世間の見る目なんて、いつだって後から変わる。  




この言葉を見て、ふと立ち止まりました。


バレエコンクールの順位も、バレエ団の評価も、評論家の言葉も、観客の反応も、ダンサーとしての人気も…


みんな「他人から見たもの」です。


それは決して悪いことではないし、  評価されることは励みにもなりますし、うれしいですよね。


認められれば、頑張ってきてよかったと思える。


でも現実には受賞しても素直によろこべない人もいるし、  逆に予選落ちをきっかけに強くなる人もいる。


同じ出来事でも受け取り方は人それぞれ。  


だとしたら?


起きたことそのものよりもそれをどう受け止めるかの方がその人にとってはずっと大きいのかもしれません。


世間の評価や流行や価値観は参考にはなるかも知れません。


しかしそれが絶対ではない。


あとから見方が変わることなんて、本当にたくさんあります。


私がいい例です。


「あんな男の子、辞めちゃえばいいのに」と言われていた私が、海外で就職出来たり、コンクール審査員になった時点で態度を急変させてすり寄ってきた人たちが沢山いました。



「辞めちゃえばよい」と言う教師や周りの言葉は受け取らなかったですし、態度が急変して賞賛されても手放しで喜びませんでした。


なぜなら私自身は3歳から変わらずにバレエに向き合っていただけで今の地位が確立出来ましたが、他人は「その時の私の状況」と「その時の感情」だけで私を勝手に評価をして、そしてその評価はコロコロと変わるのを長年見て経験してきました。


人を信用しないわけでは決してないです。


しかし人の評価が自分の人生の全て、とは考えたくないし、他人に自分の魂は吸い取られないようにしたい、と思っています。


人の評価を全部飲み込むのではなくて自分の中の感覚も大切にする…


これが一番「あなた」を守る。


そう信じています。


そんな私が審査員長を務めるWind Ballet Concours ですが…



審査員の評価は、決して絶対ではありません。

  

そのとき審査員が感じたことを、アドバイスシートや採点という形でお伝えしているだけです。


でも、だからといって  


「誰の意見も評価も必要ない」  


となってしまうと、バレエ人生は独りよがりなものになってしまいます。


だから私は、ときには他人の評価に耳を傾けることも大切だと思っています。  


コンクールは、そのための一つの機会です。  


ただ、それを受け取るかどうかは本人次第。  


全部を真に受ける必要もなければ、全部を否定する必要もありません。


バレエの世界にいる限り、辞めるまでずっと、指導者や観客から何かしら評価される日々が続きます。

  

だからこそ、厳しいことを言われても簡単には折れない「免疫」を持つことは大事です。


けれど、コンクールは人生のほんの一部分にすぎません。  そこで立ち止まり続けるのではなく、次に進むための踏み台くらいに思ってほしいのです。


参加したあとには、自分のプラスになった経験だけを持ち帰れば十分。  


それ以外は、忘れてしまうくらいでちょうどいい。


実際、プロで活躍しているダンサーの多くは 


「コンクール? ああ、そんなものもあったね」  


というくらい、さっぱりしています。


そのくらいの存在として、コンクールを使ってほしい。  


忘れられる通りすがりの存在。  


でも、前に進むためにはちゃんと役に立つ存在。 

 

それがコンクールなのだと思います。


この言葉、覚えておいてください。


「コンクールや他人の評価に人生を支配させないでください。  自分を育てるために使い、役目が終わったら、あとは置いていけばいいのです」


左右木健一