”を演奏。
やはり、いいですねー。
屋敷豪太の参加で盛り上がったところで、ハロルド・メルヴィン&ブルーノーツのカバーで、シンプリー・レッドにとっても大きなヒット曲になった“If You Don't Know Me By Now(二人の絆)”でショーのラストを閉めた。
最後に、ミックがステージ上の一番端に移動し、メンバーの方に片手を差し出し「レディース&ジェントルメン、ジス・イズ・シンプリー・レッド!」と言って、メンバーはステージ上から掃けて行きました。
もう、こうなると最初に疑惑の眼差しで見ていたUSBが欲しくなり、急いで売り場に行く。
すると、もうUSBを渡してくれるので売り場の女の子に「もう、音源が入ってる状態ですよね?」と尋ねると、「本編のみ入っていてアンコールはダウンロードできるようになっています。」との事。
なるほどね、この辺りもUSBと言う文明の利器ならではの手法ですね。
それでもアンコール2曲分だけの間にデータを数多くのUSBに移すなんてこと出来るんだ?!などと感心して帰宅。
ちなみに\3,000。
帰宅後、そのUSBをパソコンにセット。
すると、11曲目の“Fake”まで入ってました。(笑)
そうだよな、やはりアンコール2曲のうちに本編全部は入れられないだろう。
パソコンのスピーカーで聴く限りだが音のバランスも良く、MCもその日に言ったものがしっかり入ってました!
残りのダウンロードは昨日中では出来なかったので、今日再度トライしてみます。
思い入れのある「シンプリー・レッド」の最後の日本公演(になるはず)を観ることが出来たことを幸福に思います。
【シンプリー・レッド(ミック・ハックネル) オフィシャル・サイト 】