こんにちは

シニアAです

いつもSE道場をお読みいただきありがとうございます

今回の記事は、後編です

前回は、「受注した仕事をC言語で開発する」と営業マンから聞いたところまででした。
続きをどうぞ・・・
『あと開発言語はC言語です

と営業マンが言った。
『ほんとか、おい

『なんですか、しーって
』

『あの流行りだした言語のことか
』

多少知ってる人も全く知らない人も入り混じった感想を漏らしていた

『お客様にはC言語開発に長けていると話してあるのでよろしく~
』

『どひゃ~~~』
『□%▲〇&@・・・』
いまでこそ、C言語はポピュラーな言語だが、当時は流行り始めたばかりの言語だった

私たちはアセンブラ言語が主流だったが、C言語の方が開発効率が非常に良いと噂されていた。
だから私たちも、今回の仕事は技術者として経験を積む上でとても有意義なものであった。
ところがどっこい

知り合いの会社にも訪ねてみたが、誰も経験がなかった

しかたなく、C言語の本を、渋谷の大盛堂とか、お茶の水の書泉グランデなど、コンピュータ言語コーナーのある本屋に行って探した

見つかった本は、カーニハン&リッチー著の日本語翻訳本である『プログラミング言語C』の1冊だけ

もちろん、1983年当時はまだインターネットが存在しないため、他に翻訳本があるかどうかもまったく調べられない

『プログラミング言語C』を1冊ずつ買って、メンバーみんなで読んで読んで、読みまくった

こんなに隅から隅まで読んだのは初めてだった。
聞ける人はいなかったから、ポインタ・構造体・共用体など、本の後半はすぐに理解できず、よく分からないまま実際の開発に突入した

開発は、C言語の理解度に差があるため、メンバー間でもちぐはぐしていた

リーダが下の人間から教わる光景が目立った

お客様から教えてもらうわけにはいかないから、メンバー同士で相談して、最良と思えるコーディングを行った

コーディング規約も定まっていないため、関数化しないでダラダラと書いたり、変数名を1文字の名前「a」とかにしてみたり、いま思えば恥ずかしいことだらけだったが、誰も何も気づかず、真剣に仕事をしていた

ようやくコーディングが終わったが、コンパイルエラーを取るのに数日かかった

だからデバッグにも膨大な時間がかかった



仕様が多すぎるのも、その原因の1つだった。
苦しい時々を越え、2ヶ月が過ぎたころ、ようやく山を越え、無事に納品することができた

開発メンバーと一緒に祝杯をあげたが、C言語の苦労話に花が咲いた

C言語を克服してきたメンバー1人1人の顔は、これ以上ないほど生き生きとして、光り輝いていた

本当に、あのときの酒はうまかった

これ以降、「ファームウェア開発をC言語で効率よく開発できる会社」として、C言語による開発の仕事が多くなっていった...
次回のSE道場をお楽しみに・・・
SE道場では、プログラミングの極意や開発の苦労話等、様々な記事を投稿しています
是非ご覧ください


1つ前の開発秘話は...