マーケティングは特別なものなのだろうか・・・
マーケティングの概念自体は、そんなに複雑なものではありません。
なぜ、マーケティングは難しいものと決め付けられているのでしょうか?
・分析から入ることが多いから?
・理論を学習して理解する機会がなかった?
・選ばれた人しかできないと考えられていた?
実際に商品のマーケティングを考えるとき、押さえておくべき「キーワードや考え方」は実は4つくらいなものです。
あとは、確からしさを点検しながら打つ博打みたいなものなのかもしれません。
この確からしさが曲者なんですが・・・統計学という学問になるので。
①ベネフィット
お客様があなたの商品を買うのは、商品自体が欲しいのではありません。
「商品がお客様にもたらす何か良いこと」に値打ちを感じて買おうとするのです。
・ドリルを買うのは、ドリルという器具ではなく、穴が欲しい
・コーヒーを飲むのは、黒い液体ではなく、リラックスが欲しい
・高級車に乗るのは、1t の精密機械ではなく、見栄をはりたい
お客様は、あなたの商品が欲しいわけではない。
自分にとって良いことが欲しい。
当たり前のことですが、ついつい忘れがちなことです。
②競合商品との差別化と強み
しかし、そのベネフィットを満たそうとしているのはあなただけではありません。
競合商品が存在します。
その競合商品よりも、あなたの商品を買わなければいけないことをお客様に納得していただく必要があります。
競合商品と全く同じものであれば、安い方を買うでしょう。
競合商品ではなく、「あなたの商品を買う理由」をお客様に訴える必要があります。
小売店の場合、扱っている商品が競合店と同じこともあるでしょう。
それでも、あなたの店から買う理由を納得していただく必要があります。
そうでなければ、泥沼の価格競争になり、負けた方は退場、勝った方も傷だらけ、となります。
では、何を持って差別化すると言うかと、「あなたの会社の強み」を使うのです。
普通、弱みで差別化することはありませんから、「差別化ポイント=あなたの強み」ということになります。
あなたが競合他社より強いところで差別化しようとしなければ、負けるか追いつかれるだけです。
強みが無いことも実は多いのですが、それに対する答えは簡単。
・探しましょう。無ければ、探し続けましょう。
・作りましょう。競合よりも努力に努力を重ねて作りましょう
・ある程度、独りよがりでも構いません。しかし、その強みを磨いていきましょう。
お客様は正直です。
よりお客様にとって便利な方、より役立つ方、よりたくさんの情報を提供してくれる方、より見やすい方、より愛想のよい方、などから買うわけです。
③セグメンテーションとターゲティング
あなたの強みが決まったら、それを評価してくれるお客様はどんな人かを探りましょう。
あなたの強みを評価してくれないお客様を長期的に維持することは大変難しいものです。
もちろん、評価してくれなくても、買っていただければそれでいいのですが、それを頼りにすると、売上が安定しません。
そのお客様が評価する強みを提供する顧客に簡単に奪われてしまいます。
あなたの強みが、「きめ細やかなサービス」なのであれば、「それを評価してくれるお客様」を定義するのです。
セグメンテーション、というのは、お客様を分けることです。
ターゲティングは、その分けたお客様のどれかに絞って狙いをつけることです。
なぜ絞らないといけないのか、絞らなければ絞った競合に負けるからです。
私が、全ての会社を対象としたコンサルティングを提供しているとしましょう。
競合のコンサルタントさんが、メーカー向けのコンサルティングを提供したら、メーカーさんはそちらに行くでしょう。
別のコンサルタントさんが、小売業向けのコンサルティングを提供したら、小売業さんはそちらに行くでしょう。
お客様を絞らずに多くのお客様を取ろうとすると、絞ってきた競合に負けるのです。
あなたがある市場を独占していればいいですが、通常は競合(広い意味での競合も含めて)が存在します。
ですから、絞るのです。
④どんな切り口で攻めるか
具体的にどのように差別化して、どのようにお客様を絞っていくか、という切り口がマーケティングミックスと呼ばれるものです。
1.Product(製品):売り物の商品・サービス
2.Price(価格):値段・価格体系
3.Place(流通):販路 /サービス業では Process(商流)
4.Promotion(販促):広告などを含む売り方
(業態ごとに色々と新たなフレームが開発されています)
ポイントは、あなたの強みを、あなたの強みを評価する顧客に訴えられるようなマーケティングミックスはどんなものかということです。
・お客様が求めているベネフィットは何か?
・ベネフィットを満たす上で、自分の差別化ポイントは何か?
・その差別化ポイント評価してくれるお客様はどんな方か?
・具体的にどんな切り口で差別化するのか?
という流れで考えれば、全体に整合性・統一性がでてくることが理解できると思います。
一度ご自身の身の回りの商品・製品・戦略などをこのフレームで整理してみても実感できると思います。
留意点は、それぞれのプロセスでうまくいかない場合は、より上流に戻り、プロセスを見直すことです。