




「 シロバコ 」 …ってなんぞや?
女子キャラがキャピキャピしながらテキトーに騒ぐありがちなグダグダ萌えアニメ…?
画像1枚目のビジュアルからはそんな印象を抱くかもしれませんね。タイトルだけではどんな内容なのか想像がつかないアニメーション作品。
「SHIROBAKO」がどんな作品かと一言でいえば、アニメ制作現場で働くスタッフの面々が織りなす群像劇。いわゆるお仕事アニメです。原作無しの完全オリジナル・ストーリー全24話。
お仕事アニメやドラマでありがちなのが会社や仕事を舞台背景に据えてはいるものの実は仕事内容あまり関係ないじゃん、って作品。
ですがこの作品はガチでアニメ制作を軸にストーリーが展開していきます。むしろアニメーションを作り上げる課程そのものがこの「SHIROBAKO」という作品の骨格。
…とは言ってもアニメ制作HowToや制作裏話を面白おかしくバラす暴露モノというわけではありません。
基本的にリアルな設定と真面目なストーリー、そこにコメディやギャグ要素が絶妙なサジ加減で散りばめられ時に悪ノリ、時にホロッとさせられる作品。
放送前は全くノーマークだったんですけど初回放送の当日なんとなく気になって録画予約。いつの間にか毎週いちばん楽しみな番組になってました。おそらく2014年秋アニメでは一番のダークホース…というのがもっぱらの評判。(オレ調べ)
物語の主な舞台となるのは中堅アニメーション制作会社 武蔵野アニメーション…通称“ムサニ”。
主人公は短大卒業後ムサニに入社して間もない新人、宮森あおい。配属は「制作」。
制作って具体的に何をするところかご存知ですか? アニメのOPやEDでスタッフロールの最後の方に必ず出てきますよね、制作デスクとか。
作品内容の舵取りをするのが「監督」だとすれば、その作品を制作する現場の実務全てを舵取りするのが「制作デスク」という仕事…らしいです。ざっくり言って。制作現場を俯瞰で見渡せる部署でもありますね。
他にも演出・脚本・原画・動画・美術・仕上げ・音響・撮影などなど、聞きなじみのある様々な職種に就く数多くのスタッフ達が登場人物。
「SHIROBAKO」のここが見どころ【その1】
数多くのスタッフがキャラクターとして登場しますが、それぞれの人物設定がしっかりと作り込まれ一言のセリフ一つのシーンや会話からそれぞれの人物の存在感を平等に生み出している点。
登場キャラの大半が実在の人物をモデルにしていると云われており、ありがちな典型的アニメキャラというより現実の人物をアニメ化したような感じ。身の回りにいてもおかしくないような個性的で一癖も二癖もある、だけど真面目なごく普通の人々。そんな人々が現実のアニメ制作と同じように仕事をする姿が描かれます。
おそらく相当深くて膨大で綿密な設定が作り込まれているはず。アニメ好きならたいがいの方が知っているアノ人やコノ人なんかもここぞという場面にゲスト出演します。
つまり「SHIROBAKO」はアニメーション制作の現場をかなりリアルに具体的に描いたアニメーション、これまでになかった異色とも言える作品です。
そして現実と同様、登場キャラのオヤジ率も高くその点でも異色と言えるかも。キャピキャピとか萌えとかほとんど無いですスイマセン。
そんな中、完全に架空キャラである主役級メイン女子キャラ5人はむしろ脇役にすら思えるくらい。むしろ5人揃って登場するエピソードは稀です。というか主役のコ以外あまり登場しないんですよ。
彼女らは高校時代のアニメーション同好会の仲間達。素人レベルながらも在学中に実際にアニメ作品を作り学園祭で上映、夢はいつの日か5人で一緒にアニメを作ること。
アニメーター、CGグラフィック、声優、脚本、それぞれがそれぞれの道を目指し夢を追っていきます。
けれど実際に社会に出てみるとそう簡単に実現できる夢ではないことを痛感する日々。ここらへんの描かれ方はけっこうシビアです。
だからこそほんの小さな一歩をやっとの想いで踏み出せた瞬間、心打たれます。
物語はアニメーション制作会社であるムサニが1クールのTVアニメを1話1話作っていく課程を軸に進んでいきます。決められた納期から逆算したスケジュールに沿って気の遠くなるような膨大な作業を1つ1つこなしていくスタッフ達。その全てのスケジュールを組み立て 取り仕切り 作品を完成に導いていくのが制作の仕事です。
けど現実は甘くない。クォリティーへのこだわりから作画リテイク、まさかのシナリオからやり直し、スタッフ同士の衝突、スケジュールを食いつぶす要素はあちこちに転がってます。しかしスケジュールが遅延しても納期は変わらない。
“納期”とは要するに完成した作品をTV局に納めなきゃならない日時。これを1分1秒でも過ぎてしまうと受け取ってもらえなかったり放送してもらえなかったりする可能性がかなり大きい絶対的な約束事。
しかし万が一、もしも作品の完成が間に合わない時はどうなるのでしょう?
そう、「総集編」に差し替えです。
SHIROBAKO劇中では監督による絵コンテがなかなか上がらず「最終回が総集編なんてありえない」なんてセリフがあるんですけど、実はこの監督のキャラは水島努監督自身がモデル。水島監督といえばご存知ガルパン=ガールズ&パンツァーの監督でもあります。
本放送でガルパン観た方はご存知でしょうが、たった1クール12話の間に総集編が2回も入ってるんですよね~これが。6話と12話。そうです、最終回が総集編でした(笑)
実際にはガルパンの初回オンエア時には2回の総集編はそれぞれ5.5話 10.5話として放送され、数ヶ月後にホントの11話 12話が改めて放送されるという伝説を残しています。
本作品「SHIROBAKO」ではなんとか納期に間に合わせるんですが押しに押したギリギリのスケジュールの中、納期までに完成させる必殺技はあるのか。
この作品にそんな超常的な飛び道具は存在しません。あくまでも現実的に解決策を探っていくだけ。必死にもがいたり悩んだりしながら真摯に地道に努力して万策尽きたその先に見つかる僅かな希望。些細な偶然の積み重ねがやがて小さな奇跡を手繰り寄せます。
「SHIROBAKO」のここが見どころ【その2】
伏線…とまではいかない数多くの布石の打ち方が非常に考えられてます。何の意味も無さそうな一言のセリフや表情が後々のストーリーに繋がってきます。とても丁寧に緻密に練り上げられた脚本。
ここまででただアニメーションをつくるだけの話かよ、と思われるでしょうが全くその通りです。ストーリーも登場人物達の仕事を中心とした会話メインで進んでいきます。
「SHIROBAKO」のここが見どころ【その3】
無駄なセリフが無い。ほとんどセリフ回しメインで進んでいくストーリー、でも基本的に仕事=アニメーション制作に関する業界用語のオンパレード。なのにどんどん引き込まれるテンポの良さと適度なマニアックさ。ストーリーを追っているうちにいつの間にかアニメーションが具体的にどうやって作られているかも何となく分かってきちゃいます。
ストーリー進行とアニメーション制作の手順が見事に絡み合っているだけでなく、そこに込められた制作スタッフ達の想いやこだわりさえもが重ね合わされています。
「SHIROBAKO」のここが見どころ【その他】
アニメーション作品の中で描かれるアニメーション制作の描写。
劇中アニメの作画や演出、キャラクターに命を吹き込む芝居、スタジオでのアフレコや編集、などなどの様々な職人技を緻密に描写。
2クール全24話でハズレ回なし。ストーリーや作画も安定、むしろ全話が高密度。
一貫して丁寧な作画。キャラクターのちょっとした仕草や表情まで手を抜かないP.A.WORKSの仕事っぷり。
様々なアニメ作品やアニメーターや声優、業界ネタのパロディ満載。
水着回は無いですスイマセン。
アニメを好んで観る方なら非常に興味津々で楽しめる作品であることは間違いありません。これまでに観た作品がまた違って見えるかも。また、クリエイティブな仕事や趣味を持つ方、何かを創り出すことに喜びを見いだす方にも共感できる部分があるかもしれません。
ちなみに昔は完成した作品が記録されたビデオテープを何も印刷されていない白いケースに入れていたとか。市販ソフトのように絵柄が綺麗に印刷されたパッケージではなく何の飾りもない地味で真っ白なケース。その名残から放送局に納品できる状態の完成作品を指してこの作品のタイトルにもなっている“白箱”と呼ぶのだそうです。
つまり白箱とはその作品に携わった人々の仕事、想い、様々な出来事の全てが詰まった集大成。世の中から見ればちっぽけなモノかも知れないし1回放送されて見流されるだけかも知れないけれど作り手の全てを注ぎ込んだもの。そんな意味を込めた作品タイトルなのかもしれません。
最初にも書きましたが「SHIROBAKO」は原作など無い完全オリジナル・ストーリーです。そしてSF物でもファンタジー要素もありません。劇中アニメを除けば基本的に派手なアクションやバトルやメカや魔法もなし。言わば裏方さん達の姿を描いただけの物語。
だけれど全く飽きさせず綺麗にまとめた2クール24話。その魅力を少しでも伝えたいと思って記事にしようと思ったものの文章がダラダラ長くなるばかり、作品の本質を全く表現できないもどかしさからボツ記事にしようと思いました、変な話。
なのでこの記事から感じられるよりも3倍は面白いと思ってください。
いや、やっぱり20倍で。
9月からキッズステーションで放送するようなので視聴できる環境の方はぜひ。
水島努監督といえば現在放送中の「プリズンスクール=監獄学園」、バッカバカしい内容をめちゃくちゃ丁寧に作ってて笑いがこらえられません。
──────コメント(14)─────
へてかるぴ
つい二日前、本屋に行った際にアニメ誌等の棚でこの作品のタイトルが表紙に入ってる本を見かけました
恥ずかしながら、全く知らない作品でしたので
「よくある、カワイイオンナノコが出てくるアニメの新作かー」程度の認識でしたが
ただ、タイトルだけは変に意識に残ったのです
ウチはキッズステーション等は視聴できませんが
GYAO等の正規動画サイトに出てきたら是非観てみようとおもいます
2015/8/20(木) 午前 7:21
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ネビィラ 71
こりゃ斬新なジャンルのアニメですねぇ♪(◎-◎;)
この世界を目指す方々や海外のアニメファンには堪らない作品みたいですねぇ♪
2015/8/20(木) 午前 8:54
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ソリッド
へてかるぴさん
派手で分かりやすいアピール要素に乏しい作品なのでビジュアルだけを見ると「よくある○○」だろ?みたいに誤解され易いのが歯がゆいところです。
全話見終わって何も残らない作品も少なくない昨今には珍しい内容勝負の作品だと思います。
タイトルが意識に残ったのも何かの縁、もしご覧になる機会があればぜひ3話まで観てご判断を。そこまでで気に入れば最後まで一気にイケます
2015/8/20(木) 午前 9:27
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ソリッド
ネビィラさん
アニメを作るアニメ作品ですからね~既視感の全く無い斬新さです。
業界内でかなり人気があるとは噂に聞きましたが、へぇ~海外でも評価されてるんですね
2015/8/20(木) 午前 9:37
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顔アイコンカムロ
少年マガジンでも最近凸凹アニメーションって漫画が連載されて
監獄スクールのアニメ化暴挙のルポ漫画やってたりと
俺的にとてもタイムリーな記事っすw
2015/8/20(木) 午前 10:37
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capsulerose
今回も読みごたえのある記事...
完読させていただきました!笑
これは全く知りませんでしたがソリッドさんの記事を読むと見てみたいなって思いましたよ
さすがのプレゼン上手!
d=(^o^)
ご紹介いただいた写真みると作画クオリティーすごく高そうな感じしますね
アニメ製作の話なだけにって感じでしょうか
2015/8/20(木) 午後 0:14
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ニホンセン
MXだかTV神奈川で2、3回見ました
というより流し見してましたw
朝から濃い内容だなとトイレで起きてまた二度寝しました
ソリッドさんの語りたいモノに対しての熱量が伝わりますねw
こういうとこ似てるわ(笑)
2015/8/20(木) 午後 2:32
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ソリッド
カムロさん
凸凹アニメーションって作品もスゴい評価されてるみたいですね、別の意味で
アニメの「監獄~」はあの内容に対してムダにクォリティー高い作画とのギャップがヤバいですね(笑) 毎週ハラかかえてます
近々ミーティングってのもタイムリーですねニヤリ
2015/8/20(木) 午後 8:00
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ソリッド
capsuleroseさん
ムダにボリュームだけあって…
スイマセン
あんまりプレゼンにはなってない気もするんですけど興味を持ってもらえたなら幸いです。って誰得なんだよ(笑)
作画クォリティーは飛び抜けて高いわけでもないんですが、作品内容ともリンクしていて丁寧さが伝わってくるんですよね。
色んなアニメを見てきた世代にも新鮮さが感じられる切り口の作品だと思いますのでもし機会があれば是非っ
2015/8/20(木) 午後 9:40
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ソリッド
ニホンセンさん
「熱く」「うっとうしく」をモットーとしてますのでそれが伝わったなら幸いですっ
二、三話ご覧になったんですね、どこらへんだろ。でも全話けっこう濃い内容ですよ(笑)
布石が打ちまくられていてそれが三段オチになってたりする構成なので2度3度観ても飽きません
逆にココがアレに繋がるのか~とか気付いて感動したり…
あ、また暑く語っちまうところでした危ないアブナいw
似てますか?
似てますね、ゼンマイとか。あとゼンマイとか
2015/8/20(木) 午後 10:20
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顔アイコンばいきんダディ
ま~ったく知らないアニメでした。
>人物設定がしっかりと作り込まれ一言のセリフ一つのシーンや会話からそれぞれの人物の存在感を平等
ほお・・いいですね、こういうの。
>主役級メイン女子キャラ5人はむしろ脇役にすら思える
うむ。ますますいい。
むしろアニメとして信用できます。
>水着回は無いですスイマセン。
・・・・。
これは原点材料かな、うん。(結局それかい(笑))
いやいや、完全ノーマークの良作アニメのご紹介ありがとうございました。
正直、若いアニオタの「おもしろい」は全くあてにならず、ソリッドさんのような方がおもしろいとおっしゃるアニメじゃなきゃ観る気がしないのです(笑)
話数はありますが、むしろ原作無し24話という点にひかれますね。
一度観てみます!(^^)!
2015/8/21(金) 午後 1:47
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ソリッド
ダディさん
前向きにご検討ください(笑)
あまりハードル上げるようなことは言いたくないんですが、普通の人々が仕事に取り組む姿を描いてるだけなのに引き込まれる物語です。
アニメ制作での日常会話や人と人との繋がりが積み重なってやがていくつかの小さな奇跡が起きていく...。地味だけど笑って泣ける作品です。
やばっ、完全にハードル上がった(笑)
若い人はまだ作品に出会う経験値が低かったり、二番煎じもそれと知らずに純粋に「おもしろい」と言ってるんでしょうね。その言葉に嘘や悪意は無いので参考程度にさせてもらってますよ。
やばっ、完全に好感度上がった…上がってないか(笑)
先にも書きましたが、ご覧になるならとりあえず3話くらいまでで雰囲気つかめると思います
24話あって水着回どころかお色気シーンすら無ッシングですスイマセン その代わりオヤジ連中の職人技にシビレてください
お色気をご所望なら同監督の監獄学園をどうぞ。今夜放送です
2015/8/21(金) 午後 9:30
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顔アイコン不思議な泡
面白かったです
友人が電通で同じような事やってます
2016/6/26(日) 午後 10:06
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ソリッド
不気味な泡さん
ご覧になってたんですね、私は3回通して観ました。あれ? 4回だったかなw
どんな仕事/職場でもそうでしょうが、多くの苦労とささやかな見返りの繰返しでしょうかね。
2016/6/26(日) 午後 11:16