ユーザーをどうセグメンテーションするのか。
そして、セグメンテーションした複数のセグメントのどれを狙うのか。
マーケティングのカンどころです。
セグメンテーションの軸は無数にあります。
性別、年齢、ライフステージなどのデモグラフィックス、あるいはライフスタイルや社会心理的な特性によって消費者を細分化します。
この他、セグメンテーションの軸にはそれぞれの商品カテゴリーに即したものがあります。
商品カテゴリーに即した軸としては、使用ブランドと消費量が基本的なセグメンテーションの軸になってきます。
細分化したセグメントのうち、どのセグメントを狙うかを決めます。すなわりターゲティングです。
どのセグメントをターゲットとするのか。狙うべきセグメントはどれか・・・。ここは妙味があります。
たとえば
①市場規模の拡大は、主にマーケット・リーダー企業の役割
トヨタはクルマ市場の拡大、伊藤園は緑茶飲料市場の拡大が課題であるように、リーダー企業は市場を拡大するために未使用者をユーザーにする可能性をつねに追求します。
ソニーはオーディオ機器のユーザーを拡大するために、幼児をユーザー・ターゲットとして、『マイファーストソニー』(1987年USA発売)を開発し、拡大をめざしました。
②細分化したセグメントの中で自社が強いセグメントを狙うのか、それとも、自社が弱いセグメントを狙うべきなのか
市場でのシェアが低い企業ならニッチ戦略を志向し、自社が強い市場にマーケティング力を集中することで特定のセグメントで圧倒的に高いシェアを持つようにすべきです。
一方、市場でのシェアが高い企業なら、自社が弱いセグメントでのシェアの向上を狙うべきです。
アメリカのクルマ市場で一定のシェアをとるようになったトヨタは、トヨタのシェアが低いセグメントである若者をターゲットにした「サイオン」を開発し、発売しました。(2003年6月)
③それほど大きくはないが競争が少ない市場で高いシェアを維持するやりかた、すなわちニッチ戦略
同じ内容を大量にコピーするために学校などで使われている理想科学のリソグラフは広い意味では複写機の一種です。
しかし、キャノンやゼロックスから見るなら参入するには小さな市場であり、このニッチなセグメントで理想科学は高いシェアを得ていました。
家電品は多くの場合、一般家族世帯向けの製品と単身世帯向けに分けられています。
単身世帯か一般世帯か、が家電メーカーの通念となっていた。冷蔵庫も同じでした。
そのなかで、2人世帯をターゲットとしたのものに、三洋電機の冷蔵庫SR-M27Vがあります。
④消費量によるセグメンテーションでは、ヘビーユーザーをターゲットにすることが優先
多くの場合、市場のリーダー企業はヘビーユーザーを捉えています。
リーダー企業に挑戦する企業は、チャレンジャーの正統な戦略として、ヘビーユーザーをターゲットとして展開します。。
アサヒスーパードライは、お酒を飲む時は始めから終わりまでビールを飲み続ける、ビールのヘビーユーザーをターゲットにして開発されました。
ヘビーユーザーはたとえ少数でも消費量が多いため、市場で大きな部分に寄与することになります。
ヘビーユーザーをきちんと捉えられるなら、マーケットシェアは大きく伸びることができます。