こだわり、個性、専門性で顧客を創造するためには、核となる商品(コア商品)が欠かせません。
コア商品を形成するためには、特定商品に経営資源を集中し、それを徹底的に強化していくことが必要です。いわば、一芸に秀でる戦略になります。
「すべてのケーキが無難な洋菓子店」ではなく、「チーズケーキが、とびきりおいしいケーキ店」といったイメージになるのでしょうか。
小売段階での価値の付加方法として、3つの方向性が考えられます。
1.形態の変換
これは単位に商品を仕入れて売るだけではなく、財を加工し、その形態を変換することです。たとえば、ベーカリー、洋菓子店、和菓子店、そして惣菜店などが当てはまります。
また、加工とまでいかなくても、「ブレンド(たとえば、茶小売店における茶のブレンド)」や「アレンジメント(たとえば生花小売店のフラワーアレンジメント)」も価値を創造する有効な手段となってきます。
2.商品のコーディネートによる価値創造
小売段階での価値の創造は、何も形態の変換だけではありません。財そのものには物理的には全く変化を与えず、その組み合わせの状態を変更することによっても、新しい消費者価値を生み出すことができるものです。
実際に、ファッション業界などでは店頭で店員が顧客に応じたコーディネート提案を行うことで価値を創造しています。
3.サービスの付加
小売の段階で付加するサービス、例えば個別宅配、設置サービス、点検、修理、調整、御用聞きなども価値に加えることができるでしょう。
経済の成熟化で、モノではない「目に見えない価値」への支出が増えています。また、高齢化などによって価格の安さよりもサービスを重視する消費者は今後とも増加していくのは間違いありません。宅配サービスなどはその最たるものです。