Perfect Days | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

   

 

 

 

新年映画鑑賞第2弾!(3回目だけど)

 

役所広司さん主演の「Perfect Days・パーフェクト・デイズ」。日本の映画でやはりカンヌ国際映画祭で主演男優賞、エキュメニカル審査員賞受賞、そしてアカデミー賞国際長編映画賞の日本代表となったわけで、観ないわけにいかない。笑

 

今日の午後、近所のサンシーロではインテルxヴェローナのサッカーの試合があり、最寄りの地下鉄の駅は試合が終わるまで閉まってしまったため、地下鉄に乗って行く映画館には行けず、バスを乗り継いで行ける一番近いところに行った。

 

午後3時から。前回行った映画館は、チケットを買う時点で自分の座りたい席を指定できたが、そこでは特に言わない限り勝手に決められてしまう。とはいえ、真ん中の真ん中、ど真ん中の席であった。やった!と思ったのは束の間。私の左隣に男性が来た。えっなんで?次に、お年寄りの女性二人組が私の右側に。えっなんで?こんなに数百席も座席があるのに…トイレに行きたくなったら大変だ!

 

ところで、役所広司氏演じる平山はトイレの清掃員。毎日判を押したようなルーテインをこなす日々。カセットテープ、ガラケーの携帯電話、居酒屋ではいつも同じメニュー。テレビはなく、寝落ちるまで本を読む日々。一瞬退屈そうにも見えるが、逆にお風呂屋さんのおじいさんやら同僚のいい加減な田中を憎めない。仕事の合間にみる木漏れ日がお気に入り。小さなことに心を留める平山。はじめはうさん臭く観ていたが、優しく穏やかな平山に引き込まれていったが、彼のトラウマのような映像がずっと気になった。

 

今回はウトウトすることはなかったし、イタリア語であったが、幸か不幸か平山のセリフはそれほど多くなかったから良かった。けれど、イタリアの映画はいまだに途中で休憩が入る。あと1時間!急にトイレに行きたくなり、席を立ったが、戻ると既に第2部が始まっており、最後列の空いている席に座った。苦

 

そういえば、平山が仕事の際、着ていたつなぎの背中には、"The Tokyo Toilet"と書かれおり、渋谷区内のおしゃれな公共トイレを清掃していたわけだが、これはユニクロの創立者である柳井正氏の次男である柳井康治氏が渋谷区内の公共トイレを世界的な建築家やクリエイターが手掛けさせた"THE TOKYO TOILET プロジェクト"が背景にあるようだ。

 

外壁が透けているが、中に入ると色が変わり見えなくなる公衆トイレはイタリアでもかなり紹介され、2022年のFuorisaloneではミラノのユニクロをはじめ、トリエンナーレでも設置されていたようだった。

 

それにしても、平山の家柄や妹との関係は最後まで今一つわからなかったが、平山にとって、毎日決まったルーテインに木漏れ日や、家の植木を愛でる事が"Perfect days"だったのかもしれない。誰でもそれなりの悲しみや葛藤などを抱えているのかもしれないが、いい加減な同僚に「寂しくないの?」と聞かれても、平山はいつも微笑み、そんな日常を続けている限り、生活に満足しているように思える。

 

私にとって"Perfect days"とは?

 

観た瞬間よりも、後から心の中でじわじわ平山の喜びや平穏な心が伝わってくるようであった。キャストも何気にセリフがなかったり、少なくてもインパクトの強い人が多く、あゝこんな人も!あんな人も!と思いながら観ていた。帰国したら銭湯に行こう!笑 

 

 

 

今日の一句

人生を 静かに味わう Perfect Days!

 

Perfect Days 公式サイト