最近、興味を持っている「経営経済学」って? | ソリューションのおぼえがき

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経済学はすたれた学問?経営学は答えのない学問?

どっちもアカンやん・・・。みたいに気になっていたときに、本屋で知った「ビジネス・エコノミクス」。

 

面白そうやん。

 

ということで、

『一橋ビジネスレビュー』「はじめてのビジネス・エコノミクス」(2011 柳川)より、わかりやすく説明がありましたので、おぼえがき。


企業行動や企業戦略の問題について、経済学的に分析する手法が注目を集めています。
この分野は、近年ビジネス・エコノミクスと呼ばれています。

経済学の分析道具は、かつては、完全競争市場が主な分析対象でした。そこでは、個々の企業にとって市場価格は所与のものと仮定されていて、それぞれの企業は価格に影響を与えられない状況が前提とされていました。

 

たとえば、このような設定の下では、価格戦略というのは、ほとんど意味をもたず、与えられた価格の下でどの位生産するべきかが企業にとっての主要問題でした。

このような状況設定は、たとえば外国為替市場における個々の投資家の行動を考えるときには、とても当てはまりの良いものです。よほどの大口投資家でない限り、各投資家がポジションを変えても為替レートを変化させるほどにはなりません。そのため、投資家が考えるべき問題は、与えられた為替レート(および将来の為替レート予想)の下で、どのような投資ポジションをとるかだけです。

 

しかし、現実の企業行動は、このような単純な経済理論の想定とは、はるかにかけ離れています。各企業は、どのような価格設定をするべきか日々頭を悩ませているといっても過言ではないでしょう。ライバル企業の価格設定をにらみながら、消費者の行動や気分を予想しながら、どのような価格をつけるべきかを考える。これは企業戦略上の重要なポイントです。

 

このような現実の企業行動と完全競争市場における価格所与の仮定とのギャップの大きさに、「経済学は現実的な学問ではない」あるいは「経済学はつかえない」という批判もしばしば耳にします。けれども、このような批判は、少なくとも現代経済学については当てはまらなくなっています。今の経済学は、ゲーム理論や情報の経済学の発展を取り入れて、現実的な企業戦略の問題を分析することができるようになっているからです。

 

それでは、経営戦略上の問題を、わざわざ経済学を用いて分析することにどのようなメリットがあるのでしょうか?いくつかのポイントがあると思いますが、ここでは2点あげておくことにします。

 

一つ目は、競争がどのような結果になるかを記述するのが比較的容易だということです。経済モデルの一つの特徴は、全体が結果的にどうなるのか説明するのに適していることです。経営学の場合には、各企業の経営者から見た視点が基本です。そのため、多くの分析は、ある戦略をとったときにその企業が、結果としてどうなるかという点に焦点が当てられます。それに対して、経済学の分析は、たとえば市場に参加しているそれぞれの企業がある戦略をとったときに、市場全体にあるいは産業全体にどのような結果が生じるのかに多くの場合焦点があてられます。もちろん、そのためには個々の企業が、どのような結果になるかも分析する必要があるわけですが、いずれにしても、全体としての影響をみる場合には、経済学の分析ツールが比較的役に立つというわけです。

 

二つ目は、マクロ経済とのつながりを分析できるという点です。産業全体の影響が分析できるのだとすると、それが例えば日本経済全体にどのような影響を与えるかであるとか、逆にマクロ経済環境の変化に応じて、企業間競争の結果がどのように影響を受けるかといった分析をすることが可能になります。マクロ経済分析は、同じ経済学の分析ツールで形成されていますから、それとの接合が相対的にうまくできるのが、経済学の強みであるといえます。

以上みてきたように、経済学を使って経営戦略を分析することには、経営学とは違った特徴があるわけですが、これはどちらが優れているとか、有用であるといったことではないのだと思います。経済学にしろ経営学にしろ、学問は現実を切るための分析ツールです。それぞれの分析ツールには、それぞれの使い道があります。どちらが優れているかではなく、それぞれに有利な面があります。

 

それぞれをどのような場面で使うのが一番切れ味が鋭いかという観点から、分析ツールを選んでいくべきでしょう。

 

経営の諸問題を経済学の分析ツールを使って仮説を立ててみる学問なのでしょうか?

まだまだ、わかっていないことだらけなので、これからもいろいろ本を読んでみます。