師範がやって来た! 〜 No Karate, No Life その3 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

我が空手道場の師範(実際は教士)が本帰国され早1年以上が過ぎたが、その後11月、5月と3度目の特別稽古のため来伊された。
 
前回は早朝に到着され、朝からチャットし、「では今日の夜の稽古で!」と言って道場に向かい始めた途端、自転車で転倒、骨折。車輪に棒術の棒を挟み急停車し横転したので、今回古武道で使う棒と鎌は既に道場に置いて来た。苦笑 朝から師範とのチャットも厄除け?!で控えておいた。爆

ところで、今月からシッター業は午後出勤になったのだが月曜日に発熱により三男の保育園から呼び出され、早退して来たが、自宅養成。そのため火曜日から朝から出勤。今週は絶対風邪など引いておられぬ!
 
火曜日は普通の稽古。そして今日水曜日は特別稽古が行われ、黒帯のクラスと古武道のクラスに参加した。古武道は棒術だけかと思っていたら、鎌も急遽おこなわれた。既にオンラインで二度ほど稽古を受け、基本は習ったが、復習が大切。だが、やっている時間がない。
 
前夜からオンラインレッスンのアーカイブを見直し、また、駅の電車を待つホームで、仕事の休み時間に…ビデオを見ながら、軽く体を動かす。まるでそれは駅のホームでゴルフのスイングをするおっさんのようではないか!苦笑
 
今日はなんと棒術も鎌も新しい型を一つずつ伝授された。年と共に記憶も体の動きも退化している中で、それを脳に焼き付かせなくてはいけない、アラ還にとっては脳を絞り出すようなヴェリーハードな稽古。鎌を持つ手はかたまりはじめ、開いたり閉じたりするのも困難になってきて、挙句の果てに腕も震え始めてきた。
 
「T子さ~ん、一々顔をしかめないで!」と師範に注意された。知らず知らずのうちに顔に出てしまうのだろう。苦笑 古武道のクラスでは受講者は5人中一人がイタリア人男性で、残りは皆日本人女性、しかも皆オーバー40代。私が最年長。
 
「T子さんの鎌の向こうにはご主人が見えるね!」と師範。「敵ですから。」と大笑い。敵が見えるような演武が出来るようになれるのが理想だ。
 
ちなみに前回5月に昇段予定だった審査が今週行われるのだが、今更注意されるところが数点。えっそうだったの?!えっ勘違いしてた?!そんなことばかり…しかし、前記のイタリア人男性は一度注意されたことは必ず直す。簡単そうでなかなかできる事ではない。ポテンシャルの高い人と一緒にいると、自らのモチベーションアップにつながり、探求心がますます高まり楽しくなってくるのだ。
 
ところで、師範の奥様より道場で声をあげているでしょうから…といってのど飴を頂いた。よくご存じで…苦笑。「返事~!」「(休憩後や礼の時の整列時など早く動くよう)ヴェローチェ~!(急いで!)」としょっちゅう怒鳴っている。稽古中おしゃべりをしていたり、へらへらしている子/人には容赦しない。
 
こっちは真剣にやってるのに、何を求めて道場にやってきているのだ~!と叫びたくなるところをぐっと抑える。
 

私個人的としては、あまり流派とか、段位とか、競技にはあまり興味がないので、自分の好きなことだけを稽古し、追求していたい気もするのだが、さすがに師範が去ったあとの道場は、残された黒帯で支えていかなくてはならない。だからこそ、皆真剣にやって欲しいのだ。

 

千日の稽古をもって 鍛となし、 万日の稽古をもって 錬となす

 

何事も続けることは大変なこと。そして、ただ続けるだけではなく、空手道訓同様、 「己をみつめ、 己を正し、己を磨くものである。

 

日々精進。