日本政策金融公庫の調査では、「ここ10年で新規事業を行ったことのある会社」は、4割に上るらしいです。
しかし、失敗・撤退する新規事業は枚挙にいとまない。
なぜ新規事業は失敗するのだろう。
「マーケットの予測をまちがえたのだろうか」
「人材数や能力不足だったのだろうか」
「資金不足だったのだろうか」
さまざまな理由というか言い訳というかが語られるのですが、私が実際に見たところでは次の3つが要因に思えてならない。
①経営者が結果を性急に求めすぎ。
短期的な予算を持たせて、成果が上がらないと責任者と事業をつぶしてしまう。
実は、立ち上げてすぐに大きな売上を生み出せる新規事業は殆どありません。多くのケースは5年は見ないといけない。場合によってはそれ以上かかると考えるべきなのです。
P.ドラッカー氏は、「個別の報酬の問題からも明らかなように、イノベーションの収益パターンは、既存の事業とは異なる。したがって評価測定の方法も異なるものにしなければならない。
~(中略)新事業は長い間、往々にして数年間は利益も成長ももたらさない。資源を食うだけである。しかし突然成長し、開発に要した資金の50倍以上を回収する。さもなければイノベーションとして失敗である。」と言っています。
②責任者が自信を失ってしまう。
新規事業が世の中に出るのは、製品・サービスが一つの形を見てからと考えるべきです。
しかしながら、それまでには長い試行錯誤があり、また市場に投入してからも長い時間かけて認知をされていく必要があります。
そ期間に責任者が自信を失ってしまうというケースを見てきました。(私も経験があります)
「本当にこれでよかったのだろうか?」
「失敗したら、俺の社会人人生はおしまいだ・・・」
それに輪をかけて、社内の批判的な視線を浴びることになります。
「あいつは何をやっているんだ」
「ただ働きしやがって・・・」
それはそれは、とんでもない勇気と度胸が必要なのです。
③新しい人に新規事業をやらせてしまった。
P.ドラッカー氏は、「外部から招いた人に、新しい仕事を任せてはいけない。新しい仕事はすでに評価が確立し、社内から信頼されている人物を当てなければならない。」と言っています。
なのに、外部から優秀なビジネスマンを三顧の礼で迎え入れて新規事業をやらせようという無責任な企業を沢山見てきました。
確かにエースが立つべきなのですが、「社内での実績のあるエースが立つべきだ」と私は考えています。
なぜなのか?想像できるでしょう、
外部から招いた人が孤立し、支援を受けられないまま、成果を挙げられず、経営ボードからの信頼も失い、辞めていく、そのまま彼の責任で失敗した、というケースです。
以上の3つを払拭するための対策としては、
・エースを新規事業の責任者に立てる
・好調時に新規事業を運営しておく
・成果に関しては、経営ボードが長期スパンで見るというコミットメントをする
などを考えながら事業運営していってもらいたいものです。