11弦ギターを手放すことにしました。

 

松井邦義さんが1985年に製作した楽器です。

 

 

1978年にセルシェルがパリ国際ギターコンクールで優勝したときに11弦ギターで演奏したバッハの「プレリュード、フーガとアレグロ」の演奏は、FMをエアチェックして大事にとってありますが、その天国的音楽には衝撃を受けました。

 

低音の深さや、リュートを思わせる響き。

 

松井邦義さんの11弦ギターは、いつか手にしたいと思い続けて、やっと手に入れた楽器でした。

 

 

 

実際に手にしてみると、思ったとおりの低音の深さがあり、魅力的な楽器でした。

 

でも、とにかく消音が大変。

 

そもそも6弦ギターも満足に弾けないのに、11弦はハードルが高すぎました。

 

時々取り出して、なんとかバッハのリュート組曲の1つでもモノにしたいと思ってはみたものの、11弦を活かすためには楽譜に手を加える必要もあります。

 

そんなこともあって、結局出番が少なくなってしまいました。

 

この楽器と同時に、ロバート・ラックも手放すことにしました。

 

思い入れのあった楽器を手放すというのはさびしいものです。

 

ベイヌムの指揮する「ボレロ」に感銘を受けて、他のアルバムを手に入れて衝撃を受けたのが、シューベルトの交響曲第6番でした。

 

シューベルトの交響曲第8番「未完成」はクラシック音楽好きでなくても題名は聞いたことはあるでしょうし、曲を聴けば「ああ、これか」と思うような、超有名曲です。

 

他には「ザ・グレート」と副題がついている第9番の天国的な音楽も名曲です。

 

他の番号が付いた曲は、これまで何度もチャレンジをしたものの、どうも出来が中途半端な気がして、最後まで聴き通せずに終わっていました。

 

この考えが、ベイヌムの指揮する第6番を聴いて一変しました。

 

 

オーケストラは、コンセルトヘボウ!

 

なんとチャーミングで、なんと激しい曲なのか!

 

ベイヌムのタクトから引き出される音楽は、活き活きして、躍動的で、シューベルトの良さが見事に引き出されています。

 

録音は1957年で、残念ながらモノラル。でも、そんなことは、一切問題にならないくらいの熱演です。

 

特に第2楽章は、すばらしくチャーミングな曲だと思った次の瞬間、ベートーヴェンの「運命」のような激しい音楽が現われます。

 

この切り替わりの自在さが素晴らしい!

 

この演奏を聴いてから、手元にあった何枚かの同曲を聴いてみました。

 

どれも駄目でした。

 

折り目正しく美しい演奏ですが、チャーミングさと激しさが瞬時に変化するような演奏になっていないのです。

 

ベイヌムの演奏で最初にシューベルトの交響曲を知ったら、一連の交響曲が好きになったか、というと、そうでもなさそうです。

 

ベイヌムもいいけれど、こっちもいいな、とはなりません。

 

あるブログで、なぜこの演奏がもっと注目されないのか、と書いてた方がいらっしゃいましたが、まったく同感です。

 

残念ながら、ベイヌムはシューベルトの交響曲の全曲録音はしていないようです。

 

でも、世の中は広い。

 

きっと、ベイヌムのような演奏をしてくれる指揮者がいることを期待して、6番が目に付いたら買ってしまうのだろうと思います。

 

それとも、残りの人生を考えると、ベイヌムの1枚だけで十分なのかもしれません。

 

知っている限り、「ボレロ」のアルバムで、リバース再生の45回転盤は2種類あります。

 

1つは、前にCD盤でブログを書いたことのある、カルロ・リッツィ指揮ネーデルランド・フィルハーモニー管弦楽団のもので、もう一つは、カラヤン指揮ベルリン・フィルによるものです。

 

 

再弱音から始まり最強音で終わる「ボレロ」は、レコードの内周からスタートして外周で終わる、通常とは逆再生のリバース方式というのは理にかなっています。

 

単位時間当たりの溝が短い内周に最強音の情報がつめこまれると、どうしても歪みっぽい音になりがちです。

 

これを内側から再生する「リバース」という方法で解決しています。

 

内側に針を落とすと外側に向かってアームが動くわけですが、なんとも奇妙な光景です。

 

 

さらに、このカラヤン盤では、45回転という通常より早い回転数にすることで、音質を向上させています。

 

このアルバムは、かつて第一家庭電器が会員向けに配布していた「マニアを追い越せ大作戦」の中の1枚です。

 

この企画は、カートリッジの領布会で、買ったカートリッジを十分に楽しめるように特典として高音質レコードをおまけにつけていたという、なんとも贅沢なものでした。

 

既存の録音を使うだけではなく、たとえば岩城宏之指揮日本フィルの「ローマの松」のように、アルバムのためにコンサートを企画し、ライブで収録したものもありました。

 

録音方法も、対象によって、アナログとデジタルを使い分けたりと、そのこだわりは半端ではありません。

 

オーディオは金食い虫といわれることを否定できないような企画で、今では考えられません。

 

当然、そんな企画の会員になれるはずもなく、このアルバムは中古店でやっとみつけることができました。

 

実際に聴いてみると、楽器の分離と低音の深さが素晴らしいものでした。

 

CDやSACDのほうが音がいいかというと、そうとは言い切れません。

 

CDは20,000ヘルツ以上をカットしているから、アナログ・レコードのほうが音がいい、とかいうはなしではありません。

 

マスターテープの音は、想像をはるかに越える高音質だとわれます。

 

でも、そこは、テープなので、どうしても劣化してきます。

 

さらに、その時代で求められる音、という問題もあります。

 

たとえばラジカセやミニコンポなどの再生装置が主流の時代では、そこで再生されたときによい音が出るようなバランスになるようにミキシングするということもあって、ある時代の日本のポップスCDをオーディオ装置で再生すると、どうしようもなく情けない音になってしまう、ということもあります。

 

マスターテープにエンジニアが手を加えてリミックスしてCDやSACDになるので、その結果がベストとは言い切れないわけです。

 

「マニアを追い越せ大作戦」のシリーズは、マスターテープのクオリティをレコード再生で実現させるために、拘れるところは徹底的にこだわっています。

 

どうでもよいと思われる、レコードを入れるスリーブまでこだわっています。

 

細部へのこだわりが、全体のクオリティにあらわれるのは、どんな仕事でも同じですね。

 

ところで、このアルバム。

 

裏返すと、違うデザインになっています。

 

 

B面には、J.シュトラウスの喜歌劇「こうもり序曲」は入っていて、カラヤンのゴージャスな音が楽しめます。