セレンディピティと近代医学 独創、偶然、発見の100年 | サンディの今日もワイン

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サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:4.0h
一読:ありかも。長くてダレる部分あり
再読:なし
R指定:なし
著者:モートン・マイヤーズ/訳者:小林力
原題:HAPPY ACCIDENTS:Serendipity in Modern Medical Breakthroughs
刊行:2010年3月
価格:2600円+税
出版:中央公論新社
本本本本本本本本本本本本本本

序論 セレンディピティ 自然科学の知らざれる秘密

1 近代医学の夜明け 感染症と魔法の弾丸
1細菌説の誕生ーレーウェンフックとパスツール
2細菌学の新時代 コッホとエールリッヒ
3化学の時代 魔法の弾丸サルバルサン

4染料から医薬品へ サルファ剤の誕生

5ペニシリン秘話

6地中の宝 放線菌と抗結核薬

7浮かび上がった謎のタンパク質 肝炎ウィルス

8胃のなかの最近 潰瘍の真犯人
2 対がん戦争の火ぶたを切ったニンニクの臭い

9バーリ港の悲劇 マスタードガスを抗がん剤に
10葉酸の秘密
11民間伝承薬ニチニソウとビンカアルロイド
12白金の本当の価値
13性ホルモンとガン
14血管新生 がんの栄養補給路を経て
15アスピリンは痛み以外もやっつける
16サリドマイド 悲劇から希望へ
17病気のニワトリと発がん遺伝子の発見 ラウル肉腫ウィルス
18ポリオワクチンの汚染ウィルスから見つかったもの がん抑制遺伝子
19​​​​​放射線被ばくの研究と幹細胞の発見

20対がん戦争と大規模研究の時代

21得られた教訓
3 震える水晶の糸が心臓の謎を解く

22心臓電気の発見と心電計制作

23カテーテルを自ら人体実験した男

24ドッタリング 動脈内腔拡張術

25人造血管

26ノーベル賞委員会はNOにYES

27ハニー、問題は君じゃない。でも、それはNOだ

28動脈硬化とコレステロール

29血液をさらさらに
3 問題は人格ではなく、化学にある 精神安定剤、抗うつ剤、覚せい剤

30それは夢からはじまった 神経化学伝達物質の発見

31さまざまなショック療法

32ナイフとアイスピックによる精神の治療

33躁病患者の尿研究から生まれたもの リチウム

34抗マラリア薬、抗ヒスタミン薬、そして抗精神病薬ソラジン

35抗不安薬ミルタウン

36抗うつ薬と脳内化学

37間違っていた構造式 鎮静剤プリウム

38奇遇だね。私も同じ虫を飼ってるよ! アルコール依存症治療薬

39幻覚剤LSDの物語
結論 チャンスにチャンスをつかむ セレンディピティの重要性

 

それは偶然の出会いと思っていた。
人生観を変えるような出会いが偶然に訪れるものだと思っていた。

幸運は用意された心のみに宿る

セレンディピティは、ボーっと生きてる人には訪れない出会いだった。

 

近代急速に発展してきた医学は、セレンディピティによって創られてきたと言っても過言ではない。
細菌も見ることもできない時代は、セレンディピティがなければ、医療は発展できなかったのではないだろうか。

バリー・マーシャルのように、通説に合わないという理由で拒否されてしまう時代を切り拓くには、自分で試すしかなかった。

 
セレンディピティの辛いところは、これだと思っても、他人にそう思ってもらえないこと。

自身の体で実験しても大丈夫と確信していたのだろうが、傍観者からすると怖い。
胃潰瘍は「わーすごい」、心臓カテーテルは「ひぇぇぇ~」、ロボトミーは「たたた他人!?」

細菌が見えるようになり、遺伝子の存在を認識し、医療が発展したかというとそうでもなかった。特にガンに関しては。
あとは地道に進めるだけという感覚だったのだろう。対がん戦争は大きな教訓を残した。

著者は正攻法を否定していないが、発見にはセレンディピティが必要という。

ハワード・ヒューズ医学研究所が作った、ジャネリア・ファーム研究所

は何を研究してもよく、セレンディピティを期待してるらしい。
大河内正敏も研究テーマは自由です、と言っていた。セレンディピティを期待していたのだろう。

出資者からすれば、何をやっているのか分からず、ただ待つだけというのは辛い。
 

!(これもセレンディピティ!?)

つまり、何をやっているか分かれば、出資者は辛くない。
研究者と出資者とのつなぎ役がいたとしたらどうだろう。
出資者が国としたら、説明責任も果たせて国民の納得感も得られるのではないか。

研究者の門戸は狭い。研究で食べていける人は一握りしかいない。研究者になれなかった人は、つなぎ役で食べていけたら、本懐ではないだろうか。

注文をつけるなら、研究は2人以上で。1人だと見逃すことも2人なら捕まえられる。
「発見とは皆が見てきたものを見て、皆が考えなかったことを考えることだ。」セント=ジェルジ・アルベルト
 
獲得形質は遺伝する(2019/8/8 朝日新聞)←また有料!
まだ定説になっていないが、定説になる前から分かっていた。
DNA以外の何かを受け継がなければ進化できるはずがないと。
エピジェネティクスと呼ばれる理論は、今は獲得形質の遺伝だけだが、進化に関わっているはず。

セレンディピティの良いところは、これだと思ったことが当たると、門外漢はほくそ笑むだけでいい。