虚ろな十字架 | サンディの今日もワイン

サンディの今日もワイン

サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:4.0h
一読:あり
再読:なし
R指定:なし
著者:東野圭吾
刊行:2017年5月(2014年5月)
価格:640円+税
出版:光文社文庫
本本本本本本本本

 

テーマは死刑制度

中原道正の娘・愛美は強盗に殺され、事件をきっかけに妻・小夜子と離婚する。
愛美を殺した犯人には強盗殺人の前科があり、そこで死刑になっていれば愛美は死ななかった。
そんな思いを抱いた小夜子も強盗に殺されてしまう。
遺族は死刑を望むが、強盗・町村作造はただの強盗ではなかった。
ある罪を被っていた。その罪とは、、、

......

 

強盗殺人犯が死刑になっていれば、新たな殺人は起きなかった。
だから死刑制度は必要というのは早計だ。

 

 

絞首刑で書いたように、死刑制度に反対するのはいくつか理由がある。

・誤審の可能性がある
・犯罪の抑止力になっていない
など

100人の死刑囚のうち誤審が一人いるとする。
かけがえのない身内を殺されたのだから、犯人は死刑になるべきと思うのであれば、誤審の一人は、国家権力に かけがえのない身内を殺されることになる。

一人の犠牲はやむを得ない?かけがえのなさが違う?
 

死刑制度が犯罪の抑止力になっていないことは統計から明らかになっている(死刑制度は情報の非対称性が大きすぎる)
死刑になりたいと事件を起こす輩がいるので、日本では凶悪犯罪を増やしている気がする。
 

 

日本は加害者に甘いと言われる。
模範囚だからと殺人犯があっさりシャバに出てくるのが問題で、死刑制度の問題ではない。
死刑囚は労役を免除されているが、終身刑で労役ありにすれば、タダの働き手が増える。
人手不足の日本で、こき使える人が増えるのは悪いことではないと思うのだが。
......

 

本書の感想より死刑制度について語ってしまったsippai;*
読み終わったあと死刑制度について、何も考えない人はいないでしょう。
死刑にするべき人物と、そうでない人物を登場させ、考えさせる展開はお見事でした。
証拠不十分でお咎めなしになりそうなところにハッピーエンドの余白を感じます。