白い女性 | 俺とニュースとハードとソフト。

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第2弾。

 * * *

時期は……、多分中学の1年から2年の間くらい。良くテスト前に追い込みで深夜まで勉強していたりしたんだが、その頃のお話。
当時住んでいた社宅は、再奥の部屋の窓から藪およびそこにあるお墓が見えると言う素敵なロケーションだった(むしろあの頃は「個人邸宅の庭のお墓」ってわりと一般的だったと思う)。

多感な中学生だからなのか、墓が近いと言う意識からなのか、恐らく俺が一番「妙なもの」を見ていた時期だったと思う。
夜になると、部屋を横切っていく「妙なもの」が良く見えた。空気の塊の様な、不定形で、見えているのに具体性に欠いている「妙なもの」。
ただ、これは本当に見えるだけ。存在感も無く、素通りしていくだけだったから特に気にしていなかった。
……今考えると図太いな、俺。

そんな日が続いた夏前、テストで追い込みをかけていたため一人で起きていたある日の深夜。
息抜きのつもりで、ふと奥の部屋の窓からその墓場付近を見下ろした。

そこに居たのが、「白い女性」。

どうして女性と思ったのかと言うと、普通に身体のラインが見えたのと、長い黒髪だったのと、白いワンピース風の格好だったから。
別段恐ろしい雰囲気は無かった。むしろ綺麗で美人っぽかったと覚えている。
何かをするでもなく、ただその辺に立っていただけに見えた。もちろんこちらに気付いた様子も無い。
昼間見ても居ないが、深夜に見ると必ずそこに立っていた。雨が降っていて傘をさしていた事もあったな。

その白い女性はそのまま数日間そこで見かけ続けた。
正直そんな深夜に墓場付近、しかも女性、と来れば興味は湧くが、そこで家を抜けだして赴く程の度胸があるわけでもない。
気になりながらも日を送るうち、気が付けばその女性は出没しなくなっていた。

そして、それを境に俺は「謎体験」の類がしばらく無くなり、部屋を通る「妙なもの」が見えなくなった。

果たしてアレは何だったのか。
……何となく美人っぽかったので、退魔師とかそういうのだったのかなー、きっと良い人だよなー、なんて適当な結論で今に至っているとか何とか。