多様なメンバーのモチベーションを高めるために、マネジャーは何を行えばよいのでしょうか。このことついて考えるときに役に立つのが「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」という概念です。
この概念は、心理学者のA.バンデューラという人が提唱したものです。バンデューラは、自己効力感がモチベーションの源泉であると述べています。自己効力感とは、ある成果を生み出すために必要な行動を自分はうまくやることができるという信念をもった状態のことを指します。目の前の出来事をコントロールできると信じている状態といえます。自己効力感が発揮されやすいのは、メンバーが次の4つの状態にあるときです。
①成功体験 |
「今までいろいろな困難を乗り越えてきたのだから今度もやれる」という感覚をもっている |
②代理体験 |
「あの人もチャレンジしているのだから私にもできないはずがない」という感覚をもっている |
③言語的説得 |
「これまでの実績を積むことで私は周りから認められた。今度の仕事も周囲から期待されている」という感覚をもっている |
④生理的状況 |
「気持ちが乗っているので、今ならばやれそうな気がする」という感覚をもっている |
このようなときに、メンバーは「やってみよう」という意識を強くもち、意欲が高まり、結果をうまく出していくことに対する自己の力への信頼が生まれてきます。
特に、①の成功体験をうまく認識することができた組織のメンバーは、セルフ・エフィカシーを発揮しやすいといわれています。ですから、「小さな成功体験を積み重ねる」「小さくても成功したことを認めてあげる」ことが作用するのです。社長はネガティブにメンバーを見ず、ポジティブに見てあげるということになります。