KDDIはLTEのサービス開始を、
2012年12月の計画から
新型iPhoneの発売日に前倒しした。
一方、TD-LTEとい
う独自方式のLTEサービスに注力している
ソフトバンクモバイルも、
FD-LTE方式のLTEサービスを同時に開始した。
こうした2社の動きは、
アップルからの
強い意向を受けたものにほかならない。
特に注目に値するのがKDDIのLTE。
800MHz帯、
1.5ギガへルツ(GHz)帯に加えて、
2GHz帯でも展開する。
800MHz帯で2013年3月までに
実人口カバー率96%とし、
全国でLTEを使えるようにする。
ところで、
なぜKDDIは800MHz帯、
1.5GHz帯に「加えて」、
2GHz帯でLTEを展開することにしたのか。
アップルは、
LTEを日本向けには2GHz帯で対応させるため、
iPhoneを扱うKDDIとソフトバンクモバイルに対し、
2GHz帯でLTEネットワークを構築するように
要求したようだ。
いまのところKDDIの2GHz帯での
LTEネットワークの実人口カバー率は、
800MHz帯よりも圧倒的に狭いようだ。
田中社長に2GHz帯の実人口カバー率を尋ねたところ
「難しいこと聞きますね」と一蹴されてしまった。
アップルにいわれて急遽、
対応に踏み切ったものの都心部が中心で、
エリア展開には
時間がかかると見られている。
iPhone乗り換え
ここで気になってくるのが
ソフトバンクモバイルだ。
7月25日に、
ようやく900MHz帯を使ったサービスを始めたが、
FD-LTEは当面は2GHz帯だけで展開する。
「2013年3月末までに実人口カバー率でいうと
91~92%程度になるだろう」
(ソフトバンクモバイル、宮川潤一CTO)。
iPhone5のLTEは日本国内では
2GHz帯にしか対応しないなか、
KDDIとソフトバンクモバイルで
「どちらのLTEが広く速く使えるか」が勝負になってくる。
どちらも3Gでは
800MHz帯や900MHz帯を
全国レベルで使えるので問題はない。
ただLTEで通信するときは
2GHz帯だけになるようだと、
ネットワーク品質の
差が出てくることが予想されるのだ。
ソフトバンクモバイルは、
7月に始めた900MHz帯の
“プラチナバンド”のサービスをアピールするのに、
テレビコマーシャルでは
「つながらない→つながる」という
自虐的ともとれるメッセージを出している。
プラチナバンドへの期待の表れではあるが、
一方で2GHz帯はつながらないと
自社で認めていることにもなる。
インフラ整備がうまく進まないと
「つながらないiPhone」ということにもなりかねない。
iPhone5のLTEは2GHzしか対応しないので、
KDDIとソフトバンクモバイルの間に
「LTEネットワーク2GHz帯戦争」が勃発する。
ここでサービスを競い合うことになり、
ユーザーにとっては面白いことになりそうだ。
発言小町 iPhone 乗り換え