BtoBとは、Business to Business、法人顧客相手のビジネス
BtoCとは、Business to Customer、個人顧客相手のビジネスです。
「うちはBtoBなので消費財マーケティングはあてはまりませんよ」
BtoBのマーケティングは、BtoCと違うんですか?
BtoBマーケティングの特徴
法人顧客の購買意思決定の特徴として、以下のことがよくあげられます
①意思決定者が複数
一人だけでは決められず、上司の決裁を取る、購買部の許可が必要、など、意思決定者が複数に渡る。
②利用者と購買者が違う
パソコンが典型例だが、意思決定者はIT部で使うのは他の部の社員、など、購買を決める人と、買ったものを使う人が違う場合が多い
③プロセスが形式的、購買決定に時間がかかる
相見積もりを取る、稟議書を回す、予算の承認を取る、など、プロセスが形式的で、その結果、購買決定に時間がかかる
ということでしょうか。主に、意思決定プロセスが違う、ということですね。
さて、一つ一つ検証していきましょうか。
①意思決定者が複数
消費財マーケティングも意思決定者が複数に渡る場合もあります。
車を買うときはどうでしょうか?
夫婦なら、配偶者の意見を当然聞くでしょう。
子供がいれば、子供の意見も聞くかもしれません。
親の意見を聞く場合もあるかもしれません。
奥様の決裁が必要な場合もあるでしょう。
BtoCの購買活動でも、意思決定者が複数にわたる場合はあります。
②利用者と購買者が違う
私はパソコンを20年前に親に買ってもらいました。
そのときは、購買者は父親、利用者は私でした。
子供用の商品はほぼ全て、利用者は子供、購買決定者は親でしょう。
BtoCでも、利用者と購買者が違うことはよくあるのです。
③プロセスが形式的、購買決定に時間がかかる
家を買うときはどうでしょうか?
まず、予算を取らなければなりません。
家族の資産を洗い出し、銀行と話をつけ、というプロセスが必要です。
それから、複数の家メーカーに話しをし、アイミツも取るでしょう。
そのプロセスには少なくとも数ヶ月はかかるでしょう。
個人がモノを買うときに時間がかかることだってあるわけです。
結婚式場選びもそうでしょう。
いくつか回り、アイミツをとり、パートナーとじっくり話をして決めるでしょう。
BtoCの購買行動でも、形式的で時間がかかる場合はあります。
逆に、BtoBの場合でも、BtoC的な購買決定をする場合は結構あるでしょう。
例えば、文房具を買う場合。アスクルやカウネットで頼むときには、複雑な意思決定も、プロセスも無いでしょう。
文具店などでは、購買額の一定割合を、その店で使える商品券として渡す場合もあります。
これは、オフィスユースで文房具を買って、領収書をもらい、その経費は会社もち、しかし、商品券は個人が使う、だからうちの店を使ってくださいね、ということでしょう。
BtoC的ではありませんか?
それから、国際宅配便。会社にもよるでしょうが、その国際便を使うかは、担当者の裁量でした。
極端にいえば気分次第。
さすがに、数十万円、数百万円のものを買うときには複雑な購買プロセスになるでしょうが、そうでない場合も多いわけです。
→結論:BtoC、BtoBというのは本質的な問題ではない
家、車、など、金額が大きい購買は、非常にBtoB的ですし、金額が小さい法人購買は、BtoC的なのです。
もちろん、BtoBとBtoCが全く同じだとはいいません。
オフィスに営業に行く場合と、個人宅に営業に行く場合は色々違うでしょう。
一つの違いは、BtoBの場合は、自分のお金ではない、ということです。
自分の懐は痛まないのです。
ある意味、その分売りやすいとも言えます。
身銭を切って10万円の買い物をするのは大きな決断ですが、会社で10万円の買い物をするのは、そんなに大した話しではありません。
TV広告などは億単位です。
着目すべきは、購買プロセス
BtoB、BtoCという区分けより、購買プロセスによる分類に意味があるわけです。
購買意思決定者は単数か複数か、利用者と意思決定者は、同じか、などの点に着目すべきなのです。たまたま、BtoBには、購買プロセスが複雑な場合が多い、ということです。
辛辣なことを言えば、「BtoBだから、BtoCをメインとしているマーケティングなんか使えない。今の自分のやりかたでいいんだ」と自己正当化に使われている場合もあるのでは無いでしょうか?
そもそも、「自分の業界は他と違うから」という発想自体が、自分の思考を制限する発想なのです。実際に、他業種とは若干違うでしょう。しかし、全く違う業界というのはまず存在しません。医薬品営業、いわゆるMRだって、他業種の営業とかなり共通点はあります。
みんなが、「BtoBマーケティングは特殊だ」と思っているからこそ、チャンスなのです。
そこで、BtoCの手法を活かせば、他社に先んずることができます。
「自分の業界が特殊であろうが、BtoBであろうが、BtoCであろうが、何をすれば売れるのか」と考えたいものです。