ヴァーチャル日本語役割語の謎 | サンディの今日もワイン

サンディの今日もワイン

サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。


読書時間:3h
一読:あり
再読:判定不能
R指定:なし
著者:金水敏


「役割語」とは聴いただけでキャラがイメージできる言葉使いのことで、本書はこれに言及している。

「私、福島出身アルヨ」と書くと、中国系の人物のような感じがする。
福島出身と言っているから二世か?と余計なことまで考えが及んでしまう。
アルヨを付けただけなのに、、、これは面白い。

役割語はどこから来たのか?これがまさに本書のテーマである。

本書には様々な役割語が登場するが、それぞれに異なるルーツがあり、どれが正しいかよくわからない。例えば、

「手を貸してくれたまえ」と言うと上司から言われているような感じがするが、当時(鉄腕アトムの頃)は、普通に使われていたという。また、

「よくってよ」と言うとお嬢様が話す言葉のようだが、もとは下品な言葉だという。
「~じゃ」と言う博士語は、江戸時代まで起源を遡る。

小さい頃に流行っていたものが刷り込まれる影響は小さくないと著者は言うが、それは違う

役割語は普段使う言葉ではないので読むだけなら矯正されることはないが、お嬢様語は普段使っていた言葉が共通認識として広まっている。
元は女学校を中心に流行ったようだが、そこだけで流行った言葉が全国民にお嬢様語として認識されるのは無理があるし、元は下品な言葉づかいとされているのであれば、矯正されてしまうだろう。

あとがきにあるように、まだまだ研究中で憶測の域を出ないところはある。読者は何の役に立つ研究か分からないと思う。(もちろん自分も分かってないsippai;*


でも考えてみて。役割語は万人が同じ感覚を持つから意味がある。もし、万人に同じ感覚を持たせられるとしたら?

役割語は「差別」の象徴なのだ。

何度か出てきてもピンと来なかったが、コレを読んで合点がいった。

「アメリカ映画に変に訛ったジャパングリッシュをしゃべるメガネをかけた背の低い日本人が出てくる」

ちょっと不快に感じるこのステレオタイプが、アメリカから見た日本人なのだ。この枠に当てはめれば、誰しも日本人と思われてしまう。

人をカテゴライズするには枠に当てはめればいいだけなので、(もし研究で明らかになって)枠を自在に操れたら、そいつはヤバイ存在になるだろう。

だが無理だね。

余計な心配はせず続編を楽しみにしてます。