読書時間:2h
一読:あり
再読:なし
R指定:判定不能
著者:伊藤計劃
刊行:2014年8月
価格:720円+税
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虐殺文法があるとすれば、─思い出して聴きなおしてみた。
TBSラジオ セッション22 22:00~24:00
2015/7/2「インドネシアの大虐殺から50年」 (mp3 警告 25MBあります)
25'30~
著者の伊藤計劃が聴いたら、何と言うだろうか。
本作品はフィクションだが、事実を随所に散りばめているため、真実味がある。
例えば、ビジン語。
言葉の違う奴隷の子供たちが、自然な文法を使って話始めたという話は事実だ。ピダハンに書いてある。
ルツィア、ジョン・ポール、クラヴィスの会話を聞いていると、著者は言語学を学んだと思われる。冒頭の虐殺の事実を知っていたら、さらに面白くなっただろう。
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本作品は、ゼロ年代ベストSFとなっている。
錚々たる顔ぶれと言いたいところだが、知らない![]()
小松左京が下位に沈んでいるのは、ラノベ風がいくつかあるところを見ると、若い読者が多いのだろう。しかし、
40過ぎのオッサンが読んでも面白い。
どこがと聞かれたら、「会話」と答えるかな ←SF関係ない![]()
ジョン・ポールとクラヴィスの会話が積み重なった結果、ジョン・ポールが虐殺を起こす理由を聞いたとき、正当性を感じた。
他の方法もあると思うが、選択肢の一つとしてアリだよねという緩い正当性。
やはり、悪者を上手く描くと物語は面白くなる。
残念過ぎるのがラスト。情報軍を辞めた後、クラヴィスがとった行動は、この作品をつまらない物にさせている。
文庫版で加筆&修正したようだが、直すところを間違えている。そこで、ラストを考えてみた。(表現は拙い)
『タネが分かったマジックのように、虐殺文法が明らかになれば、乗せられる人は居ない。
虐殺文法は世界に公開されたが、虐殺は無くなるどころか増えていった。』
楽曲にはカバーという手法があるのだから、小説にもあってもいいと思う。「虐殺器官レクイエム」とか。
