企業の組織文化や組織風土に対して、業績がアップするためには新しい組織文化が先か?、それとも業績アップする組織文化の要因が存在するのか?
正解のない中、判断の難しいところです。
組織文化や組織風土に対するアプローチとしては、2つの大きな方向性があります。
A:企業業績との関係や組織の変革に主な関心を向けるもの(業績志向アプローチ)
B:企業文化の普遍的な分類や測定に焦点をあてるもの(分類的アプローチ)
A:業績志向アプローチは、「優良な企業文化が好業績を生む」という仮説に基づくもので、「好業績を維持するには、環境変化に合わせて企業文化を適切にマネジメントしていくべき」という組織開発的な考えにつながります。
財務的な好業績を長期に渡ってあげ続けている企業を調べてみたら、確固たる企業理念に支えられた「強い企業文化」が会社の隅々に至るまで浸透していることがわかったというものです。
このアプローチは、実際の企業の事例をベースにしているため説得力があります。
一方で、企業文化の内容については個々の企業ごとにさまざまであり、企業文化・風土をとらえるフレームの提示にまではなかなか至りませんでした。
結局、「好業績企業には強い文化があった」という指摘にとどまりがちな傾向があります。
『エクセレント・カンパニー』(1982年) ピーターズ,ウォーターマン
過去20年に渡り突出した地位を保持してきた6業界43社を調べて抽出した8つの共通特性の背後には、各企業独自の思考・行動様式というべき企業文化が存在していた。
『シンボリック・マネジャー』(1982年)(原題はCorporate Culture) ディール,ケネディ
80社を対象に企業の持続的成功と企業理念との関係について調査を行った。
「明確に表現された意味的信念」を有していた18社はすべて、一貫して目覚ましい業績をあげていた。
『企業文化が好業績を生む』(1992年) コッター,ヘスケット
企業文化の強さと性格に関する大規模な調査を実施し、企業文化と長期的業績の関連を分析した。
『ビジョナリー・カンパニー』(1994年) コリンズ,ポラス
業界で卓越した企業18社を調べた結果、「組織の土台となっている基本的方針である基本理念を維持し、進歩を促す」のが共通の法則であることが明らかになった。
これらの文献において共通することは、「では?現在調べた会社はどうなっているか?」ということです。