以前にもブログに書きましたが
フレデリック・アシュトンの作品を踊らせて頂いた時代は、私は「ロイヤル・スタイル」一色で、ワガノワメソッドが大嫌いでした。今なら信じられないけど(笑)

今の時代は良いですね!アシュトンの「二羽の鳩」が見れますよ。


私はジプシーボーイを踊らせて頂いたのですが、とにかく激しい踊りなので、かなり身体を酷使しました。

「二羽の鳩」を初めて見たのがパリ・オペラ座バレエ学校。

この学校日本公演、上野で観てるんです!そう、シルヴィ・ギエムの時。とにかく音楽が美しいんです。この世のものとは思えない美しさ…数あるバレエ音楽のなかで、曲を聴いてるだけで涙腺が緩むのは「二羽の鳩」だったりします。



その15年後、まさか自分がフレデリック・アシュトンの「二羽の鳩」を踊れるとは…

それまでパリ・オペラ座バレエ学校のほのぼのとした「二羽の鳩」しか知らなかったので、アシュトン版を見たときは、ホラー映画を観たみたいなショックを感じました(笑)

とにかく、表現が激しいのです。

ジプシーですからスリはやるし(ジプシーボーイの役目、笑)主役の男性はロープで縛られてリンチ状態だし、ジプシーの女たち(全員バブル期のソバージュ髪!)も男たち(まるでチンピラみたいな風貌!)も品のあるパリ・オペラ座の生徒たちと真逆で、とにかく全てがドロドロしているんです。美しくて繊細な音楽とのギャップで、どんどん繊細に聴こえなくなる(笑)

何よりも振付が超絶難しいのです。足さばきが要求されますし、上半身の動きも必要以上に激しいので、身体が振り回されないように耐えるだけのパワーも必要ですし…

アシュトン作品は全部そうですが、とにかくハードです。

久しぶりにロイヤル・バレエの「二羽の鳩」を観て

「自分はこんなに恐ろしく難しい作品を踊っていたのか…」

と他人事のように感じました。

しかもアシュトン作品に必要なチェケッティメソッドのレッスンを毎日受けて育ったわけでもなく…


今考えたら、随分無知なまま、踊っていたなあ、と反省します。

そしてアシュトン作品を踊っていた頃から20年が過ぎた今…

ワガノワメソッドのキーロフアカデミーで指導をしている事も、本当に不思議です!

30年前はワガノワメソッドどころか、毎日バランシンメソッドでレッスンしていましたし…


人生どうなるかわかりません!

51歳の私ですら、そのように感じるのですから、若い皆さんはもっと変化があると思います。

「二羽の鳩」

とても綺麗な音楽なので、ぜひ聴いてみて下さいね!

ちなみに私がパリ・オペラ座バレエ学校の公演を観る前に購入したレコードがこれ。

聞くだけでもほのぼのしますよ!

左右木健一