「東四国国体」
が開催されました。
会場は香川県の大野原町でしたので、
近くてよかったのですが、国体出場
初の
「民泊」
でした。
さてどんな戦いになったのでしょうか。
それではどうぞ!
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第43号のメニューはこちらです。
■平成5年(その2)
■編集後記
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■平成5年(その2)
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平成5年のシーズンの続きです。
連敗でスタートした日本リーグを4連覇
した闘犬センターは、香川徳島両県で
開催された
「東四国国体」
に臨みます。
この国体の監督は家竹監督でした。
結局杉本さんは復帰せず、さすがのオー
ナーも諦めたようでした。
ただ家竹監督の若さに不安があったので
しょうか、私に
「総監督」
の名前を勝手につけて、ベンチ外から
作戦や選手交代の指示をしろとの命令が
ありました。
オーナーが言い出したらその通りやらな
い訳にはいかないので、試合前のオーダ
ーを決めてオーナーに電話して了解をも
らうという仕事は私がやる。
試合中のサイン等はベンチ内の家竹監督
が主に出して、ピンチの時の選手交代等
は、相談してやることにしました。
まあ、それしかやりようがなかったとい
う感じでしょうか。
この試合前のオーダー確認が面倒くさい
んです。
気に入らないと突然
「その選手は使うな。」
と言い出しますし、選手の調子も何も関
係なく、勘だけで自分のお気に入りの選
手を使うことを言ってきました。
国体は選手が12名しかベンチに入って
いませんので、先発メンバーはほぼ固定
と言ってもいいんですが、オーナー特有
の勝負勘みたいなものが働くんでしょう
ね。
「○○を使え。」
などと言ってきました。
日によっては選手のことは何も言わない
のですが、自分の身の回りで起った出来
事を言って聞かせたい時がありました。
これが大変なんです。
自分の言いたいことを全部言わないと、
この話が終わらないんですね。
試合前の忙しい時に、延々と聞きたくも
ない話を聞かなくててはいけない気持ち
分かっていただけますか(笑)
オーダー表は私が持っています。
後ろでは場内放送が
「高知県はオーダー表を提出して下さ
い。」
と言っています。
こちらはイライラしているのですが、話
は終わりそうもありません。
相手の状況を考えて喋ってくれるような
人ではないんです。
「早く終ってくれ。」
と思って聞いているときに、
「高知県はオーダ表を提出・・・」
という催促の場内放送がありました。
イライラの頂点でした。
オーナーに切れる訳にはいかないので、
思わず、
「ちょっと待てって言いゆうろいうが!」
と怒鳴ってしまいました。
放送はぴたっと止まりました。
すみません。あなたが悪いわけじゃない
んです。
オーダー表を提出していない私が悪いん
です。
もっと悪いのは試合前にソフトボールと
関係ない話を長々と喋っているオーナー
なんです。
この怒鳴り声が聞こえたのでしょうか、
それから少ししてオーナーの話は終わり
ました。
最後に
「ほんなら頑張れよ。」
と言って電話は切れましたが、つくづく
疲れるオーナー対応でした。
この国体闘犬センター(高知県)として
は最初で最後の経験をしています。
それは民泊というシステムでした。
このわがままなメンバーを各家庭にどう
やって割り振ったらいいのか、ご迷惑は
かけないだろうかなど、ここでも余計な
神経を使いました。
食事は地区の集会所で摂ることになって
いましたので、地区の奥様たちにお世話
になりました。
そして夕食の時にはご主人たちが、お酒
やビールを持ってお世話しょうとしてく
れていました。
「高知県民はお酒が好き」というイメー
ジがあるようで、接待しないとまずいと
思ったようですが、この時代の選手たち
はお酒はあまり飲まなかったんですね。
ビールよりもご飯下さいというやつらば
かりでしたので、ご主人たちも拍子抜け
したようで、2日目からはなくなりまし
た。
後で聞いたのですが、近くの地区に沖縄
県が民泊していて、それがすごく飲んだ
らしんですね。
沖縄が飲むなら高知はもっと飲むだろう
ということだったようです。
イメージって怖いですね(笑)
さて試合の話をしましょう。
初戦は東京都でした。
国体で東京都と対戦も時々ありました。
他にも優勝候補がある中何故東京都?っ
て思っていたら、天皇杯特典争いの対象
が東京都ってことが良くあるらしくって、
その東京都を一番強い高知県に当てて、
一回戦で消えてもらおうってことだった
ようです。
国体はいろいろなことがあります(笑)
好投手中村君を攻略して勝利して、次戦
はこれまた好投手大村君の山形県でした。
苦戦しますが1-0延長10回サヨナラ勝
ちで、難敵を退けます。
決勝戦は地元香川県、相手としては一番
簡単な相手でした。
これが国体です(笑)
得点は1点しかあげていませんが、試合
は西村投手が奪三振16の完全試合を
達成しましたから、危なげはなかったで
す。
これで2年ぶりの優勝となりました。
やはり西村投手の存在に頼る部分は大き
かったですが、梅下、竹下、岡本、江口
和田、井上などのこれからの闘犬センタ
ーを支える若者たちへの世代交代が始ま
った国体でした。
決勝戦後選手はそれぞれの民泊先でお風
呂をいただき、集会所に集合して地区の
皆さんとささやかな祝勝会となりました。
会場の大野原町から高知までは、高速で
40分ほどの距離でしたので、宿泊はせ
ずに帰ることにしていましたので、お酒
はなしの祝勝会でした。
けれど本当にお世話になりましたし、危
惧していた初の民泊も何もなく終わった
と言うか、こんな感じなら民泊の方がい
いいのではないかと思わせてくれるくら
いでした。
だんだん盛り上がってきて、地区の方が
私に耳打ちをしてこられました。
「総監督さん、ビールがたくさん残って
いるんですが、どうしましょう?」
私も嬉しくて盛り上がっていましたので、
「地区の皆さんで飲んで下さい。」
「もし構わなければ、一部ビールかけに
使わせてもらってもいいでしょうか。」
とお聞きしました。
即答で
「どうぞ!」
でした。
テレビでプロ野球の優勝時にやっている
のを見たことはあっても、実際目の前で
ビールかけをしているのを見る機会はあ
まりないですよね。
まして、ビールはかけるものではなくて、
飲むものです(笑)
集会所の中でやるわけにはいかないので、
全員外に出させて号令をかけました。
「優勝おめでとう。」
「ビールかけ開始!」
楽しい時間でした。
福岡国体の時は缶ビールでしたので、
アッという間に終ってしまったのですが、
この時のビールかけはしっかりやりまし
た。
さて、このままでは帰れないことになり
ましたので、
「もう一回それぞれの民泊先でお風呂に
入って、着替えたら集合。」
と指示しました。
名残惜しそうにしていた民泊先の方は
大喜びとなって、もう一回各家庭に帰っ
て行きました。
これが東四国国体の一部始終です。
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心配していた「民泊」も地元の皆さんの
温かいおもてなしの心で、何回も経験し
た国体優勝の中でも、印象深い、嬉しい
優勝になりました。
まして決勝戦は地元香川県でしたので、
複雑していただいて、優勝も本当に喜ん
でいただきました。
今思い出しても「感謝」の一言です。

優勝を伝える高知新聞の記事です。