東大病院に運ばれたその日の午後2時から第一回目の内視鏡手術をすることになりました。

午前中に左右の腕から採血。

いったい何度の採血が行われたのか、もうわからなくなりました。

手術前に脚を圧迫する膝までのストッキングの様なものを履いたのですが、これはエコノミー症候群にならない様にするためらしいです。

手術室までは歩いて移動。

痛みは無くなったので、歩くことは何ともないです。

手術室のドアを開けると見えた光景に緊張しました。

あそこに横になるのか。

なにやら儀式があるのかと思ったら、そこからの手順がはやいはやい。

内視鏡手術なので、やる準備は胃カメラ検査と一緒。

まず、胃の中に発生する泡を抑える液体を飲み、続けて喉の麻酔の薬を口に含んで5分。

うつ伏せになるとマウスピースを固定。

そして、肩に腸の動きを抑える注射を打ち、点滴から眠くなる薬を入れます。

「この点滴が入る時、ちょっと痛みがありますからね」という声が聞こえてから、痛みを感じました。

「これは痛いかも、でも耐えられるな」と思ったのは少しの間で、そこから先は全く覚えていません。

気が付いたのは、3時間くらい経った、病室のベッドでした。

待っていた家内に話そうと思っても、口が回りません。

それにしても、ほとんど痛みを感じることもなく手術できるなんて、現代技術の凄さには驚きました。

医師からは、経過の説明がありました。

ステントは無事に入り、胆汁の流れが
確保出来たとのことです。

ステントの入れ方は2種類あって、ひとつは私がやった短いステントを胆管に通して十二指腸に胆汁を落とす方法。

もうひとつは、胆管に通したステントをそのまま鼻まで持って来て、鼻の穴からチューブを出す方法。

どちらにするのかは、様子を見てらしいのですが、鼻からチューブでなくて助かりました。
東京医科歯科大学から東大病院に運ばれたのが午前1時くらい。

日付は変わり、9月3日になりました。

再び血液検査、レントゲン検査、心電図、超音波検査などが始まりました。

痛みはだいぶ落ち着いていましたが、気持ちが悪く吐きそうで吐かない感じ。

一通りの検査が終わって、眠りに着いたのは、午前3時くらい。

点滴のせいか、トイレが近くなり、1時間毎に目が覚め、起床時間の6時を迎えました。

とにかく、ねむい。

しばらくすると医師が来て状況と今後について説明してくれました。

血液中のビリルビンの値が高く黄疸も見られるとのこと。

ビリルビンは胆汁として排出されるのですが、それがうまくいっていないということですね。

肝臓から出た管と胆嚢から出た管が合流した総胆管に結石がつまり、それが原因で胆汁の流れが確保出来ず炎症を起こしているようです。

状況を考えて、今日のうちに胆管にステントを通して胆汁を十二指腸に落とす流れを確保して、炎症が治るのを待ってから石を取る手術をするということになりました。

2回も手術をするなんて!

石だから落ちてしまえばそれまでと、ちょっと気楽に考えていたのですが、胆石の場合はそうはいかないようです。

雑菌の多い十二指腸から総胆管に菌が入らない様に総胆管の出口は小さく、簡単にポロリとはいかないのでした。

膵臓からの出口と共通なので、場合によっては膵臓炎を併発したり敗血症を起こして命を落とすケースもあるため、まずは炎症を抑える必要があるのです。

これは、退院できるまで時間がかかりそうです。

という事で、その日の午後に手術をする事になりました。


お茶の水の駅を出ると、東京医科歯科大学と順天堂大学病院が並んでいます。

お茶の水は同じ日に来たばかりでした。

東京医科歯科大学の救急室に運ばれると、そこは活気で溢れていました。

空いていたベッドに横になると、すかさず問診、心電図や血液検査が始まり、さらにレントゲンやCT検査も行なわれました。

その流れの素早さは、ドラマの場面のようです。

最初の痛み止めの点滴が効かないことを告げると、直ぐに違う点滴が始まりました。

痛みが少しだけ治ったころに医者がきてこう言いました。

「総胆管結石ですね」

石!がーん!

数年前に尿管結石をやって、ひどい目にあっていて、それを思い出しました。

だから麻酔が効きにくいんだ。

「内視鏡手術がいいけれど、ここでは土日に出来ないんです。別の病院を探しますか?」

少しでも早い治療が良いようです。

「お願いします」と答えると、医師は他の病院に電話を始めました。

「見つかりました。東大病院です」

やった。ここから近いし安心出来そうな病院です。

手配された救急車に乗って、東大病院に移動しました。

病院間の連携は、素晴らしいです。