広上淳一氏と日本フィルの演奏は40年以上ボランティアチームによって録音され、その中から3つのコンサートを選んで発売された1枚がこのCDです。


小太鼓が機械のように正確に刻むリズムが心地よく、録音のおかげかクレッシェンドしていくにつれて、皮やスネアの様子が良く分かる演奏です。


おそらく小太鼓を指揮者の近くのセンターに配置しているのではないでしょうか。


小太鼓と言えば1991年に来日したフェドセーエフとモスクワ放送交響楽団が演奏したハチャトウリャンの「レズキンカ」の超熱演がYouTubeにアップされていますが、この「ボレロ」の小太鼓も、動画で見たくなるような熱演です。


「ボレロ」の小太鼓の面白さを味わうには最高の演奏だと思います。


ライブ録音なので、もちろんブラボーと拍手の嵐です。


オーディオは、かれこれ60年近く続いている趣味です。


自作の真空管アンプで遊んでいる頃は、コンデンサーや抵抗などの部品を取り替えるだけでハッキリと音が変わることが分かりましたが、完成品の組み合わせでシステムを組む様になると、ケーブルなどのアクセサリーという、誰が聴いても違いが分かるという訳ではない世界になりました。


音楽よりも良い音を再生するためのオーディオに関心を持つ事も趣味としての楽しみ方ですが、スピーカーから出てくる音を気にしすぎると、オーディオという「沼」にはまり、音楽にのめり込めなくなります。


「沼」の中でも底なしなのは、ケーブルなどのアクセサリーの世界でしょう。

 

ここにはまると抜け出すのはかなり困難だと思っていたので、あまり近づかないようにしていました。

 

ところがその考えを変えることがありました。

 

オーディオ店で、PERFECTIONのPFT-T3000AFという電源タップが「動作」しているのを「見た」ことです。

 

電源タップは、コンセントのプラグを差し込むためのもので、「動作」を「見る」というのはおかしな表現です。

 

実はこの電源タップにはインジケーターがあり、電源ラインにノイズが乗ると、これが点滅するのです。


これはノイズを見ていることになります。


離れた場所で電子レンジやドライヤーなどを使っても、インジケータが点滅するらしく、そう考えると私のオーディオ環境はノイズだらけと言うことになります。

 

多くのアクセサリーの効果はプラシーボによる割合が多いと思っている方なので、視覚的に見せられると心が動いてしまいます。


オーディオ紙を見るとアクセサリーを変える事で「劇的に音が変わる」と言う表現が多く、何だかイヤな世界になっているように思います。


その書き様は、誰でもその変化が分かるのだと錯覚してしまいます。


音の変化が全くないとは言いませんが、この変化が聞き取れる人もいれば、そうでない人もいる程度の変化なので、評論家の書き方には疑問があります。


私の場合は、「これだけお金をかけたのだから良い音になるはずだ」と言うプラシーボ効果を「多めに」受け入れるようにしています。


「ノイズを見る」ことのほかに、もう一つ電源ケーブルについての体験がありました。


私の会社ではロボットを先生にすることに取り組んでいます。


このロボットの電源アダプターは大きく、ケーブルも太くてデモなどに持って歩くには不便でした。


せめて電源ケーブルだけでも細くて短いものにしようと取り替えた途端、ロボットの動作が不安定になりました。


最初は原因がわからなかったのですが、電源ケーブルを元に戻すと安定して動作する様になったので、電源ケーブルの太さまたは構造が関係していた様です。


音と違い、こちらは誰でも分かる変化です。

 

この体験も思い出したので、そのままにしておく事ができなくなりました。


ちょうどデスカウントされたテーブルタップがあったので購入してみました。




チクマのタップで、ケーブルには十分なノイズ対策がされています。






さらに、それまで使っていたテーブルタップも利用して、デジタル機器とアナログ機器でタップを使い分けました。


効果はどうか?


静かさが増して音が空間にスッと立ち上がるような「気が」しました。


スイッチ一つでケーブルを切り替えられると、違いがハッキリ分かるのかもしれません。


劇的な変化は感じられないものの、ほんの少しの変化の積み重ねで、自分にとっての一番好きな音になって行くのでしょう。


たぶん。






 

 

 

モスクワ音楽院が出したと思われるライブコンサートのCDです。

 

「ボレロ」のほかに、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が収録されています。

 

指揮者のレオニード・ニコライエフについては全く知らなかったのでネットを検索してみたのですが、情報らしいものはヒットしませんでした。

 

モスクワの南東にあるアルザマスという都市で生まれ、モスクワ音楽院を卒業したのち、指揮法の名教師として知られるハンス・スワロフスキーに師事し、1974年のカラヤン国際指揮者コンクールに入賞したということくらいしかわかりません。

 

モスクワ・グレートホール交響楽団についてもよくわかりませんが、モスクワ音楽院の教授や優秀な学生を集めたオーケストラではないかと思います。

 

このオーケストラに限らず、旧ソ連のオーケストラは、名前が似ているものもあり、正体が良くつかめません。

 

ニコライエフの「ボレロ」ですが、演奏時間はラベルの指定に極めて近い16分56秒です。

 

約17分かけてゆっくりとクレッシェンドしていく演奏で、スネアドラムもよく響き、なかなか立派な演奏です。

 

演奏後の拍手とブラボーの嵐からも、これが伺えます。

 

「春の祭典」も立派な演奏で、もっと表に出てきても良い指揮者だと思います。