コンクールの賛否両論は昨日のブログにも書きました。

あまりにもコンクールがカジュアルになりすぎて、バレエだけではなく、習い事をいくつも掛け持ちしながらコンクールに参加できる状況になっている今、様々な問題が新たに浮き彫りになっています。

コンクールに安易にエントリーしたために、自信が無くなってしまった子供たちをどのように励ましたら良いか悩む親御さんや指導者の先生方の話を沢山聞きます。

コンクールは永遠ではないです。そのコンクールが終わったら次!となるはずなのに、悪い結果(良い結果も!)が未来永劫続くか、の如く感情をあらわにしてしまうのは人間だったら仕方ないことですが

「お祭り騒ぎ」が終了した数年後、冷静に考えてみると

「あの騒ぎは、なんだったの?」

と言うことありますよね。コンクールも同じです。

以前未来は白紙と言うブログにも書きましたが


私が東京新聞予選落ちの時の写真が出てきました。中学生とは思えない老けた感じ。まずもって第一印象が悪い(笑)


これでは落ちますよ(笑)当たり前。中学生だった私は週3回程度のレッスンで、しかもヴァリエーションを個人指導してもらうこともなく…明らかなる練習不足と意識の低さ。その当時の参加者はバレエ一筋の子供たちばかりのなか、私は完全に部外者でしたね。

プロになる前の私は、誰からも注目されていたわけでもなく、先生からかわいがられていたわけでもなく、いわゆる

「どこにいるんだか、よくわからない子」

の部類でしたから、特に予選落ちしたから、と私が「この世の終わりだ…」と落ち込むことは全くありませんでした。

しかしローザンヌがTVで放送されて、いつのまにかマスコミが入賞した、入賞逃した(この「逃した」と言う言い回し自体が、もうスポーツの世界のような偏った表現)と言う報道をするようになり、ニュースに限らずワイドショーにまで取り上げられるようになった頃から、歯車が狂ってきたように思います。

本来なら子供たちがのびのびと成長するキッカケだったはずのコンクールが、情報過多のご時世、そうではなくなってきています。

昔でしたら

「スタジオの中で選ばれた1人の生徒(他の習い事などもなく、バレエ一筋の子)を丁寧に指導をしてコンクールにエントリーさせる」

と言うのが普通でしたが

「他の習い事も山ほどあり、バレエ一筋なわけでもなく、数えるほどしかレッスンに来てないけど、とりあえず生徒が望むのでコンクールにエントリーさせる」

と言うスタンスも有り、になりました。その分、裾野が広がり、選ばれた子供たち以外にもチャンスが増えたのは事実です。

しかし…


昔はコンクール会場に張り出されている結果発表を、会場に出向く人たちだけしか知らなかったのに、今はバレエ関係者ではない一般の方も全員SNS上で見れることにより、益々「結果が目につく環境」になってしまっています。しかも動画がライブ配信される時代です。


しかし、このような状況から


「では結果は会場に貼り出してありますから、会場に来てください」


「ライブ配信は一切やりません」


と、昔のようには決して戻る事はないでしょうから私達が子供たちを守るためにはどうしたら良いのでしょうか?


「頑張ったね!でも、もう終わり!はい、次!」


と、その結果に留まらずに方向転換させることではないでしょうか?


結果ばかりにこだわる人に、私はよくこんな事を聞いたりします。


「今年〇〇コンクールで1位だった子、を言ってみて!」


もちろん、その方たちは答えられます。そこで


「では2010年の同じコンクールで1位だった子は誰ですか?」


………「わかりません」となります。


そこで私は言います。


「それが、あなたが今こだわっている結果ですよ。10年過ぎたら人の記憶にすら全く残らないのだから気にしなくてもいいのではないですか?」


と。


結果なんて忘れられます。しかし人間は誰かに優しくしてもらったり、辛い事を乗り越えていった過程は決して忘れません。


コンクールにエントリーするなら、親御さんも含めて覚悟が必要ですが、その覚悟がなければ「バレエを習えない」と言うわけでもないです。


色々なバレエの関わり方があります。コンクールはバレエの「ほんの一部分」であり、全てではないです。


私のようにコンクールに予選落ちしても、こうして(細々ではありますが)バレエの世界にいることは可能なんです!


バレエを習うスタンスは様々であることを、是非ご理解頂ければ嬉しいです。


左右木健一