マーチャンダイジングの狭義の意味は、原材料から製品を生産し、最終消費者の消費の 終了までの商品の流れを計画し、コントロールする事に必要とされる諸活動の総称です。
例えば、アパレルメーカーの場合には市場の分析・商品企画・生産工場への発注・生産調整指示・展示会・小売業からの受注・店頭への納品に至る活動があり、それを「商品化計画」と呼んでいます。
一般的な小売業の場合には顧客ターゲットの選定・販売計画から仕入・陳列・価格付け・在庫の管理から、実際の販売等に至るプロセスがあり「商品政策」と呼んでいます。
過去はこのように川上・川中・川下と称されたように機能・役割は明確に分かれていました。
昨今ではSPA(製造小売業)や有名ブランドの直営店、PB(プライベート・ブランド)商品に代表される小売業側の商品化計画が出現しており、更にはコラボレートマーチャンダイジングという事でメーカー・小売業の共同企画商品等も出現してきました。
そういった意味でメーカー、卸、小売業を問わず、従来のマーチャンダイジングの役割・機能・範囲があいまい化してきているのが現実です。
一方で、広義の視点でのマーチャンダイジングの定義を考えてみます。
小売業では過去より「商品勘定」という言葉があり、利益管理を目的として仕入、在庫、粗利等の管理を行ってきました。
それは、結果の記録を中心とした財務会計的な静態管理手法であったと考えられています。
ところが、昨今は小売業の業態の変化、大型化、多店舗化等でマーチャンダイジングの活動範囲が複雑化かつ広がってきており、PDCAサイクルの管理会計的な動態管理手法が必要となってきています。
さらに、組織的にもバイヤーやショップ形式等の出現はマーチャンダイジングのプロセスをそれぞれ専門的な機能と責任を持たせたものに細分化させて、業績評価もより多面的・複雑なものが求められ始めてきています。
ゆえに、狭義の意味での商品政策とPDCAサイクルそのもの、売場オペレーションを含む、活動の根幹をなす行為全般をマーチャンダイジングというようになってきています。