あいまいな会話は なぜ成立するのか | サンディの今日もワイン

サンディの今日もワイン

サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:2h
一読:あり
再読:あり(短いので)
R指定:なし
著者:時本真吾
刊行:2020年6月
価格:1200円+税
出版:岩波書店
本本本本本本本本本本本本

 

遠まわしな表現を言語学と脳科学で解説

 

1言わないことが伝わる不思議
2会話は助け合いである
3人間は無駄が嫌い
4体面が大事
5うやむやにした方が得
6謎はどこまで解かれたか

 

..............................

 

 「コーヒー飲む?」
 「明日出張で朝が早いんだ」

飲まないとは言ってないが、コーヒーを飲まないことは分かる。
このような会話はポール・グライスの協調の原理により説明できる。

なぜ遠まわしなのか?

「飲まない」は少々キツいので、丁寧に断っているという見方もある。では、

遠まわしは丁寧かというと、それは違う。

 

 「まったく、よくやってくれるな」

仕事でミスした部下に対して上司がこのような発言をした場合、もちろん褒めてない。
明日も共に仕事する部下を叱責して顔をつぶすのは、得策ではない。では、
遠まわしは体面を保つためかというと、それも違う。


 

 

体面を侵す危険度については、ペネロペ・ブラウン&スティーブン・レビンソンのポライトネス理論により説明できる。

 体面を侵す危険度=話者の距離+話者の力関係+話の深刻さ

上司と部下という距離も力もある関係では、遠まわしな表現は体面を保つ効果があるが、距離も力も小さい関係において、何気ない会話で遠まわしな表現をすると嫌味に聞こえてしまう。

 A「私、上カルビが食べたい」
 B「このお店、上カルビが評判なんだって」

A:上カルビが食べたい意思を明確にしている。周りの人に勝手なやつと思われるかもしれない。
B:皆で上カルビを頼むノリを期待している。食べたい意思を隠したまま、上カルビにありつける。

これはゲーム理論的に利得が多いパターン。
遠まわしは利得を最大化するため?体面を保つため?丁寧のため?
明らかにしていないが、遠まわしな表現には、聞き手の推測が必要ということは間違いない。

ここまでは言語学だが、6章で脳科学になる。
 

 

推測には脳のどの部分を使用しているかという研究で、ミラーニューロンに再開し、新たな謎が一つ。

「社会的N400」(N400は脳波の名前)

( ゚д゚)ポカーン になるとN400が出る。
社会的N400は、他人に引きずられて出る。
 

例)
「少女には小さな嘴と明るい黄色のしっぽがあった」

A: ( ゚д゚)ポカーン
B: ( ゚д゚)ポカーン

Aだけ、イヤホンで次の言葉を聞いたとする
「少女はハロウィンにカナリアの仮装をした」

A: (*^^)p
B: ( ゚д゚)ポカーン

Aは理解したが、Bに引きずられて N400の信号が出る
原因は分かっていないが、人間の共感力は、思っているより高度なのかも。

 

6章は唐突だったが、以前に読んだ本とリンクする読書の醍醐味が味わえてよかった。

1~5章もシンプルで良い。長くても忘れちゃうしsippai;*