皆さん、こんにちは
ソフトブレインのシニアAです
いつもSE道場をお読み頂きありがとうございます
今日はやたら遠かったお客様のシステム開発秘話です
ではどうぞ・・・
朝一番のりで出社したら、ニッコニコ顔の営業のYさんとばったり出くわした
『おっ、Yさん。 おはよう。 やたら機嫌が良さそうだね』
『シニアAさん。 おはよう。 わかる 実はAエンジニアリング会社から仕事が出たんですよ~』
『おお、それは凄い。』
『それでね、営業の担当が変わってね~』
『ん・・・』
『昨日、初めて話してきたんだけど~』
『ん・・・ で』
『それがね~ 感じの良い人に変わったんだよ~』
『ん・・・それだけ』
『なんか嬉しくなっちゃうんだよね~』
『ちょっとー 真面目に仕事してくださいよ
』
朝一番、仕事前に聞く話ではない
まあオフタイムに聞いてあげることにしたが
このYさんが取ってきた仕事が計量充填装置システムだった
Aエンジニアリング会社は工場のラインに取り付ける充填機を開発している会社だ
場所がめちゃめちゃ遠くて、T駅からタクシーを飛ばして10分のところにあった。
幸い開発マシンHP64000を1台、Aエンジニアリング会社からお借りできるとのことで、現地へ行くのは打合せと納品ぐらいだ
このHP64000(えいちぴーろくまんよんせんと読む)は、いろいろな開発言語に対応でき、1983年当時、クロス開発するのに流行っていた。
C言語でコーディングする際、キーボードでキーワード(例えばforやifなど)を打つと、ファンクションキーに次に打つワードの候補が複数出てくる画期的な開発マシンだった
これはありがたかった
ろくにC言語を覚えていなくても候補がでてくれるから、怪しくても選択しながらコーディングすることができた
うちで買うにも100万円近くして高かったから買えず、開発が終わるまで、しっかりお借りした
開発したシステムは、製造ラインから得た流動物を、ベルトコンベアで流れるカップにグラム単位で充填する機械だ
落ちの悪い流動物などは、Aエンジニアリング会社の方で排出口の形状を変えることで対応できるとのことで、特に難しいソフトウェア開発部分はなかった
ただ流動物によっては一定量になるまでの時間が変化するため、システムにはスピードだけが要求されていた。
ターゲットCPUはインテル8086(16ビット)、ターゲット言語はアセンブラだったから、スピードは申し分なかった。見積もった通り3ヶ月で開発は完了した。
残るは納品だけだ
当時はインターネットはなく、郵送でも良かったのだが、今後のことを思い、足で運ぶことにした。
フロッピーディスク複数枚に分けて開発ソースコード一式を格納し、ドキュメント一式を2部コピーして、1人で客先へ向かった
あまりに長い道中にうとうとしてしまい、はっと気がつくとT駅だった
『降りなくっちゃ』 焦って電車を飛び出してみると、手にアタッシュケースを持っていない
一瞬で身体が目覚めた
振り返ってドアがまだ開いているのを確認すると、電車に飛び込み席を見た
『無い なんで無い
』
『あっ、そうだ、網棚だ』 見上げるとアタッシュケースが横たわっている。
急いで手に取り電車から飛び出した
目覚めてからホームに降り立つ迄の間、サイボーグ009の加速スイッチが入ったかのように時間が止まり、信じられないくらいの猛スピードで動けた
いま思えば、あの日無事に納品出来てなによりだった
あの時以来、網棚には絶対荷物を置かず、座っても膝の上に置いておくことにしている
次回のSE道場をお楽しみに・・・
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