鉄の骨 | サンディの今日もワイン

サンディの今日もワイン

サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

 マルチーズだよーねむいです

読書時間:2.5h
一読:あり
再読:なし
R指定:池井戸節を期待している人はNG
著者:池井戸潤
刊行:2011年11月(2009年10月)
価格:838円+税
出版:講談社文庫
本本本本

中堅ゼネコンの工事受注をめぐる物語

他の池井戸作品と比べると、熱量が足りない。
たぶん悪役が不在だからだろう。
倒すべき相手がいないというのは、勧善懲悪の池井戸作品には向いてない。
城山が逮捕されても他人事な感じがするのは、平太が倒す相手ではないに他ならない。

テーマの談合についても十分に語られてるとは言い難い。
ゼネコン側と銀行側の論理が展開されても、最初はどっち付かずだったが、調べて考えたらあっけなかった。

談合は必要

健全に入札が行われれば、ダメな業者は淘汰されてゼネコン業界は良くなる、というのが銀行側(園田)の意見。
大義のためには多少の犠牲はつきもの、みたいな論理は、犠牲になる側でなければ、受容できるかもしれない。しかし、
ひとたび犠牲になる側になったら、割り切れるだろうか。

談合はダメと切り捨てるのではなく、入札の仕組みがおかしいんじゃあないか?
そう思ったら、あっけなかった。

『いくら脱談合といったところで、公共事業の入札が真に健全だなどと思っている人間は、この日本ではむしろ少数だからな。』という城山のセリフにあるように、
公共事業の仕組みが今一つなのだ。

あえて書かなかったのか分からないが、「最低入札額」という単語がまったく出てこない。
赤字覚悟で入札してくるゼネコンがいるなら、最低入札額があればいいんじゃないか、と思ったらあったacha-*
これで問題解決じゃんと思ったら、これがまたダメっこどうぶつで、最低入札額はガチで赤字な価格らしい。どうやって決めてるんだという疑問も残る。
諸手を上げて賛成でもないけど、どちらかと言えば談合ありというところかな。
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池井戸作品で色恋が展開されるのは、初めてじゃないかと思う。
これが続くのかと思うとページが進まず、2章で力尽き、萌、最低と書いてる感想を先に見てしまい、ますますページが進まず..
元さやに戻ったのも予想通りで、萌、最低とは思わなかった。最低と書いた人だって一度は園田になびくんじゃあないか。
男女の話を読んでいると勝手にしてくださいと思ってしまう。熱量が足りないと感じたのは白けてしまったせいもあるような。

1談合課
2入札
3地下工事
4アクアマリン
5特捜
6調整
7駆け引き
終 鉄の骨