ポーランドのシレジア歌劇場バレエ団の牛坂久良々がキトリデビューしました!
入団した頃はキューピッドだったので、念願のキトリだったと思います。
久良々は本当に「手のかかる子」でした(笑)うちに入学してきたのが21年前。とにかくうちのスタジオがあり得ないくらいカオスの頃で…
私も指導を始めてまだ3年しか経過していない新米教師で、とにかく大変な頃に入学してきたのでエピソードは山ほどあります(笑)
準備が整っていないのを理由にYAGP(現YGP)のエントリーをさせなかったり…しかしあの時エントリーしていたら今の彼女はないですし、その後ニューヨークファイナルまで行けたので選択は間違っていなかったです。
コンクールでは苦しかった彼女。しかしプロになってから自らコンクールにエントリーしました。その話はこちらの動画をご覧ください。
久良々を21年間見てきた私にしてみたら、彼女の成功は心から嬉しいです!
バレエの世界…特殊ですし、色々なハードルをその都度その都度、乗り越えないといけないです。
コンクールについては書きましたが、バレエ団に入団したら、それこそ毎日がコンクールです。
振付家がやってきてレッスンを見て配役を決めたり一旦与えられた役をいきなり下されたり、怪我人が出たらすぐにカバー出来るだけのチカラが試されますし(昇格のチャンス!)
毎日毎日誰かと比べられるのは当たり前なので、もうそこには「誰かと競争する」と言うような次元の話ではなく
「いかに自分を見失わないか?」
と言う、自分との弱さとの戦いになるのです。
コンクールに出ていた10代で味わう挫折よりも、何倍も辛い現実が待っています。お給料が発生するのですから、当たり前の話。
そしてバレエダンサーには必ず巡ってくる
「いつ引退するの?」
と言うバレエ団からの無言の圧力。どんなプリンシパルでスターだとしても必ず、必ず訪れる現実。この辛さに比べたらコンクール予選落ちなんて大したことありません。
久良々には子供の頃から、この現実を受け止められるだけのチカラを与えました。
どんなに辛いことがあっても諦めなかったから獲得出来た達成感をベースに、彼女は更に強くなれたと思います。
久良々、改めておめでとう!
そして今からが、本当のバレエ人生スタートだからね!
左右木健一