人類進化の謎を解き明かす | サンディの今日もワイン

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サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:6h
一読:あり
再読:あり
R指定:なし
著者:ロビン・ダンバー/訳:鍛原多恵子
原題:HUMAN EVOLUTION
刊行:2016年6月
価格:2300円+税
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時間収支というモデルを用いて人類進化の謎に迫る
 
 
ネアンデルタール人からホモサピエンスへの進化で脳容量が拡大に増えたのはなぜか?
答えはここにあった

『社交』

多くの人と社交(会話)が必要になったことが脳容量(特に前頭葉)が増えた要因だった。

なにかの行動が進化に繋がるという根拠のない確信があったので、これだ!と同時にショックだった。
難しいことに頭を使えばエピジェネを通じて受け継がれると思っていたのに、まさか「会話」が要因とは、、
 
ひとり暮らしで犬に話しかけるようになるのも妙に納得したりsippai;*
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時間収支モデルとは、1日の行動を摂食、移動、社交に分け、体の大きさと集団の大きさから、それぞれの行動にどれだけ時間が必要かを割り出すモデルである。
必要な時間を割り出した結果、1日の活動時間を越えた場合は、行動内容を検討する必要がある。

このモデル自体は面白い考えだが、ときに強引だ。例えば、
脳はエネルギー消費が多いので、大きくなるとさらにエネルギーが必要になるが、これを、「他の器官のエネルギー消費減少と腸による栄養素の吸収率が上昇と」に置き換えた。(p144)
笑いが社交の毛づくろいの代わりになるという仮説で、毛づくろい全てを笑いに置き換えた。(p160)

強引なだけではない。
人類が火を使い始めたときから、日々、火を使っていたと考えていないだろうか。(オレσ( ̄∇ ̄;)

最初は火事など偶然だったとしても、人類が火を使えるようになったといえるのは、いつでも火を起こせるようになったときだろう。
焼くことにより栄養素の吸収が良くなることは、まるっと置き換えてはいない。

摂食と移動はどーでもいい。時間収支モデルの本質は社交にある。
本書は、ヒトという集団がどう社交してきたか書いた本と言ってよい。

・そもそも社交が必要なのはなぜか?

とっておきの情報はよそ者には教えたくないという心理を考えれば分かる。(本書には海老の漁場の例)
会話を通じて仲間になった他人に対して、とっておきの情報は交換される。会話は直接でなく又聞きでもよい。
それだけに、ヒトの噂話を覚える能力は、他の話題に比べて秀でているという(p249)それを示すのが、ヒトの思考意識水準だ。
他の霊長類は多くて3次だが、ヒトは5次だという。ゆえに、

『エドワードが何かを意図しているとスーザンんに信じてもらいたいとピーターが望んでいるとあなたが推測していると私は信じている』(p44)
という文章を理解できる。(だいぶ時間掛かったahaha;*

いつか遠い未来、思考意識水準が「6次」になるかというと、そうはなりそうもない。
現在の脳の大きさでは150人がちょうど良い(3章)
SNSの繋がりが500人を超えていたとしても、社交はできているだろうか。FOMO(SNS疲れ)というのもある。
認知症という病を考えても、前頭葉の拡大は限界のように思える。
 
・そもそも集団で生活するようになったのはなぜか?

10万年前に初期人類が北上を始めた時期と、脳が大きくなった時期が一致することから(p206)、集団で生活せざる負えない状況になったというのが適当に思える。
未熟児(産まれてすぐ歩けない)を産むようになり、より他人の助けが必要になったというのは後付けのような気がしてならない。
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〆は繁殖ネタ(9章)

ある種が短婚か多婚かを判断する指標として、雌雄の体格差がある。
体格差がある種ほど多婚になる。ヒトは1:1.2なので短婚寄りではあるが、
多婚であるネアンデルタール人のDNAを取り込んでいるヒトの短婚と多婚の割合は、

45:55
55:45

どちらかが女性でもう一方が男性。いずれにしても2割くらいが、違うということで。
自分が多婚と感じている人は遺伝子のせいかもしれませんね。
 
章立て
1人類とはなにか、いかに誕生したのか
 これまでに分かっていること
 人類が途方もない変化を起こしたわけ
 時間収支モデルと社会脳仮説
 まったく新たなアプローチ
2なにが霊長類の社会の絆を支えたか
 集団生活のストレスを解消するために
 メンタライジングと社会的認知
 なぜ単婚が進化したのか
3社会脳仮説と時間収支モデル
 行動の複雑さ、脳の大きさ
 ヒトの典型的な集団が150人という証拠
 共同体がじつは共同体でないとき
 社会ネットワークの階層は3の倍数で増えていく
 なぜ時間のやりくりが大切なのか
第一移行期:アウストラロピテクス
4時間収支の危機をどう解決したか
 アウストラロピテクスとは何者か
 チンパンジーやヒヒと比べる
 二足歩行の利点、無毛の問題
 食性を変えるという解決策
 水辺の生息地と洞窟
 アウストラロピテクスの社会生活
第二移行期:初期ホモ属
5脳の増大をもたらした要因
 大きな脳と体の代償
 肉食や料理が問題を解決した?
 火の使用は習慣的ではなかった
 笑いと絆
 なにが脳の劇的な増大をもたらしたのか
第三移行期:旧人
6料理と音楽、眼と脳
 最初の家族
 重要なイノベーション
 ネアンデルタール人と現生人類のちがいはいかに生じたか
 すべては視覚の特化にあった
 毛づくろいとしての音楽
第四移行期:現生人類
7なぜ繁栄することができたのか
 急激な人口爆発
 焚き火を囲む会話と物語
 言語の起源
 繁殖スタイルの変化、結核菌の役割
 なにがネアンデルタール人と現生人類の運命を分けたのか
8血縁、言語、文化はいかにつくられたか
 言語が進化したわけ
 血縁と友達のちがい
 宗教と共同体の緯度とのかかわり
 死後の世界
 なぜ人の社会は階層が多いのか
第五移行期:新石器時代以降
9私たちが「人間」になった理由
 酒と祝祭
 男の友情、女の友情
 シャーマニズムから教理宗教へ
 ヒトは本来、単婚なのか、多婚なのか
 ペアボンディングはいつ進化したのか